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ポラリスの多世界  作者: 一
特異大魔法世界編
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#38 うねり征く歪


人は待ってくれない。

世界は待ってくれない。

時間は待ってはくれない。

始まりは永遠では無く、必ず終わりが来るものだとも。

私は終わりが怖いのだ。恐ろしく怖いのだ。

私だけが置いて行かれて誰もいない世界にただ一人立つのがとても怖いのだ。


私を一人にしないで欲しい。

そう願っても終わりは必ず来る。


進む速度はスピードを上げて、あっと言う間に手の届かない場所まで私を置いて行ってしまうのだから。


変化せずにと願ったところで、人は進み、変化は止まる事無く発展し続け、そして終わりはいつの間にか目の前まで来て、私の喉笛を切り裂くのだ。


終わりの始まり。




それにしても、戦闘開始から一時間も満たない時間でクエスト達成したとは言っても、これはやり過ぎたかな。

ヘリオス山脈は大きな大穴を開け、頂上まで続いているであろう大穴は霞んで見えない。

ヘリオス山脈に面した古城跡や地下の謎の大迷宮も崩壊し、広い範囲で損壊している。


後で、賠償とかされないだろうか。この世界の常識が分からないというか、生まれ変わってから戦闘による被害の補償や賠償とかされないかどうかが一番の不安要素ではあることは確かだ。


ただ、悩んだってしょうが無い。なるようになるのだ。


「リノ、ソラ、それじゃギルドへ帰ろうか」


「はい!お姉さま!」


《ええ、私の愛しのマイマスター


「貴方たち、よくもまぁやってくれましたねぇ、せっかくの計画が台無しですよ。フォスフォスフォス」


「「「!!?」」」


「誰だ?!!宙王ソラの反応にも引っ掛からなかった??!こいつ強い!」


マスター、測定出来ません》


「お姉さま、下がっててください」


「そう、警戒しなくてもよろしい。申し遅れましたが私はゾラムと申します。どうぞお見知りきりを。フォスフォス」


ずんぐりむっくりとした体型にフィットした燕尾服と杖とシルクハットを被った黒丸メガネの此奴は一体なんだ。


《観測不可不可不可。攻勢モードに移行》


「計画だと?」


「そうですとも、手間暇掛けて創世級ジェネシスの魔神らを一式復活させたというに、これから人間界を蹂躙しようとしたのに、一時間も足らずして壊滅して全滅とは、本当に情けなく思います。大失敗ですよ。フォスフォス」


なんだ、此奴は。

今の宙王ソラにすら観測出来ないってどういうやつだ。十煌神のプロエさんでも触りは観測できたんだぞ。それに、魔神王も。

しかも、性能は前特異界にいたときよりも10億倍にも上がっているのにも関わらずだ。全く観測出来ない。


「僕たちに何のようだ」


「用って程ではありません。ただのご挨拶です。あの魔神王を簡単に倒してしまう存在ですからね、あなた方は。フォスフォス」


「戦闘する意思が無いと?」


「戦闘?フォスフォス。あなた方とはまだ戦闘は致しません。ここで戦ってもよろしいですが、あなた方は私たちの計画に使えるかもしれませんので、その品定めというものというところでしょうか」


戦闘する意思が無い?

品定め?計画?

何か思惑があるのは間違いなさそうだ。だが、何故それを今言う。今言っても手の内をバラすヒントになるかも知れないじゃないか。本当に僕らを品定めしているということか。


頬から一筋の汗が零れた。


(この燕尾服の男は今の僕らよりはるかに強い)


「フォスフォス。魔神王の一件はとても残念な結果に終わりましたが、実験に失敗は付きもの、貴方がにもこれからも実験に付き合ってもらいますよ。フォスフォス」


「誰がお前の実験に付き合うものか!お前の思惑通りには絶対にならないぞ」


「それを言うとフラグになってしまいますよ。フォスフォス。いいえ、貴方がには私からのプレゼントをたくさん用意致しました。そしてそのプレゼントは必ず貴方たちが受け取らざれない。フォスフォス」


確かに不気味さは感じるけれども、敵意が無いことは確かだ。

肌でも感じとれるし、リノや宙王ソラも同様に感じているようだ。



「一目、お会い出来て良かったですよ。フォスフォス。では、私はこれにて。引き続き、この世界を掛けた実験にお付き合いくださいませ。フォスフォス」


「おい、待て!」


消えた?宙王ソラも観測出来ない程の速度で転移?転送?何かの能力かスキルか?

目の前にいた不気味な気配はもう感じない。念のため、ヘリオス平原全域を観測して貰ったがそれらしき反応は無かった。


「お姉さま、あの男は一体何だったのでしょうか」


「現状、考えられるのは魔神王よりも高位の魔神またはそれに並ぶ上位互換の存在。それか、歪みの者という線も考えられる」


「歪みの者?あの男がですか。確かに、佇むだけで力の差が私たちとは比較に出来ない程の力を有しているように感じましたが、ただ、腑に落ちないというか、何故あの男は私たちを消そうとしなかったのでしょうか。自分の実験を滅茶苦茶にした私たちですよ。怒って当然なのに、あの男は笑っていました。何故なのでしょう」


「分からない。ただ言えることはこれからもあの男の影が私たちに関わってくるということだけだ。そして、次はこの戦いよりも苛烈になることは間違いないだろう」


「そうですね。この件は私も意識して警戒したいと思います」


《私も同感です。引き続き私も観測に力を入れます》


「ありがとう。僕も意識するよ。いよいよ、影がちらつき始めたか。とりあえず、何事も無かったわけだから、まずはギルドに戻ろうか」


「はい!お姉さま!」


僕たちは討伐クエストを前代未聞の速度で達成し、ギルドへ向かった。



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