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ポラリスの多世界  作者: 一
主特異界編
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#05 到着


『ポラリス様、まもなく目的地に到着ですよ』


夜空に見とれていると、魔方位石まほういしゃくさんが知らせてくれた。


展望台の余韻が未だ抜けきれないでいる。人生というか今まで経験したなかで一番綺麗だと思える幻想的な夜空だと心から思ったからだ。


異世界という場所は生まれ変わる前の世界とは違った法則や文化、科学や魔法というアニメや小説のような不思議ワールドで、この身1つで、これからは生きていかなければならないのだ。


内心、ドキドキしていたが、決心のような自分の心の奥底で意志が固まったような気がした。


《大神都領域に入りましたので、減速に入ります。魔方位石の指示に従い客室にて到着までしばらくお待ちいただけますようご協力お願いいたします》


ぞくぞくと、展望台で夜空を鑑賞していた方々が、続々と退出していく。


到着に合わせて、魔炉機関車は速度を減速しているようだ。展望台の幻想的な夜空が模様から引き延ばされた星の光の線となり、普段通りの星空という点へと戻っていく。

これもまた幻想的で減速を感じさせない感覚がまた不思議な体験になった。


『ポラリス様、間もなく大神都セントラルガゼフ駅へ到着しますので、我々も客室に戻りましょう』


魔方位石まほういしゃくさんが優しく声をかけてくれた。


僕は魔方位石まほういしゃくさんと307号室へ戻り、到着まで待つことにした。


車窓からは大神都の摩天楼は近代的で未来的な流線形の超高層ビルが見えた。


目算だが、おそらくビルの高さが数キロはあるのでないのではないだろうか。なんて高さだと思ったが、大都市の中央であろう一番大きな建物が見えた。


(周辺の超高層ビル群が小さく見えるぐらいの巨大さだ。しかも、ビルの周辺に星のような丸い球体が複数浮かんでいる)


「あの建物と球体はなんですか?」


魔方位石まほういしゃくさんに聞いてみた。


『あちらの中央に見える巨大な建物ですね。あちらはこの世界の”要”であり、この大神都の中央政府、大神塔ハルム・ナスディアルになります。周辺に浮かんでいるのは星です。各星が役所の役割を担っています』


(建物に天体??!!一体この星はどのくらい大きいのだろうか。。。)


「なんだか、驚きを通り越して驚かなくなってきました。ちなみに公式心での質問ですが、今僕らがいる星の大きさってどのくらいなんですか?」


『ふふふ、ポラリス様ようやく慣れてきましたね。その調子ですよ。ご質問の回答ですが、この星の直径は約10兆㎞になります』


「え??!!10兆㎞??!!!そんな天体が、、、」


『この世界は神煌核(しんこうかく)という1つのエネルギー法則によって維持されています。ポラリス様の想像するとおり、通常の天体では存在できないような特異世界なのです』


魔方位石まほういしゃくさんは僕の心を見透かすように答えてくれた。

なんということだ。本当に神様たちがいてもおかしくない世界だ。


驚く僕を優しい雰囲気を出しながら、魔方位石まほういしゃくさんは話を続けた。


『大神都ハルム・ナスディアルは人口1200億人にいる大都市です。ポラリス様は、これから到着する大神都最大主要駅の1つ、セントラルガゼフ駅に到着しましたら、セントラルポスタマ―へお向いください』


魔方位石まほういしゃくさん、最後の最後まで丁寧にありがとうございます。あっという間な時間でしたがとても心強かったです。とても感謝しています!ありがとうございました」


『ポラリス様、恐縮です。こちらこそ、ご利用いただき誠にありがとうございます!私もポラリス様との旅路とても楽しいひと時でした。また魔炉機関車をご利用する際は最大限快適な旅をサポートさせていただきます』


「はい!是非!」


魔方位石まほういしゃくさんは、丸い綺麗な石でぷかぷかしているんだけれども、その言葉や動きからまるで人が近くにいるような優しい温もりを感じたことは生涯忘れないと思う。本当に良い旅だった


《大神都ハルム・ナスディアル、セントラルガゼフ駅到着しました。この度は当魔炉機関車をご利用いただき誠にありがとうございます。またのご利用を心よりお待ち申し上げます》


307号室を出ると客室乗務員のナンセさんがお出迎えしてくれた。


「ポラリス様、お待たせ致しましたこちらからの降車となります。駅構内はとても広いですので、セントラルポスタマ―へ行くまでの道のりをインフォメーションセンターでお聞きくださいませ」


「ナンセさん!ありがとうございます。魔方位石まほういしゃくさんのおかげで快適な旅になりました。ありがとうございます!」


魔方位石まほういしゃくめが、阻喪しなくてなによりです」


『もう!しっかりおもてなししましたよ!』


魔方位石まほういしゃくは、丸い石だけれどもなんだか胸を張ってナンセさんにアピールしているみたいで可愛かった。


出口まで、ナンセさんと魔方位石さんが見送ってくれた。

なんだか、ロットさんを思い出した。みんな優しい方ばかりだ。

僕はとても温かい感情に気持ちが包まれていた。


「さて、インフォメーションセンターを探さねば」


魔炉機関車を降車すると、広大な駅のホームと、数々の魔炉機関車や新幹線?だろうか、様々な乗り物が停車している。人の往来もとても多い。なんせ、1200憶の人口を有する大神都ハルム・ナスディアルの主要の1つである駅なのだから。


ホームから少し離れた場所に、構内マップらしきものが見えたので確認してみた。

インフォメーションセンターまでは、少し距離があるがそんな遠くはなさそうだ。床にもインフォメーションセンター行きと、導線がペイントされている。


僕はその道に沿って20分ほど歩いた。20分歩くのは意外にあっという間だった。高い駅の天井に、往来する様々な人種。見たことのない機械や設備。魔法らしきもので動いているものもある。

壁や床も清潔感があり、大神都という名前に負けない”玄関”としての上品であり神聖さを感じざる得ない空気を肌で感じることができた。


大神都ハルム・ナスディアルという場所は、多民族国家のような都市なのかも知れない。


インフォメーションセンターらしきブースが見えてきた。


受付の方が話しかけてきた。


「こんにちは、ご利用内容をお伺致します」


「こんにちは!あの、セントラルポスタマ―というところに行きたいのですが?」


「ご利用ありがとうございます。セントラルポスタマ―ですね。グラスエリアにありますので、となりにある転送魔法陣にお入りください、転送させていただきます」


「ありがとうございます」


転送魔法陣に踏み入れると、魔法陣が青白く光り僕の身体を包み込んだ。


目を開けると、先程の駅とは違う建物の中に僕はいた。ここもとても広い。ここが、セントラルポスタマ―という場所か。


多分、セントラルガゼフ駅からグラスエリアという場所まで相当な距離があるのであろうが、転送魔法陣のおかげで一瞬で移動できるなんて、魔炉機関車といい、転送魔法陣といい移動に関してはかなり不自由にはしなさそうだ。


そうこう考えていると、一人の女性が近寄ってきた。


「ポラリス様ですね、ようこそセントラルポスタマ―へ、うさぎ駅(ラビットステーション)のロット様よりお伺いしております。こちらへどうぞ」


いよいよ、生まれ変わってから初めて自分を知れることができる。


(なんだかドキドキする)


生まれ変わってまだ1日経っていないが、随分濃い時間を過ごした。そしてとても温かいもてなしを受けた。おかげで、気持ち的には落ち着いている気がする。


これからが本番だ。自分のこと。この世界はどんな世界なのだろうか。


どんな人と出会えるのであろうか、僕は色々な気持ちと期待が大きく膨らみながら、案内のままセントラルポスタマ―の奥へ進んで行った。

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