#88 死後の楽園の娘らよ
「いたたた。ここはどこだ?痛みを感じるのも久しぶりだ」
闘技場から結構な距離を飛ばされたな。この辺りは北東の郊外か。闘技場から8人の創世級と他複数の巨大な魔力量を感じる。力のある冒険者や本選参加者は保管していないからな。戦力としては十分だろう。それにしても、闘技場からこの距離まで地響きがする。この天使魔法はキミか。
リリアンは私よりも遠くに飛ばされたようだ。というか、山が複数爆炎を上げながら消えている。魔力個体反応はあるから死んではいないだろう。腐っても創世級。この程度で死ぬような奴ではない。
「さて、闘技場へ戻るか。あの魔導なんとか帝をぶちのめさなきゃならないからな」
「させるかよ!!」
「誰だ?!」
「俺はニータス。魔導皇帝陛下の元はへ行かせない。お前を足止めさせてもらう」
「本選参加者のアエテル・ニータスか。貴様、あのなんとか帝の仲間か」
「そうだ!陛下の邪魔はさせねぇよ!!」
「残念だが、お前では私には足止めすら叶わないよ」
「ハッ!馬鹿が!俺様の力を舐めるなよ!!」
流石は本選参加者だ。剣の軌道が分かりにくいようにフェイントと剣に魔法を乗せて挟みながら攻撃してくるが、その程度の攻撃では私には届かないし、直撃しても私には痛くも痒くもない。
そして、いくらレベルがカンストしていようが、ステータスが振り切れていようが、他の強者であればニータスのこの攻撃は通用したのかも知れないが、私はこの世界最強の大魔法使いのパルム・エノカ。多少強い雑兵など私の敵では無い。
「時間が無いんでね、さっさとこの茶番を終わらせてもらおうか」
『世界魔法:地平線の次元』
「なッ!?馬鹿なッ!!!?」
ブシャッ!!!
加減したとはいえ、この大都市の区画半分が一瞬でニータスも含めて容赦無しに完全に潰れた。全力を出せばこの大都市ごと潰せるが、それでは仲間も巻き添えをくらってしまうし、何よりも後で仲間からの報復が怖い。さて、潰れた分、見晴らしがよくなった。対策を練りながら闘技場へ向かいますか。
◇
ナグリー山脈だった跡地。あの魔導皇帝やらで優雅で雄大で自然あふれるこの景観が全て爆撃で吹き飛んでしまった。もはやナグリ―山脈は無い。魔導皇帝の攻撃で跡形も無く消し飛んでしまったのだから。私の領地をこんなにもしてくれやがって!!
「許さん!!」
それにしても、闘技場には他の大魔法使いが集結しているのを魔力感知で確認できた。パルムも無事そうだ。郊外で魔法を行使した様子が見えたから、魔導皇帝以外にも伏兵がいるのかも知れないな。
ガシャン ガシャン
何の音だ。歩く音?いや、進軍する音だ。この国へ大軍を援軍要請した覚えはない。ということはつまり敵だな。この音はどこから聴こえる?感知魔法最大。見つけた、周囲を囲まれているな。あの魔導皇帝わざと私をこの山脈へ吹き飛ばしたか。
「私をこの程度の軍勢で足止め出来るとでも?しゃらくさい」
眼下には目測およそ10万を超える兵がいた。しかも、この世界の魔物ではない。人型をした何かだ。武装した全員が未知な高位な魔法武装をしている。あの魔導皇帝の兵か。未知であろうが、私には関係無い。私の民と領地を破壊されて、しかも無断で領地に大軍を侵攻させているのは不快の極み!
「私は容赦はしないぞ。様子見も無しだ」
「魔導皇帝の配下である!将軍のグラバートだ。全軍攻撃開始!魔法使い一人に我らなら攻略は容易い!!我らには魔導皇帝の加護がある。奴らの魔法は全て魔導皇帝陛下が無力化なされておる!蹂躙せよ!!」
地響きと大気を揺らしながら、地上から上空から何万の武装した兵が迫ってくる。人ではない、何かだ。新種の魔物か魔人か。魔法が効かない?上等!こちとら、その対策済みなんだよ。別世界の来訪者か、鑑定するまでもなく、もはやどうでもいい。
「消えろ!!」
『滅神魔法:神羅」
何かだった10万を超える兵は一瞬にして灰になった。
「ば、ばかな!?我らには魔法が効かない筈?!」
「ちッ!生き残っていたか」
「まままて、今なら我らの軍門に下ればこの特異世界は陛下の庇護下に入る。今なら」
「黙れ!」
『極滅神魔法:忌堕胎』
「ばgagtetyrht」
残り数千の兵が全員内側から外側へと弾け飛んだ。
「許さんぞ、魔導皇帝!」
◇
二人の大魔法使いが闘技場へ向かい始めた。




