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太陽くんは、男の子  作者: 浅華
春の終わり

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3/24

中学三年の春。


白石 澄は、二年生のころから噂を聞いていた。


隣のクラスの野球部に、澄のことを好きな子がいるらしい。


「らしいよ」


そう言われても、特に気にしていなかった。


顔も知らないし、話したこともない。


ただ、三年に上がってクラス替えの名簿を見たとき、

その名前が同じクラスにあることを知った。


武田 恒一。


どの子だろう、と思っているうちに、すぐに分かった。


廊下で野球部の子とその日当番の日誌について話しているときだった。


「おい、恒一! こっち来いって!」


「白石いるぞ!」


半ば押されるようにして、武田が前に出される。


澄の前まで来ると、ぴたりと足が止まる。


顔が、みるみる赤くなる。


「……あ、えっと」


声が小さい。


目も合わせられない。


どうしていいか分からず、澄も頬が熱くなる。


そのたびに、横でなっちゃん――藤原奈津子が眉をひそめる。










「しつこいよね」


帰り道、なっちゃんははっきり言った。


「澄がやりづらいって分かんないのかな」


けれど、澄は少しだけ違う感想を持っていた。


面と向かうと何も話せなくなる武田は、

当時ちょうど反抗期まっただ中だった弟の悠真みたいで。


不器用で、から回っていて。


少しだけ、かわいいと思ってしまった。


そんなやりとりが何度も続いた。


野球部に囲まれて、

「恒一、行けよ!」と背中を押される姿。


澄は困りながらも、強く拒む理由もなく。


気づけば、一年が過ぎていた。



卒業式の日。


式が終わり、校庭ではあちこちで写真を撮る声が響いていた。


澄も友達と並んで笑っていた、そのとき。


「白石澄さん!」


大きな声が、校庭に響いた。


振り向くと、武田が立っている。


その後ろには、野球部の姿。


なんだなんだ、と周りの視線が集まる。


ざわめき。


澄の心臓が強く鳴る。


少し離れたところで写真を撮っていたなっちゃんが、こちらに気づいて走り出そうとする。


けれど、近くにいた子が腕をつかむ。


「え、行かないほうがよくない?」


遠くで、そんな声が聞こえた。


武田は、顔を真っ赤にして、叫ぶ。


「好きです! 付き合ってください!」


野球部が「おおー!」と声を上げる。


誰かが口笛を吹く。


澄は、少し困った顔をした。


たくさんの目が、こちらを見ている。


断ったら、どうなるんだろう。


期待と、空気と、視線。


一瞬だけ、なっちゃんの顔が浮かぶ。


――無理してない?


まだ何も言っていないのに、そんな声が聞こえた気がした。


それでも。


「……はい」


小さく、うなずく。


歓声が上がる。


そのあとすぐ、なっちゃんが駆け寄ってきて、澄の袖を引いた。


「無理してない?」


想像してた通りの言葉が聞こえた。


心配そうな顔。


澄は、笑ってみせる。


「大丈夫」


本当に、嫌だったわけじゃない。


ただ。


あのときの空気を、澄はずっと覚えている。


それが、武田恒一とのはじまりだった。








一応完成までメモにあらすじをぐわーー!!っと書いている分を清書して出すので


多分トントンお話投稿します。


いつも三日坊主更新で完結知らずだったので

今回は先に書ききっちゃいました⸜(*˙꒳˙*)⸝


完結までよろしくお願いします

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