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お友達の久我くん視点です
最寄り駅から少し離れたハンバーガーチェーン。
自分は、こういう店にあまり来たことがなかった。
学校最寄り駅のすぐそばに住んでいる。
家は広いし、帰ろうと思えばすぐ着く。
放課後にどこかへ寄る習慣は、もともとなかった。
でも。
「ハル、ポテトLいく?」
「当たり前だろ」
ハルと来るようになってから、この店が妙に居心地よくなった。
ゲームの話。
今日の約束。
新作タイトル。
好きな配信者の神業プレイの切り抜き。
話題は尽きない。
自分はゲーム配信をしていて、時々ハルとプレイするときは通話を配信に乗せることもある。
ハルは気にしないが、本名で活動するのはよくない。
だから通話中、ハルのことを「ハル」と呼び始めた。
それがいつの間にか定着した。
今では、ハルが一番の親友だと思っている。
自分は、人前で注目されると少し吃ってしまう。
そんな自分と一緒にいると、ハルの外野がうるさくなる。
自分はなんとも思っていない。
けれど、ハルが気にするから。
だから学校では、あえて距離を置いていた。
一年のとき、少しだけ面倒なことがあったから。
「あっ、」
店を出た瞬間、ハルの声が少し上がった。
視線の先。
道路の向かい側に、同じクラスの白石さん。
ハルは迷いなく大きく手を振る。
「し――」
名前を呼ぼうとした瞬間。
ブォン、とトラックが横切った。
タイミングが悪い。
トラックが通り過ぎたときには、
白石さんの隣に、男が立っていた。
知らない顔。
同じ高校の制服。
白石さんは、こちらに気づいて、やわらかく笑ってぺこっと頭を下げる。
そして、その男と歩いていった。
さっきまで楽しそうだったハルが、少しだけ静かになる。
自分は横目で見る。
……分かりやすい。
「白石さんって……」
言いかけて、やめる。
代わりに、少しだけ軽く。
「……白石さんって、かわいいよな」
少しの間。
「…………うん」
短い返事。
駅までの道。
沈黙が続くかと思ったけれど、ハルはやがていつもの調子に戻る。
「今日ランク回す?」
「回す。名前出すなよ」
「了解」
タワーマンションのエントランスが見えてくる。
「じゃあな、ハル」
「おう」
手を振る背中を見送りながら、自分は思う。
不毛なんじゃないかとか言いたいけど
それ以上にハルがいいやつだから。
サブキャラですが久我くんはお金持ちです。
駅近くというより駅直結のタワマンに住んでます。
クラスのみんなは知りません。
久我くんの設定めちゃめちゃ深く考えたのでいつか別の話で1本書き上げたいな〜




