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018 『狼の爪牙』

 テーブルに置かれた鴨肉のコンフィとラタトゥイユを黒パンで頂く。


 コンフィは低温油で食材を煮た料理。ラタトゥイユは野菜のごった煮といった感じの料理だ。そして、黒パンはいつもの黒パンだ。独特の酸味があり、そんなにおいしくない。食感もザラザラしていて、甘みもほとんどない。


 日本で食べられるパンとは比べるべくもないな。日本の柔らくて甘いパンが懐かしいよ。


 久々の外食だから奮発して鴨肉を頼んでみたけど、オレはその味に満足しきれないでいた。


「うぅーん……。味はまあまあかな……」


 味は悪くはない。だが、そこまでおいしくない。なんとも評価に迷うところだ。


 久しぶりの外食がこれというのは気が滅入るが、逆に考えれば普段からおいしいものを食べているということでもある。


 ガエルさんは、筋肉ムキムキタコ坊主って感じの見た目だけど、趣味が料理なのだ。そして、いつも儲けを度外視しておいしいものを食べさせてくれる。


 ほんと、もう感謝しかないよ。


「微妙だね」

「もー。失礼よ?」


 リーズも否定しないということは、やっぱりリーズもガエルさんの料理の方がおいしいと感じているということだろう。


 今度からできるだけ『虎穴』でご飯を食べよう。その方が安いし、なによりおいしい。


「東の街道で商隊が魔物に襲われたんだってよ」

「護衛費をケチるからそうなんだよ」

「お前、本当にソーセージ大好きだな」

「我がクランでは冒険者を募集しており、皆で――――」

「ギー様、リーズ様、今よろしいですか?」


 食事も終わってゆっくりしていると、相変わらず騒がしい飲食スペースで名前を呼ばれた。振り返って見上げれば、受付嬢さんがいた。


「ああ」

「冒険者ギルドからお勧めする冒険者パーティが決まりました」


 もう決まったのか。もう少し時間がかかるか、なんなら今日中には無理かもと思っていたよ。


「こちらに来ていただけますか?」

「わかった」

「わかったわ」


 受付嬢さんに付いて行くと、受付カウンターの横にオレたちと同じくらいの年の三人の冒険者がいた。


 あの三人は……ッ!


「こちらは冒険者パーティ『狼の爪牙』のリーダー、ジル様です。ジル様、こちらが冒険者ギルドのお勧めするパーティメンバー、ギー様とリーズ様になります」


 冒険者パーティ『狼の爪牙』?


 こいつら、もうパーティを組んでるのか?


 まぁ、この世界はゲームのままのようでゲームとの差異もある。ゲームではパーティを組んでいなかったこの三人もパーティを組むことにしたのだろう。


 オレは、紹介された『狼の爪牙』のメンバーを一人ずつ見ていく。


 大剣を背負った赤髪の気の強そうな少年、ジル。どうやら彼がパーティのリーダーらしい。大剣を使う戦士であり、攻撃力のあるキャラクターだった。ゲームのビジュアルよりイケメンだな。


 そして、革を金属で補強した鎧を着て、大きな盾を持っているのは、ギュスターヴ。柔和な表情をした縦にも横にも大きな少年で、防御力が高いパーティの守りの要だ。


 最後は黒いローブを着た紫がかった黒のロングヘアの少女、イザベル。そのメガネに向こうから鋭い目付きでオレたちを値踏みするように見ていた。


 この三人は、ゲームにも登場したキャラクターだ。強さで言えば、大当たりではないけど当たりの部類かな。


 この三人とパーティを組むとしたら、なかなかバランスもいいな。


「あーっと? 弓使いと錬金術師か……」


 ジルが手に持った紙とオレたちを交互に見ながら言う。ジルの後ろからはギュスターヴとイザベルがジルの持つ紙を覗き込んでいた。


「弓使いはわかるけどよ、錬金術師って何ができるんだ?」

「え? アイテムを使ってモンスターを妨害したり、味方の傷を癒せしたり……かしら?」

「でもそれは俺たちがアイテムを使っても同じことだろ? わざわざ錬金術師を入れるメリットはあるのか?」

「えっと……」

「ちょっといいか?」


 言葉に詰まってしまったリーズの代わりにオレは一歩前に出た。


「錬金術師は、アイテムに魔力を籠めることでアイテムの性能を上げることができるんだ。同じポーションでも、オレたちが使うのと錬金術師が魔力を籠めて使うのでは性能が違ってくる」

「ギー……! ありがとう」

「いえいえ」


 リーズが感動したようにオレを見上げていた。めちゃくちゃ気分がいい。リーズの為ならなんでもしたいよ。


「なるほどな……。だが、アイテムに魔力を籠めるだけならイザベルでもできるんじゃないか?」

「私にはできないわよ。魔力の使い方が根本から違うのよ」

「そういうもんか? じゃあ、どうすっかなぁ……」


 ジルが腕を組んで考え始める。


「正直に言うと、俺たちは神聖魔法を使えるヒーラーが欲しかったんだ」

「なるほど……」


 神聖魔法、俗に言う回復魔法か。たしかに即効性のある回復手段は欲しいところではあるが、そこは錬金術師でもカバーできなくもない。


 そう考えて、冒険者ギルドはオレたちを『狼の爪牙』とマッチングさせたのだろう。

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