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いつの日か  作者: 中井田知久
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パリの街

僕はプロのカメラマンになっていた。あと1分。パリの白い太陽が欠けていく。皆既日食がはじまっていた。太陽がダイヤモンドリングを発する。


佳奈は僕には内緒で、CANONのR5を買っていた。佳奈が亡くなり、代々の墓に佳奈の骨壺を入れて、その後、近親者だけが集まって会を開いた。僕がそこでビールを飲んでいた時に、佳奈の母親がそっと僕にカメラを手渡した。50万円のR5は、僕には高価で、扱えないと思っていた。プロのカメラマンになるには、いいカメラを持ってないとダメと言っておいてと、佳奈が言っていたわ。佳奈の母親は僕に言った。


僕は今、パリにいる。賞も何個か取った。僕の左手の薬指には指輪がない。だって、僕には佳奈の贈ってくれた、太陽のダイヤモンドリングがあるから。ねえ。佳奈。君の言った通り、カメラマンになったよ。でも、君は傍にいない。僕は、時々寂しくなるんだ。ジャケットのポケットから、古びた写真を取り出した。佳奈の最期の写真。そこには、屈託のない佳奈の笑顔があった。浮気はしてないよ、と僕は写真の佳奈に言って、またポケットにそっと入れた。


皆既日食は終わっていた。僕はカフェで会計を済ませると、パリの街を歩きだした。

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