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ポラリスの多世界  作者: 一
主特異界編
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#04 魔炉機関車-展望台



魔炉機関車が走行中の振れはほとんどなく、機関車に乗っている感覚を忘れるぐらいとても静かだった。

これも、僕が知らない魔法とか未知のエネルギーのおかげなのだろう。


目を瞑り、横になったがやはり眠気とか生前に感じただるさとか眠気とかは全くおきなかった。


疲れを感じない体質のせいかも知れない。自分のこともよくわからない状態だから仕方がないのだ。


僕は目を瞑りながらそんなこと思ったり、暇な時間をだらだらと生まれ変わって初めての自分の時間を過ごした。


「そういえば」


僕は身体を起こした。


ロットさんが言うには、僕には特別なスキルや能力がある可能性があるらしいけど、実際にはどんな能力なのだろうか。


試しに軽く念じてみたが、超能力な気配も物を動かしたりする浮かせたりすることはできなかった。(誰もいない個室だけだからできたのだけでも、誰かに見られたら変人扱いされたら大変だし。。)


自分を知るまでは能力を使用しようにもできないのだ。

(多分、得体の知れない能力やスキルを発動も出来るであろうけど。。)


今は乗り物に乗っている途中だし、変に能力やスキルというのが発動して周りの方の迷惑になっても大変だし。


軽率な行動だったことは思うが、少しアニメや小説の主人公みたいな能力が自分に宿っていると怖くも好奇心を抑えずにはいられなかったのだ。


ただ、試したら何も起きなかったので、人生はそうそううまくいかないことも知っていたので、次第に自分の能力やスキルについては、到着して確認してから方向性を選べばいいのだ。


今考えたら、危険な能力だという可能性もあるし、使い方や使用条件や、対象も限定されるかも知れない。


好奇心を抑えられなかった自分に少し後悔をして、何も起きなかったことに対して今更ながら安堵した。


さてさて、頭もスッキリしたところで気分転換に魔炉機関車を冒険することにした。


ドアに窓は無いので、部屋番号を忘れないように頭に焼き付けた。


ドアを開けるとふかふかの廊下に出た。良い感触だ。改めて感動していた。


魔炉機関車内の地図が廊下の壁に貼ってあった。展望室や食堂もあるらしい。車両は270車両と。。


「270車両!?!?」


思わず声に出してしまった。あまりにも長い車両だったからだ。到着したときの魔炉機関車は見た目せいぜい、先頭の機関室も含めて15両編成にしか見えなかったからだ。


貨物室もあるのかも知れないが、とてつもなく長い。これは、下手に動くと迷子必死だな。


「ポラリス様、何かご要望がありましたらお手伝いいたしましょうか?」


あ、客室乗務員のナンセさんだ。グッとタイミング!


「ナンセさん、ありがとうございます。到着までまだ時間があるようなので、魔炉機関車を少し冒険してみようかと思いまして。ちょうど地図を見ていたところだったんです。しかもあまりにも広いので困っていたところだったので」


「そうだったんですね。それはベストなタイミングでした。そうしましたら、こちらをご利用ください」


ナンセさんが優しい口調で、ポケットからケースを取り出し、丸いビー玉サイズのガラス玉のようなものを空に投げ浮かばせた。


「ナ ナ ナンセさん、これが魔法というとうものですか?浮いてますけれども??!!」


ナンセさんが優しくほほ笑むと


「そうですよ。魔法ですが、詳しくいうと魔方位石まほういしゃくというシステムです。こちらの魔方位石(まほういしゃく)をご利用ください。307号室専用になっておりますので、魔炉機関車内でしたら正確にナビゲートしてくれますよ。行先や不明な点があれば私どもと同じように答えてくれますのでなんなりとお申し付けください」


「ナンセさん、ありがとうございます。とても助かります!」


僕の動きに合わせて球体が一定の距離を保ちつつ動いた。凄いシステムだ。ナンセさん曰く、全客室個々に対応しているらしい。


(すごい!とてもすごい!!)僕は心の声でなんども叫んだ。ほんとにすごい魔法の世界だと実感した瞬間だろう。


突然、浮かんでいる魔方位石まほういしゃくが話かけてきた。


『はじめまして、ポラリス様、私は魔炉機関車307号室専用の魔方位石です。客室乗務員のナンセに代わり魔炉機関車内をご案内させていただきます』


「あ、ありがとうございます。ポラリスです、よろしくお願いします。魔方位石まほういしゃくさん」


『こちらこそ、よろしくお願い致します。それではナンセさん、後は私で対応させていただきますので、よろしくお願いします』


「ポラリス様をよろしくお願いしますね」


『ナンセさん、お任せください!』


前世と比べると想像もできない光景だけれども、コミュニケーションもしっかりととれている。


ナンセさんと魔方位石まほういしゃくさんとの様子を見る限りだと、信頼関係が抜群みたいだ。頼れる相棒のような。少し羨ましいなって思ってしまった。


『ポラリス様、それではどちらにいかれますか?』


「それでは、展望室にお願いします」


『かしこまりました。それでは当魔炉機関車とっておきの名所の展望台へご案内致します』


なんだか、陽気な口調でとても安心するような話し方をする魔方位石さんで、すぐに打ち解けたような不思議な感覚になった。


魔方位石まほういしゃくさん、質問なんですが、とても広い魔炉機関車内を、どのような道で展望台に辿りつくのでしょうか?」


簡単な質問を投げかけてみた。この魔炉機関車はとてつもなく広いからだ。仮に僕が機関車内を端から端まで全力疾走しても疲れないだろうが、どうしても気になってしまったのだ。

※良い子は機関車内を走らないように


『展望台への道順ですか?そうですね、結論から申し上げますと間もなく到着しますよ。当魔炉機関車内は空間拡張しているため、私の権限内にて特定の位置まで転送する形でポラリス様をお連れ致します』


「なんと!とてつもない技術ですね」


『ふふふ、ポラリス様ありがとうございます。ポラリス様に快適な旅をご提供できることが私たちの務めですので、喜んでいただき嬉しく思います、さてポラリス様、当魔炉機関車特別の展望台へ到着しましたよ』


という、やり取りをしていたら、もう目の前に展望室前の扉へ到着してしまった。


体感で5分だろうか。ほんと一体どんな技術なんだろうか。ただただ、驚くことしかできなかった。


扉が開くと、アーチ状に楕円型の透明なドームが目の前にあった。


とても大きなドームだ。かなりの広さがある。展望台には多くの種族の人たちで賑わっていた。とがった耳の者、ふかふかしっぽの者、角が生えた者、数えきれないくらいの種族でドーム内は活気だっていた。


ドームの外は、夕方みたいに夕焼けが差し、山や谷が見えたロットさんのところで見た草原一色の景色とは違った景色が広がっていた。


独特な形状の岩や山が連なっていた。


『現在は、イースターリス共和公国を抜け、ブラス渓谷を越えますと、あとしばらくすると超長光速航法に入ります』


「超長光速航法ですか?光の速度で?!!地上でですか?!」


『そうです。とても広大なため、このような航法でないと目的地まで辿りつけないのです。光の速度で航行する超長光速航法はこの世界で一般的な航法の1つになります。魔力操作で大気の影響は受けません。ポラリス様もこれから様々な経験や体験をされると思いますので次第に慣れると思いますよ』


魔方位石まほういしゃくさんはとても丁寧に解説してくれた。展望台で魔方位石さんとたくさんお話をした。魔炉機関車の歴史とか、ナンセさんとの信頼関係とか。

そんな感じで話していたら、景色はすっかり夜になっていて、夜空には星々がキラキラ輝いていた。生前見た星空よりも綺麗に見えたのは気持ちのせいだろうか。

どこかグッと心の底から込み上げてくるものがあった。


この世界の常識はとても科学や魔法が発展した世界みたいだ。


驚いてばかりだと、脳がパンクしてどうにかなってしまいそうなので、これからは少し落ち着いていこう、と密に心の中で思った。


自分のこともわからないし、この世界のことや常識も学ばなきゃいけない。


この生まれ変わった身体1つでやっていけるか、心配や不安はあるけれども、この頂いた命、無駄にせず前に進んで行かないといけなないのだ。


本当に、この世界の夜空はとても綺麗だ。


そう思っていると、


『ポラリス様、超長光速航法に入りますよ』


魔方位石まほういしゃくさんの言葉の後に、綺麗な夜空が星から点へと至り、次第に点と至った星が、1つの線へになり、模様になるように幻想的な夜空になった。その言葉に出来ない美しさに見惚れて、ドーム内は感動の声で溢れていた。


感動の声の1つに僕の声も含まれていたのは言うまでもない。

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