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ポラリスの多世界  作者: 一
主特異界編
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#07 保護と任務とお姉さま

僕から見たら一見軍服とは見えない未来的なデザインだが、どちらかというと宇宙服みたいな?


直観で軍服だと理解した。ただ、違和感を感じる。

彼女の仕草や佇まいからくるものかどうかはわからないが、そう思えたのだ。

謎の軍服を着た女性は僕の前に来ると名乗り始めた。


「ポラリス様、お初にお目にかかります!私は、神煌星エマリリス国際連合神煌大宇宙軍直轄全方位宇宙域時空検閲省第00中央特務室特級主席官、リノ・ノノです!リノとお呼びください。お姉さま!」


笑顔が眩しい!

眩し過ぎる!!


(な、長い。一度には覚えきれないな。時空検閲ってこれは。。)


ただ、軍服を着ているが、どこか親しみやすい雰囲気を感じる。しかもなんだか距離が近い気がするのは気のせいだろうか。


というか、お姉さまってなんだ?どういうことだ??


まぁ、僕には性別はなくなったし、男性でも女性でもない。無性なのだ。なんと、悲しい現実か。まぁいいんだそれは。。


悲しむ暇も無く


リノさんという軍人さんは、僕のパーソナルスペースを越えてきそうな雰囲気も感じた。そして、直観は当たったのだ。


「は、初めまして、ポラリス・ステラマリスです。よろしくお願いします。僕のことはお姉さまではなく、ポラリスで結構ですよ。今日はどのような御用でしょうか?」


「では、お姉さまで。本日は、お姉さまの保護とお話があり参りました!」


またもや眩しい!!笑顔が眩しい!!直視できない!!!

純粋な満面の笑みだ。なんと幸せそうな。


(というか、なんだ?!なんだ?!お姉さまとはいったい??!!)


「僕はお姉さまではありません!保護?とお話でしょうか。保護とはどういうことでしょうか?」


「お姉さまはお姉さまです!ここは譲れません!」


一体、このアホの子は何なんだろうか。結局僕が折れた感じでお姉さまと呼ばれることを承諾した。


転生して転移した僕自身、性別も無いし、見た目は女性のような顔つきだし。

きっと彼女リノさんは折れない。話も進まないし。


まぁ悪意を感じないので良しとした。僕も相当なアホの子だ。


「わかりました。お姉さまでいいです。何故、お姉さまなんですか?」


「リノはお姉さまをずっと待っておりました。そして、ようやくお姉さまがこの世界へやってきました。リノはとてもとても感激して嬉しい気持ちでいっぱいです!」



????



話が見えない。謎が謎が呼ぶような感じだ。展開と状況がついていけない。


マスターのサポートに入ります。彼女は高度人工知能生命体アンドロイドです。どうやら、マスターの転生転移後に起動したと思われます。合わせて任意ではなく、状況把握の為、自動観測モードに移行します≫



え?!観測オブザーバーさん、ありがとーーー!!!


しかも、再起動した時期まで。。そんなことまでわかるの?!それに高度人工知能生命体アンドロイドって。人間じゃなかったのか。。


観測オブザーバーさんの気の利いた自動観測モードに入ったおかげで、網膜に必要な情報が表示された。


これで、スムーズに話ができそうだ。


「僕を待っていたということは、そのお話ということも関連してくるということですね?」


「さすが!お姉さま!そうです、私はお姉さまのために今日まで生きていました。昨日再起動したばかりですけど!」


キラキラした目で身を乗り出してきた。

(昨日、再起動って。。)


「さ、再起動ということは、やはりリノさんはアンドロイドなんだね」


「そうなのです!リノはお姉さまと同じ転生転移者の一人かもと言われております。なので仲間です!」


観測オブザーバーさんのおかげでもリノさんと僕との境遇は同様の結果が出ている。


ここにいるということは、その話というのも、僕らと関係のある話ということだろう。


転生転移者はとても珍しいとは聞いてはいたが、まさかこんなに早く先輩というか、お姉さまと言われているが.....お会いできるなんて。照れくさいが、慕われているようで正直悪い気はしない。

僕にとって、人間だとか種族とかアンドロイドとか関係ないのだ。


同じ境遇に出逢えたということだけでも、僕にとってはとても嬉しい出来事だ。


これも何かの縁なのだろう。運命のような感覚を感じた。彼女の笑顔からは全く悪意も感じないし、寧ろ笑顔が眩しいぐらいだ。彼女も僕と出逢えてとも嬉しいのだろうし、僕と同じ気持ちなのかも?知れないな。


「お姉さまとお会いできてとても嬉しく思います。早速、お話という件ですが、この瞬間よりお姉さまは軍で保護されます。そして、これから軍部まで来ていただきます。上司が直接お話したいことがあるとのことで私も同席します」


「上司の件、わかりました。軍で保護ということはちなみどういうことでしょうか?」


「通常、転生者や転移者は軍で保護されるのです。理由は犯罪や事件や事故に巻き込まれるのを防ぐことです。他の世界では異なりますが、特にこの世界へ来た時点で保護の対象となります。特にお姉さまのように転生転移し原初の種族として確認されましたので特にです」


どうやら、セントラル・リスタの情報は軍やこの国、世界と共有されているようだ。しかも、動きが早いのを見ると、よほど僕の情報は希少で緊急を要する事態なのだろう。

しかも、他の世界ということはこの世界とは違う世界があるのだろう。


巨大な建築物の周りに星が周回しているぐらいの不思議世界なのだから。


軍部でリノさんの上司にお会いすればこの世界について、今後のことや、何か知る切欠になるのかも知れない。


寝食する場所は居場所が現状無いことは確かだし、これからの身の振り方についてもこれから考える筈だったが、状況はそれすら考える時間をくれないようだ。


この場は身を委ねるしかない。


《私も全力でサポートさせていただきます!》


観測オブザーバーさん、ありがとう。とても心強いよ)


「お姉さま!自分の能力とばかりお話しないでください」


ヤキモチか?アンドロイドなのになんだか人間らしいというか、久しぶりに感情のやり取りをしているような懐かしい気持ちなったことは間違いないのだ。


「あ、申し訳ない!お話わかりました。リノさんの上司にお会いします」


「お姉さま!ありがとうございます!これからは、リノとお呼びください」


「わかりました。それじゃ、リノよろしくね」


「かしこまりました!!!」


それにしても、なんともリノは感情表現が豊だ。豊過ぎるかも知れないが。

これから賑やかな日常が始まりそうだ。そんな気分になった。


僕はこのセントラル・ポスタマ―へ着くまで内心、心配や不安といった緊張感がとてもあった。だが、自分のことを知り、お姉さまと慕ってくれる同じ境遇のリノの眩しい笑顔のおかげで吹き飛んだ気がした。寧ろ救われたのかも知れない。

まだ、会って間もないが感謝している。


「それでは、早速お姉さまを上司のもとへご招待しますね。こちらへどうぞ!」


とても張り切っているようだ。胸を張って先頭を歩く姿はなんだかとても微笑ましく思ったことは内緒だ。


さてさて


リノの上司とはどんな人だろうか。とても気になるが、会ってみないと

何事も始まらないのは確かだ。


セントラル・ポスタマ―で退館手続きを済ませ出口へ向かう。


セントラル・ポスタマ―へは駅から館内へ直接転送されたので、外の景色はわからなかったが、外の空気はとても美味しく、天にも届きそうなビル群にも関わらず、日陰がないくらいとても明るく空間が開けているように見えた。


これも魔法か科学のおかげか。


空は快晴、風も穏やかで心地良い。

大階段を降りた先には、タイヤの無い車があった。どうやらあの乗り物に乗っていくらしい。


道路を行き交う他の乗り物もタイヤらしきものがなかった。空中に浮かんで移動している。


「お姉さま、どうぞお乗りください」


車のドアを開けてリノが待っていてくれる。運転手はいないようだ。自動運転というやつか。凄いな。


車の中に乗り込むと、革張りのしっかりとした高級感のある内装だ。軍用の送迎用の車なのかも知れない。


《ご明察の通り、軍用の送迎車両です》


観測オブザーバーさんが裏付けしてくれた。


転生転移して1日も経っていないが、もう軍のお世話になっている。お姉さまと慕ってくれるリノもいる。


展開が本当に急過ぎるが、濃くも長い1日だ。きっと、行った先でも軍からの話だ、今までの流れを予測するに急な展開が待ち構えているに違いないと思った。思わないほうが、おかしい気がするのだ。


僕には、観測オブザーバーさんもついてくれているし、なんとかなるだろう。


リノとはこれからどんな付き合いになるのかはわからないけれども、敵意はないようなので、この状況も身を流れに委ねることにした。

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