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太陽くんは、男の子  作者: 浅華
春の終わり

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4/24

その日も、本当はカフェで待つ予定だった。


けれど読んでいた小説がもうすぐ終わりそうで、澄は少し足を伸ばすことにした。


高校の最寄り駅から少し離れた場所にある、新しい図書館。


学校の図書室よりも蔵書が新しくて、静かで、落ち着く。


それに――


ちょうどいい。


野球部と顔を合わせずに済むから。


恒一に「今日は図書館にいるね」とLINEを送ると、すぐに返事が来た。


――そっち行く。


迎えに来る、ということらしい。


少しだけうれしくなる。


「終わった」


と連絡が来たのは、それからしばらくしてからだった。


澄は本を閉じ、貸し出し手続きを済ませて外に出る。


夕方の光がやわらかい。


道路を挟んだ向かい側のハンバーガーチェーン店のドアが開く。


出てきたのは、同じ高校の制服を着た二人。


――あ。


山崎 陽翔と、久我 千景(くが ちかげ)だった。


どちらかと言えば静かめの久我と、明るい山崎の組み合わせは少し意外に思える。


でも、不思議としっくりくる。


仲良いのかな?


陽翔がこちらに気づき、目を見開く。


大きく手を振り、名前を呼ぼうと口元に手を持っていく。


その瞬間。


「澄、行くぞ」


すぐ近くから聞こえた声に、はっとして横を向く。


「あ、恒一くん。おつかれさま」


もう一度、向かい側に視線を流す。


山崎に小さくぺこっと頭を下げると、向こうの二人も軽く会釈を返した。


そのまま、恒一と並んで歩き出す。


少しの沈黙。


「……仲いいのか?」


不意に、恒一が言った。


「んー? 同じクラスなんだよ、二人とも」


恒一は、ほんの少しだけ眉を寄せる。


「……あんま仲良くすんなよ」


「え?」


予想外の言葉に、澄は瞬きをする。


「なんか俺、ああいうチャラチャラしていい加減なやつ嫌いだ。いい噂聞かないし」


直接何かされたわけでもないのに。


棘のある声。


――嫉妬、かな。


そう思うと、少しだけ胸がくすぐったくなる。


「普通にクラスメイトってだけだよ。今度の校外学習で同じグループになったから、手振ってくれたんだと思う」


恒一は、ふっと視線を逸らす。


「……ならいいけど」


それ以上は何も言わない。


さっきの言い方、ちょっとだけ嫌だったな、と一瞬思う。


でも。


自分のことで、あんなふうに言ってくれるのは。


――愛されてるのかもしれない。


澄は深く考えず、恒一の歩幅に合わせて歩いた。


夕方の風が、少しだけ冷たい。









あっ、1話1話の長さはバラバラタイプの人間です

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