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033 最後のピース

 それからというもの、オレたちは二手に分かれて行動するようになった。


 オレとジル、ギュスターヴ、イザベルはダンジョンの第十階層を周回して反魂香集めを、リーズは宿に篭って錬金術の熟練度を上げている。


 第十階層を周回していれば、オレたちのレベルも上がるし、一石二鳥だね。


 リーズのレベル上げができていないことが不安ではあるが、一刻も早くギーを救うには多少のリスクは目を瞑らないといけないのだろう。


 リーズにはオレが消えた後のことも考えて、オレが考案する最速熟練度上げにオススメのレシピを紙に書いて渡しておいた。あれがあれば、次になにを作るか悩まなくてもいいし、順調に熟練度を上げることができるだろう。


 最近リーズとの時間が取れていないのが不満ではあるが、そんなこと言っていられない状況だから仕方ないね。


 まぁ、ここまでしても不安がないと言えば嘘になる。


 例えば、オレが消えた後とかな。オレはなぜこの世界に来たのだろう? そして、オレの魂が消滅した後、オレはどこに行くのだろうか? 元の世界に戻れるのか?


 記憶を掘り返すと、地球での最後の記憶は、エナジードリンクをがぶ飲みして何日もぶっ続けでゲームをしていた記憶だ。もちろんやっていたゲームは『リーズのアトリエ~落魄の錬金術師と魂奪の魔王~』である。


 ……もしかしなくても地球のオレは死んでいるのかもしれないなぁ。今思えば無茶苦茶してるもんなぁ。


 となると、この世界がオレの見ている夢って線も薄いかもな。こっちの世界で普通に寝れるし、一向に夢が覚める気配もない。


 死ぬのかぁ……。


 必死に考えないようにしていたけど、やっぱり死ぬのは怖い。


 でも、オレにはリーズの想いを知りながら、ギーのことを押しのけてまでギーとして生きることはできなかった。


 もっと図々しい性格ならよかったのに。そう思わなくもないけど、人生の最推しに嘘を吐くことをオレ自身が許せなかったのだ。


 まぁ、来世に期待だな。最後にちょっとは良いことするのだから、少しはボーナスのある人生だといいなぁ。


「さて、今日も行くか」


 オレは装備を身に着けると、宿を後にした。今日もジルたちと一緒にダンジョンの第十階層の周回だ。



 ◇



 あたし、リーズは祈るような気持ちで本のページを捲る。読んでいるのは、クレマンスさんから貰った古い錬金術の本だ。あたしの勘が正しければ、必ずあるはず……。


「はぁ……」


 見たページには載っていなくて、つい落胆の溜息を吐いてしまう。


 そして、また祈るような気持ちで本のページを捲った。


 もう残りのページは少ない。本当にないの……?


「ぁ……」


 思わず自分でも間抜けだと思ってしまうような声が出た。


「見つけた……」


 やっぱりあった!


「見つけたああああああああああああああああああああああああああああ!」


 これなら。これならきっと……!



 ◇



「だらああああああああああああああああああああああああああああ!」


 ジルの大剣が残っていたスケルトンウォーリアを粉砕する。これで十四回目の第十階層のボス完全攻略だ。


「お疲れ様」


 もう十四回もクリアしているからね。そんなに感慨は湧かない。パーティメンバーを軽く労って、オレはボス部屋の中心にある宝箱を開いた。


 ピカッと宝箱の中から光る演出もいつも通り。期待を込めて宝箱を開くと、中に入っていたのは小さな布袋だった。


「どうかしら?」

「反魂香だ!」


 宝箱の中を覗き込もうとしていたイザベルに答えると、彼女はホッとしたような顔をした。集まった反魂香はこれで五つ目。オレの我儘でイザベルたち『狼の爪牙』のメンバーには苦労をかけたからね。オレとしてもホッとした気分だ。


「間に合ったか……」


 自分の体に意識を向ければ、かなり細くなってしまったがギーの魂と繋がっているのを感じることができた。あとはリーズに護魂符を五つ作ってもらうだけだね。そしたら、ギーを助けに行ける。


「これで終わりか?」

「ああ、早くリーズに反魂香を届けよう」


 ジルに頷いて返すと、オレたちは『虎穴』に向かうべくダンジョンの外に出た。


 外の眩しさに目を細めながら上を見上げれば、まだ青空が広がっている。太陽は真上から少し傾いた程度だった。


 これなら明日にでもソウルイーターを討伐しに行けるかもしれない。


 噂では、ソウルイーターの被害を無視できなくなったバローの街の領主がソウルイーターの討伐に軍を動かす決断をしたらしい。これはゲームのシナリオでもあったことだ。時系列で考えると、オレたちはゲームで登場した数々のイベントを無視してソウルイーターと対峙することになる。その分だけレベルアップができなかったから、ソウルイーターとは厳しい戦闘になるかもしれない。


「遅くなっちゃったけど、お昼は『虎穴』で食べたいな」

「そうだな! あそこは安いのにうまくて食べ放題だからな! あんないい宿、他に知らないぜ?」

「あのシェフ、見た目に寄らず腕がいいのね」


 『狼の爪牙』のみんなもガエルさんの料理を気に入ったみたいだね。


「ガエルさんに頼んでみるよ」

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