#78 純白銀の髪を持つ白き彼女の人生
少女は氷の大陸で生まれた。両親は戦争で亡くした。孤児としてこの世界に生を受けた。この絶望的な環境で生きてきた。誰にも頼らず、自分だけを信じてこの世界を恨んで生きてきた。
環境が改善される状態は見込めず幼少期は孤児院で過ごし非常に過酷な環境で過ごしてきた。
万年戦争している国は6歳になる子どもへの徴兵制を強いた。そして、少女は徴兵に伴い魔力量の測定をした結果、幼い頃から莫大な魔力を有していたことが発覚してから、彼女は軍の所属となり瞬く間に成長し、最強を欲しいままにしてきた。この世界が憎い、自分の弱さが憎いと生きてきた。強くあろうと誰よりも比較出来ない程強く賢くに。
時代は過ぎて軍に仕え、戦争大都市に仕え、戦争国家という亡大国に仕え、少女が歩んできた道のりは気づけば国一番の魔法使いとなった。
少女は魔法との異常に相性が抜群に良かった。大魔法による反動や後遺症も無い。むしろ使用すればするほど少女自身に絶大な力が恩寵のように少女を祝福されているように自分も世間も感じていた。それが普通であり、少女は成長し彼女となり、世界の均衡と対等まで辿り着いた。もはや評議会のご老人らにも私の権力にも及ばなくなってきている。
そして魔法解読にも、異常的にずば抜けての才能があり、聖域、神域に至るまでの大魔法も苦無く習得した天才の天才を地で行き、齢20歳になるときには加盟国1000は連なる特異世界魔法大連盟の序列3位まで上り詰めることが出来た。上位の序列は年功序列式であり、どうすることも出来ないが、彼女が序列1位になる未来はそう遠くはない未来だと世界は認めつつあった。
千年万年の戦争を止める力を持つ希代の魔女になった。
少女は大人となり幾多幾千の戦場を駆け巡り紛争や戦争をたった一人で解決して制圧してきた。彼女は新世代の創世級と呼ばれていた。
旧世代の創世級には関心は全く無い。彼女が興味あるのはただ一つ、自分の力とこの力でこの憎い世界を超えること。
私は転生者だ。
生前はソヴィエトと呼ばれる大連邦国家で生まれ、その大帝国はユーラシア大陸全域を帝国として治めていた。出身はヤロスラヴリ州の南西53キロ、ネロ湖のそばに栄えた古の都であるロストフで生まれ育った記憶はある。どうしてこの世界に来た経緯は知らない。それだけは何故か記憶が無い。ただ、この転生した世界が憎いという強い念だけが私と世界を繋ぎ止めていた。
私はこの世界に転生させた何者かがとても憎くなった。
誰が望んでもいないこんな世界へ転生されてきた意味を知りたいと探求に探求を重ね、彼女の野望は神域の世界への介入を視野に入れていた。
彼女の力は神々の世界に至らんとするのも時間の問題である。
世界からは神の代行者か、希代の魔法使い、新創世級の大魔法使い、様々な呼び名が彼女を包み込んだ。
彼女の憎しみと反比例して、この世界に産み落とされてから私のなかにある偉大なる恩寵は更に強くなり、一人で創世級と対等かも知れないというところまで彼女は手が届きそうになっていた。
「次ぎの対戦者はポラリス・ステラマリス、極星と星の海を渡るものか。名前からして彼女も転生者か転移者だな」
冷たく全てを凍てつかせようとするその氷のような瞳は、対戦者の名を指でなぞり、確信めいた言葉を発した。
憎しみが込み上げてきた。同胞である可能性もあるが、この世界にいる今まで会ってきた転生者や転移者はどうも私がいた世界線とはズレているらしく、世界の常識や国や常識すらも乖離していた。同胞である可能性は皆無だ。
ポラリス・ステラマリスとはどんな人物か、どんな戦闘をするのか。期待もしないし、希望もない。ただ、この世界に自分の力を認めさせるための駒としか思わない。
この大会はとても都合がいい。
各国から著名で強者のなかの強者が出場し、私の前に敗退していく。時間はいらない。この大会で最強なのは私なのだから。
「そろそろ準備をお願いします」
「ああ」
私を迎えに来たスタッフが私の覇気で震えている。
私はただいるだけで、周囲は身分や種族関係無く震えるのだ。憎しみが声を出さなくても行動に起こさなくても世界が私に震え始めている。
三回戦相手で戦闘したアエテル・ニタースという人物も最初は粋がっていたが、時間が進むにつれ、圧倒的な私に涙しながら請願し懇願して負けた。
彼奴は転生者や転移者とは異なる別次元の存在ということはわかったが所詮はその程度だ。強いだけでは私に勝てることは出来ない。ただ強大な力を振るおうとも私には届かない。
ポラリス・ステラマリス、お前はどうかな。
退屈していたこと大会も次で終わる。
さぁ、始めよう。




