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ポラリスの多世界  作者: 一
特異大魔法世界編
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#52 ようこそ!パルドマンヌ大武道大会へ


ぐっすり眠れたという言い方は変か。

けれども、昨夜はふかふかのベッドに横になったら、翌朝まであっと言う間だった。模擬戦の疲れだったのか、この体だと感じる筈の無い疲労というのが、知らず知らずに蓄積した結果なのか、ソラに聞いてもよくわからないとのこと。


僕の能力や力も何かを動力源にしている筈だから、休憩とかは気をつけたほうがいいのかも知れないと、今後の意識するようにしようと思った。


僕もソラも気づかないうちに疲労が蓄積して、万が一には実力が発揮出来ない可能性もあるからだ。意外に僕もソラも外ばかりには色々関心や知っていることは多いけれども、自分自身のことについては知らないのかも知れない。



「お姉さま、おはようございます!今日はいよいよ大武道大会の当日ですね」


「リノ、おはようございます。そうだね、それにしても今日は当日というけれども時刻や集合場所とかの情報をさっぱり知らないんだけれどもリノは心当たりある?」


「私もさっぱりです。取り敢えず白い月へ行ってみませんか?まだ早朝で日が昇って間もないですし、街も夜明けたばかりで静かです。まさかこの時間から始まっているというわけでは無いでしょう。確か、ギルドは24時間空いていると以前、受付の方が言っていたので何かしらわかると思いますよ」


「おお!でかしたリノ!それじゃ早速準備して行きますか」


「えへへ、リノ照れます〜」


僕たちはギルド白い月へ向かうことにした。

移動は勿論転移でだ。開始時間が分からない以上、不要な時間の浪費は避けたいところ。



シュパン



「本当に24時間開いているのか」


ギルドの中からガヤガヤと音や声がする。

そうか、確かこのギルドはこの大都市で指折りの名の知れたギルドだったな。昼夜問わずクエストの受付や受理や報償金の支払いとかしているのか。


中に入ってみると、音や声がした通り多くのギルドメンバーで溢れていた。多分、大会参加者もいるのだろう。感だけど。

ここは取り敢えず、受付の人に聞いてみよう。


「あの、武道大会についてお聞きしたいんですが、何処に行けばよろしいのでしょうか」


「ご用件を承ります。武道大会ですね。そうしましたら、この都市で最大の闘技場である、プロミネント大闘技場へお向かい下さい。ギルド推薦者のステラマリス様ですよね、現地でもギルド関係者がご案内しておりますので、現地で指示に従ってください」


簡単に身分を照会されたのちに、プロミネント大闘技場というところに行かねばならないらしい。そこが大会の会場か。


「では、プロミネント大闘技場というところに早速行きましょう!」


「リノ、そうだな。ギルド推薦者として遅刻してあのギルド長に報償金やクエストの件でペナルティーを科せられたらたまったもんじゃないしな」


《プロミネント大闘技場は既に観測済みです。転移しますか?》


「頼むソラ」



シュパン



「到着!」


「お姉さま、凄い人集りですよ。ここが会場で間違いなさそうです」


「参加者の方ですか?」


スタッフの人だろうか、声を掛けてきた。


「ええ、今日この武道大会に参加するものです」


「かしこまりました。では、あちらの魔水晶で予選の組み分けをしておりますのであちらへ行ってください」


「ありがとうございます」


こんなに早朝なのに凄い人集りなのは、全員今回の武道大会の参加者なのかな。皆、次々に魔水晶に触れては案内に従っている。魔水晶は大きく2mぐらいあるだろうか、宙にぷかぷかと黄色く光っている。会場には複数あるみたいだ。


「リノ、ちょっとあの魔水晶で組み分けされるみたいだから行ってくる。回廊で繋がっているから見失うことは無いと思うけれども、念のためここで待ってて」


「はーい」


リノは木の下で待ってもらうことにした。

さて、今日から武道大会か。リノとの模擬戦の成果が発揮出来ればと思う。


「参加者の方は組み分けしますので、こちらへお並びくださーい!」


会場スタッフの声がする。こういう魔法なのだろうか。拡声器みたいに声が大きく通る。

イベント会場のバイトを生前やったことあるが大変なんだよなぁ。並びながらふとそんなことを思ったりした。

結構な人数が並んでいるな。僕が最後尾か、と思いきや続々と僕の後ろへ参加者が並んで来る。


今日の参加者はどのくらいいるんだ。

見渡しただけでも数千人はいるぞ。しかも数が時間が追う毎に増えているような気がする。いや、増えている。


凄い時間が掛かると思ったけれども、周囲を観察していたらあっと言う間に自分の番になった。


「それでは、あの黄色く光る水晶に両手または片手で触れてください。事前に登録しているので自動で組み分けがされます」


へぇー便利なもんだ。と感心しながら黄色く光る水晶に両手で触った。


「はい、ありがとうございます。ステラマリス様ですね。組み分けは『Z』の組になります。予選会場はあちらの会場になります。あとこちらが本日の案内になりますのでご覧下さい」


「ありがとうございます」


僕はどうやらZという組に振り分けられたらしい。

シード組という訳では無さそうだ。


手渡された案内の紙を見ると、『ようこそ!首都ギルヴァート主催パルドマンヌ大武道大会へ』の見出しが大きく出ている。


読んでいると、今回の報償金額が『史上最高額の星金貨4000枚!』と大見出しになっている。


「よ、4000枚?!」


これもし優勝すれば、クエスト報酬も合わせて星金貨1万1000枚になる。この世界の通貨に疎くても金貨1枚も数日で使い切れなかったのだから、よほどの金額ということだけはわかる。

どうりで、人が多いわけだ。恐らく、勇者級の冒険者や大魔法使い、賞金目当ての猛者も沢山出場するだろう。


いや、ほんと、リノと模擬戦しておいてよかったと心の底から思った。

さて、リノと合流をして予選会場とやらに向かうか。


出店や露店が出始めている。

本当にこの都市にとって大きな祭りなんだな。


「お姉さまー!受付は終わりましたか?」


「あ、うん。待たせて悪かったよ。それと、リノ見てよこのチラシ」


「優勝賞金星金貨4000枚ですか!!」


「今回の開催は史上最高額みたいだよ」


「なんとしても優勝ですね!今回のクエスト絡みの条件で枠が1名じゃなければリノも参加したかったです」


「そうだな。一般参加はもしかしたら今日出来るのかも知れないけれども、もし、2名で出場したらあのギルド長からどんな難癖を付けられるかわからいしな。大丈夫だよ。充分模擬戦はしたし、油断しないように気をつける!リノは出店で、何か買ってもぐもぐしながら楽しく観戦してて」


「はい!観戦してお姉さまと対戦相手を偵察してきます!」


「確かに、偵察も重要だな。リノ、ナイスアイディア!!」


恐らく、この金額は国を挙げての主催だからだ。

他国を巻き込んだオリンピックのような大会なのかも知れない。


他国からもかなりの実力者や猛者が出ることは容易に想像できるし、僕と同じようにギルド推薦枠から出る者もいるだろう。あと、先日会ったニノマエさんも出るのだろう。触りを観測しただけでもステータスが振り切ってたからいつか当たるだろうな。


早朝の人集りは更に増え、ソラの観測では参加者と思われる人数は10万人にも上ったらしい。


どうやって予選するんだ?!



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