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24 竜

 竜のところまで行く前に、先にやっておきたいことがある。

 今後ろで串刺しになっているキマイラもそうだが、本当は捕縛が一番だった。

 竜に勝つ方法、とは言ってもレッサドーラゴン限定になってしまうとは思うが、とにかくレッサードラゴンを殺す方法は至って簡単だ。


 そもそも、竜の強みとしては、圧倒的な魔力量に裏付けされた、魔術への耐性と防御力である。なんなら、魔術は普通のものであれば通用しないと考えていい。

 では魔術専門の俺がどうやって竜を殺すのか。それは、レッサードラゴンの対応できない量の弾幕のような魔術を浴びせ続けて、そのまま押し切るというものだ。

 もっとも、他の上位の竜にはもう一捻りしないと通じないだろうが、下級の竜に関してはそれで問題ない。実際、俺が山の上に住み始めた時に襲ってきたレッサードラゴンの二体はそれで殺せた。


 とはいえ、戦っている間に邪魔が入るのは面倒だから、とりあえず捕縛しておこう。そういうわけだ。

 それでも、この森にいる全ての魔物の捕縛は、流石に厳しいか。

 それに、そのために森全体を魔力感知の媒介で囲めば、冒険者連中には大魔族が突如森に現れたという感覚になる。さすがにそれはダメな気がするな。

 いや、それもありか。別に今この場に大魔族が突如現れたとしても問題はない。竜が何かしようとしているから飛んできた。そう解釈できる。

 よし、とりあえず森全体を対象に魔力感知だけしてみようか。


 そんな風に考えながら魔力感知をかけて思ったことその一、圧倒的な魔物の数の多さ。どれだけいるのさ、これ。

 その二、冒険者たちが森から離れるまであと少しということの確認。帰りは本当に全速力で帰ったんだろう。往路とは比べ物にならないくらい速い。

 その三、竜の周りを綺麗に魔物が囲んでいて大変そうだということ。竜の魔力なんて圧倒的に異質だから、一瞬でわかる。そしてその周りをぐるりと一周囲い込む魔物の群れ。

 まぁ面倒臭そうということに変わりはないが、とりあえず魔物の位置が大体わかったから、これでいい。

 これを魔術で捕縛するのは、まぁさっきと同じように土魔術の柱で囲む感じでいいかな。さっきみたいにならないように、加減はしっかりしよう。

 さっさと捕縛だけしておいて、竜のところに向かおう。


 「せいっ」


 なんとなくで掛け声をかけてみたが、いらなかったな。


 ともあれ、魔術は発動できたし、これで余計な魔物は捕縛完了だ。

 竜のところへは歩いて行ってもいいが、歩いていたら1時間以上かかりそうだ。

 というわけで、風魔術で森の木々の上スレスレを飛んでいこう。その間にやっておくことは、特にないし、どんな魔術で竜を殺すかを考えるだけだ。

 一応、魔力感知を発動させっぱなしにしているから、竜が動いていないことは確認済みだ。その場を離れるか、俺のところまで来てもいい気がするが、迎え打てる自信があるらしい。

 となると、生まれてからそこまで時間が経っていないんだろう。今の俺は、外に出す魔力を制限しているとはいえ、それでもレッサードラゴン程度よりは多い魔力量だ。それで動かないのは、相当な自信がある以外に考えられない。


 それと、魔力感知で分かったことその四だが、冒険者教会でSランクに登録されていた魔物が、さっきのガープの他にも4体いた。本来であればこの森一つでも足りないくらいの縄張りの広さを持っているが、それがこんな数いるとは。やはり異常という他ないな。とはいえ、すでに捕縛済みだし、脅威にはならないか。

 あと気になるところは、特にないか。


 〔ヴァァァァァアア!〕


 飛んでいるとやはり早くに着くな。前方からレッサードラゴンの咆哮が聞こえてきた。

 今になって逃げる準備を始めようとしているが、それを見るともしやさっきまで俺の魔力量にすら気がつけていなかったように感じる。やはり若いのか。


 「逃げるなよ? これでも久しぶりで楽しみにしているんだ」


 問いかけてみたものの、返答はなし。当然か。

 だが、逃すわけにもいかないし、逃す理由もないからな。ここで殺してしまおう。


 そう考えながら火魔術の術式を展開して、そのまま発動させる。

 連続する爆発音と共に、レッサードラゴンの翼膜を焼き続ける。

 そして十秒もしないうちにレッサードラゴンは地面に落ちた。小さい爆発が高速で何度も起こるタイプの魔術だったから、多分100回近くは爆発が起きた気がする。

 それにしても、思ったよりもあっけなく落ちたな。これならやってみたい別のことができた。


 「近接戦闘の練習台になってもらおう」


 竜種はどれも硬い鎧を纏っているから俺の剣術が通用するかどうかはわからないから、その練習台だ。できる限り傷つけないように翼膜だけを狙ったし、問題ないだろう。


 そら、レッサードラゴンの爪が飛んでくる。

 魔術で飛んでいた状態で踏ん張りが効かないまま、吹っ飛ばされて木に激突する。威力だけならニルド以上であることは確実だ。

 間髪入れずに次の爪が目の前に迫っていた。向こうみずに突っ込んでくる感じ、冷静さは失ったのか。

 その爪を、剣をなぞらせて後ろに逸らす。俺がさっきぶつかった木が真っ二つになって吹っ飛んでいったが、俺は怪我していないな。


 さて、肝心なのはどうやって攻撃を通すかだが、どうしたらいいかあまり思いつかないな。

 とりあえず逆鱗の裏に刃を通すことが考えられるが。他だと目か、口の中だ。

 せっかく魔術無しでやり合うんだ。魔術は使わずに行きたい。

 となるとまずは前足を落とすことが先だな。


 レッサードラゴンの背中を登って、少し立ち止まる。

 そうすると、体を反転させながら左の爪が飛んでくる。突きのような鋭い攻撃だ。刺されたら治癒魔術も間に合わない。

 それだけ確認してその爪とすれ違うようにレッサードラゴンの胸元まで降りる。

 すぐさま右の爪が迫ってくる。これもさっきと同じで一撃くらえば死ぬ。


 が、俺はこれを待っていたわけだ。

 その爪をすり抜けた先の右前脚の付け根にあるのは、さっきの魔術で一枚だけ鱗の剥がれた場所だ。綺麗に肉が見えている。

 そこに向かって剣を突き刺したら、あとは簡単だ。そこをとっかかりにして足を切り落とすだけで終わりだ。


 〔ギャァァァァァァァァァアアアア!〕


 愚かにも勝負を挑んできたレッサードラゴンは、前足を落とされて大変ご立腹の様子である。もっと頑張って楽しませてくれよ。

 腕を落とされたレッサードラゴンに残る攻撃手段は、尾に左の爪に、あとブレスだ。こんな近距離ではブレスは使ってこないから、尾と爪だけ警戒しておけばいい。とは言っても、もう終わると思うが。


 前足が落ちてバランスを取りにくくなると、立ち上がって左の爪を使う頻度は少なくなる。

 今も、残った足は全て地面についている。であれば、狙うは逆鱗一つ。

 レッサードラゴンの首を、短剣を使って登る。短剣を使うとは言っても、刺して足をかける場所を作ってから、飛び上がるだけだ。

 そうすれば目の前には逆鱗。ここの裏に剣を突き刺せば終わりだ。


 「ッ───!?」


 突如として脇腹を襲う激痛。見て確認しなくても、今落下している現状と、感覚でわかる。脇腹を食われた。

 食いにくるとは、失念していたな。

 内臓が出そうになっているが、戦う分には少しの支障があるくらいだ。


 地面から起き上がって、そのまま逆鱗のすぐそばまで到達する。

 もう一度食いにこようとしてきているが、今度は油断しない。

 拳で下がってくる顎を殴ってから、逆鱗の裏に剣を刺し込む。

 そのまま着地して、終わりだ。


 逆鱗の裏を刺されたレッサードラゴンは、最後に左の爪を振り下ろそうとしてきたが、俺の横を掠めて、そのまま地面に倒れ込んだ。

 腹の傷はとりあえず治癒魔術で修復する。今まで森で生活していてこういうことは何度かあったから、もう慣れたものだ。一瞬で完全修復が完了だ。

 これでスタンピードのための下準備は終わりだな。そうしたら、街に魔物達を消しかけるとしようか。

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