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ポラリスの多世界  作者: 一
主特異界編
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#06 自己照会


セントラルポスタマ―という場所は、教会のような荘厳で神聖さを感じるような雰囲気があった。

しかも屋内だというのに、とても明るい、まるで屋外を歩いているようだ。これも魔法かなにかの仕掛けがあるのだろうか。蛍光灯のようなライトも見えない。天井全体から照らされているようだ。


しかも、床はふかふかの絨毯で歩き心地はとても良い。もしかしたら、魔炉機関車並みかそれ以上かもしれない。さすがは、大都市の役所?というか、セントラル・ポスタマーだ。他を知らないけれど。


素人目で控えめに言っても、この世界の丁度品はレベルがとても高いように思える。まぁ、この星の直径は10兆㎞もあり、大都市の中心に聳え立つ余りにも巨大な建物を中心にして星が周回しているのだ。


デタラメというのか、規格外というのか、今の僕に必要なのは、生まれ変わる前の知識や常識は全く通じないというところだ。

不思議ときっと、他の転生者や転移者の先輩たちもこの世界に来た時には同じ気持ちだったのではないかと感じた。実際はどうかは知るよしもないのだが。


生まれ変わって1日も経っていない中で、情報が氾濫して多少混乱しているところが多々あるが、僕も生まれ変わる前は33歳のいい大人だ。

今や、随分若くなってしまったが、精神は大人なつもりだ。戸惑いや混乱は誰だって起きるはずだ。何があっても適応していけるように一歩ずつしっかりと構えたいものだ。


ロットさんが、ポスタマ―で諸々の照会と調整が必要とおっしゃっていたので、ここで自分のステータスや能力を確認できるのであろう。


果たして自分には、能力があるのかわからないが、もし能力というものが自分のなかにあるのであれば、自分の幸せのために、誰かを幸せにできるよう活かしていきたいものだ。


自分が幸せじゃないのに、周りを幸せにできるはずはない。生まれ変わる前もそう生きてきた。生まれ変わって姿形が変わっても心は変わらないのだ。


そんなことを自分のことがわかる前に内に秘めて決意した。


案内のお姉さんが大きな扉の前で足を止めた。


「ポラリス様、こちらがセントラル・リスタとなります。中に入りまして中央にあります透明の板に両手を触れてください。個人情報になりますので、私のご案内はここまでです。時間を確保してありますので、ゆっくりとポラリス様の状態を確認をしてください」


「ご丁寧にありがとうございます。ゆっくり確認してみます」


「ポラリス様の情報確認が終わりましたら、受付までお越しください」


「はい。ありがとうございます!」


僕は重厚感のある大きな扉を開けると、光に包まれたような白い部屋の中央には、うさぎ駅(ラビットステーション)にあったリスタとは比べ物にならないほどの巨大な透明の板が浮かんでいた。


部屋の中なので、まるで別の空間にいるような不思議な感覚がした。なんとなくだが、直感でそんな気がしたのだ。


セントラル・リスタが浮かんでいる。僕は勇気と期待と様々感情を諸々秘めて両手を透明な板(セントラル・リスタ)に手をつけて目を瞑った。


目を瞑っている筈なのに、周囲の様子が見えて、身体が光の粒で包まれる不思議な感覚があった。


両手からは全身の情報がセントラル・リスタに吸い込まれたり、僕の身体に入ってきたり、体感で情報の行き来をしているのを感じた。


声が光の中から聞こえる。


『ポラリスの姓を教えて』


神聖な澄んで落ち着く声が僕の心に響いた。


(姓?本名か?んー)


考えていると、色々な思いが込みあげてきた。


僕は少し悩んだ。生まれ変わったこの身体、異世界、新しい生活、これからの人生。期待や不安、勿論心配もある。だが。

生まれ変わる前の人生は、振り返ればほどほどの人生で、人並みには幸せだったと思える人生だったと思っている。


宇宙好きの祖母に育てられ宇宙や星や今でも大好きだ。

後悔といったらもっと自分のために楽しく、色々な世界を見てみて、いろんな人たちと出会いたかったということだ。

とは言いつつもやっぱり誰かのために身を削るかもしれないけれども。


せっかくだから、最後に観た北極星であるポラリスはこのままで、新しい人生の門出に相応しい名前を付けよう!


それはーーー


「僕はポラリス・ステラマリスだ!」


(星の海を渡るものという意味だ)


『確認しました。ポラリス・ステラマリス様。これから照会に入ります。目をお開けください』


僕は情報と様々な色をした光の奔流に身を任せた。

そうすると、視覚と頭にも直接情報が流れ込んできた。



------


自己照会結果


【氏名】ポラリス・ステラマリス

【年齢】:14歳

【身体】:髪:星色(白金) 肌:白 目:虹色

【身長 】170cm

【種族】:星の子

【性別】:無し

【真核】:「観測」

【魔法】:無し

【技能】:「超体力」「自然治癒」「跳躍」

【耐性】: 「苦痛耐性」「病気耐性」「即死耐性」

【潜在能力】: Oオー


-----


おお!!自分の情報が浮かび上がってる。

というか、性別が無しってどいうこと??確かに”息子”の感覚もない。恋愛も結婚もこれで生前の時と変わらず独身のままだな。。

ふと、トイレをした記憶もそいうえば無かったことも思い出した。


いやいや、中性的な見た目だったのでそんな気はしていたし、なんとなく感覚でわかっていた気がしていた。


14歳まで若くなった?のか。生前の半分以下まで。なんだか、得をした気分だ。合わせて、身長は少し低くなったか。


「種族は星の子か。おばあちゃんが知ったら喜ぶだろうな」


続いて、真核、技能と耐性は生前の死ぬ間際の影響が大きい感じがした。わからない点があるとすれば、跳躍とOオーとかだろうか。んー。わからない。


《はじめまして、ポラリス様。私、真核を司る「観測オブザーバー」と申します。これからポラリス様の任意でサポートさせて頂きますので何卒宜しくお願い申し上げます》


「なななっんだ!」


僕は驚いた。頭の中に語りかけてきたのだから。


《驚かせて申し訳ございません。私は真核としてあなた様の心の核である人格のかけらというべき存在が形になった姿にございます。なので、私はあなたと同一の存在となります》


何を言っているのか、さっぱりわからないが、何を僕に伝えたいのか何故か不思議とわかった気がした。自分と同じ存在だからなのかも知れない。なんせ、なんとなくだが、自分と似ているような気がしたからだ。


観測オブザーバーさん、驚いて申し訳ありません。頭に直接話されることに慣れていないものでして、つい驚いてしまいました。驚かないって誓ったばかりなんですけど、なんか申し訳ないです。」


《謝らないでください。ポラリス様とこうしてお話できて私とても嬉しく思います。どうぞ、これからポラリス様のお役に立てるよう精進しますので何卒よろしくお願い致します》


「こちらこそ、よろしくお願い致します!!」


観測オブザーバーさんは、とても綺麗な声で優しく丁寧な言葉で挨拶をされてしまったのでなんだか、とても照れた。それに嬉しかった。僕にも相棒ができただからだ。


知らない世界で生きていくために誰に相談すればいいのか、自分の中にある真核と相談することができるので安心した、というよりは寂しさがなくなった感覚のほうが、僕の中では大きい感じがしたのだ。


《ポラリス様、早速ですが、何か不明な点とはありますか?》


「ありがとうございます!相談の前に簡単な約束なんですが、お互いもっと言葉を崩した感じでお話しませんか?」


自分と同じ存在だからしょうが無いのだから、今後のためにも情報を円滑にするためにも必要だから提案してみた。

自分自身に気を遣っていたら心も体も持たないしな。


《わかりました!もっとフランクに話すように心掛けますね。ご提案ありがとうございます》


「あと、”様”もなくていいよ。ポラリスで。これからもよろしくな”相棒”」


《はい!”相棒”として私、頑張ります!》


観測オブザーバーさん、なんだかとても嬉しそうだ。目には見えないが張り切っている姿が見える気がした。

提案が良かったのか?良い感じにコミュニケーションがとれて僕も嬉しかった。なんせ大事な”相棒”なんだから。


さてと


「早速、ちょっと話戻るんだけど、観測オブザーバーさんの能力とか、跳躍、Oオーとか、一通り教えてくれないかな」


《わかりました。まず、私、真核を司る観測オブザーバーですが、特定の存在や周囲の環境など観測認識確認した時点で情報を分析解析が可能です。網膜に表示させることも可能です。合わせて、敵から同質の存在認識確認がされた場合は抵抗レジストが可能となります》


《続いて、跳躍は自身の身体を軽くする効果と合わせて、認識した場所へ瞬間移動が可能となります。私、観測と併用演算すれば観測範囲内であれば全方位へ高次元での瞬間移動が可能となります》


Oオーにつきましては、現在、潜在能力を観測できていません。今後潜在能力が覚醒した際に何かしらわかるかも知れません。「超体力」や「自然治癒」は言葉の通りです。無限ではないですが、ある程度の疲労や損傷であれば自然に回復可能です》


《最後に「苦痛耐性」「病気耐性」「即死耐性」につきましては、生前の体験と記憶に基づいて獲得されました。「超体力」「自然治癒」と併用していますので、ほぼ不老不死の状態となります》


「だいたいわかったよ。ありがとう。種族についてはどうだろうか?」


《星の子という種族はマスターが初めての種族になりますので、不死性と相まって性別が無くなった経緯を観測できました》


「この異世界で初めての種族ということか」


《そうなりますね》


観測オブザーバーさんが丁寧に解説をしてくれたおかげで、だいたいの自分の現状の把握できた。とても心強い!


ロットさんが仰っていた”他の方々とは違うかも”という謎が解けた。最初から役職や加護にも寄らず、ほぼ不死性を獲得し、星の子というこの異世界では初めての種族が誕生したからだ。しかも、自分が認識すればその場所へ跳躍して瞬間移動もできるという。


観測オブザーバーさん、能力って上がったり進化したりするのかな?」


《観測する限り、オブザーバーも含め全ての能力や種族も含め、マスターの戦闘や経験、体験、知識、技術の向上に伴い進化可能です》


「なるほど、とても参考になったよ。ありがとう」


《ありがとうございます》


観測オブザーバーさん感謝!これで、自分の個人情報を確認できたし、ここ(セントラル・ポスタマー)での手続きも終了だろうか。終わり方がわからない。どうしよう、と思ったとき。


『全ての情報確認完了を確認しました。ポラリス・ステラマリス様お疲れ様でした。光が落ち着きましたら両手を離し、扉を出て案内の指示に従ってください』


様々な色の光の粒がセントラル・リスタへ大きく渦を巻きながら中央のセントラル・リスタへ集まっていく。とても幻想的な光景だ。

両手への情報の流れの感覚も次第に無くなって、部屋の中が入ってきたときと同じ光輝く白い部屋に戻った。


「ドキドキした」


心の底から出た本音だった。間違いない。

僕は入ってきた大きな扉へ向かい部屋を出た。そこには、先ほどの案内のお姉さんが立っていた。


「ポラリス様、確認お疲れ様でした。得られた情報は個人情報ですので大切にしてください。矢継ぎ早で誠に恐れ入りますが、ポラリス様へご予約のお客様のご予定が入っております。あちらの奥の部屋でお待ちください」


「僕にお客様??どのような方なのですか?私の知り合いなどこの大都市にはいないと思うのですが」


「私に詳細は聞かされておりませんが、上層部からの指示でして誠に恐れ入りますがお答え出来かねます。申し訳ありません」


「いえいえ、この大神都へ来たのもご縁みたいなものらしいと、うさぎ駅(ラビットステーション)のロットさんからも事前に聞かされておりましたので、きっとその絡みでしょう。ありがとうございます」


お姉さんは一礼すると、奥の部屋まで案内してくれた。奥の部屋は応接室のような場所で1人待つことになった。お姉さんは受付へ戻ったが、応接室から出る前にもう間もなく到着します、とのことだったのでそんな時間はかからないみたいだ。


「神様という存在が来て応接室で面談とかなのか?かも知れないな」


と独り言を言ったが、本当にそうなのかはまだわからない。

はてさて、どうなることやら。

ふかふかのソファーでゆっくり寛いでいると−−−



ガチャリ....



ドアが開く音がした。


振り返ると赤ピンク髪のアホ毛が何故か目立つ軍服らしき服を着た女性が入ってきた。

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