#31 魔人戦
ジスという魔物と300を超える魔人達。
この魔法世界において僕はどの程度の実力なのだろうか。
あのギルドで最難関クエストであることは間違いないだろうから、今の自分の実力を試すには最適な環境なのかも知れないな。
「ジス、僕もここからは本気でいかせてもらう」
《主、戦闘観測モードに移行します》
「貴様が何者だろうが、関係ねぇ!!ぶっ殺す!!」
「ジス、あれは何?」
「リリベアか、俺も知らねぇ。ただ俺達がいたこの城を跡形も無く消し飛ばした張本人ということだけは確かだ」
「あの小娘が?、狙いは何だ?」
「さあな、魔神王様に合わせろとほざいてやがる」
「魔神王様に?!仲間になりたい新種の魔人という訳ではなさそうね。狙いは魔神王の討伐ということね」
「リリベア、油断するなよ。アレ(ポラリス)は俺様の上位魔法を無効化したやつだ」
「ジスの魔法を?!」
リリベアは困惑した。上位魔法を無効化できる存在などこの世界にどれほどいるのだろうか。抵抗や耐性がある人種やスキルがあるのはわかる。ただ、無効化というのがとてつもなく異様だ。
まるで、この魔法世界では異質な何かを感じた。
「どうした、リリベア」
「いいえ、何でも無いわ。あの小娘は危険ということは今の会話でよくわかったわ。我々魔人の力をもって全力でお相手して差し上げましょう」
《主、敵上位魔人に高エネルギー反応。攻撃きます》
「OK、全宙」
「ジス、先に私が先発するわ!後方から支援を」
「俺様がと言いたいが、リリベアの方が強いからな」
リリベアは足に力を込めて、ポラリスと名乗る得体の知れない小娘に向かった。
《敵、高速でこちらへ向かってきます》
「全宙、僕も目視で捕捉した」
「あなた何者?」
ポラリスの目に映ったのは長身で美しい黒髪長髪の女性が立っていた。額には角みたいのが生えている。
「僕はポラリス。魔神王を討伐しにきた者だ。被害は最小限に抑えたい。先程は古城を壊してしまって申し訳ない」
「私はリリベア。ポラリスと言ったかしら。あなた大馬鹿ね、お前が魔神王様にお目通りできる筈無いし、突然私たちの住処を跡形も無く消し飛ばす相手を許す筈あり得ないでしょ。あなたがどんな存在かは知らないけれども、私は後方に控えるどの魔人よりも強いわよ」
リリベアは全てのスキルと能力を用いて、この小娘を分析したが、分析できなかった。しかも、魔気量も全く無い。どういうことだ。この世界には下等種族の人間から高位の魔人に至る全ての万物には魔気が宿るというのに、この小娘からは何も感じない。
この子、一体何者?
「そうだよね。本音で言わせてもらうけれども、僕はギルドであなた方を討伐する任を受けている。合わせて、僕は自分の実力を試したいんだ」
「人間め!あなたが何者か知らないけれども、私たちを倒せる力があるとは思えないわ。魔法を無効化出来たらしいけれどもそれだけじゃ私は倒せない」
『輪廻回廊』
『魔奏』
『式織』
「これが魔法陣。近くで見ると色々な色で様々な文字が円陣内に書き込まれている。あれが魔法か」
「あなた、魔法見るの初めてなの?。綺麗でしょ。あなたが強者だということは私は分かっているわ。だから出し惜しみはしない。あなたはこの多重連魔法が最後に見る景色よ。さようなら」
リリベアと名乗る美しい女性が放った芸術的な多重魔法陣は美しく幻想的で、ポラリスの目には異世界という実感を今更ながらここは魔法の世界だと認識するきっかけになった。
魔法陣が眩しく光る。
光ると同時に轟音がヘリオス山脈を揺らした。
古城を吹き飛ばした時ぐらい強烈な爆音と轟音が空気を蒸発させた。後方で控える同胞がその圧倒的な光の柱を見届ける。
巨大な円柱状の光の柱はヘリオス平原に巨大なクレーターを
を
を?
《観測掌握完了》
轟音はいつの間にか消え、巨柱の光が消え去るとそこには、あのポラリスが立っていた。
「あの魔法が無効化されただと?!!」
絶対攻勢魔法だぞ。防御はおろかスキル、能力でどうこうできるレベルの話ではない。勇者や魔神王様、この世界にいる大魔法使いにも届くレベルの大魔法だぞ。
あれはなんだ?
あれは?人間か?
勇者か?
世に放たれていない。潜んでいた大魔法使いか?
否!
否!
そのとき、リリベアは直感した。
あれは、化け物だと。
「さて、行きますか」
あの小娘、いや、ポラリスと名乗る化け物はこれから私たちを蹂躙するだろう。直感が危険信号を爆音で頭の中を鳴り響く。
あり得ないあり得ない!私はリリベア。魔神王直轄の三大主力の一人。
だが、この圧倒的さは危険過ぎる!ジスや後方にいる魔人では相手にならない。魔神王様に報告せねば。
[スターシャ、聞こえる?魔神王様に緊急報告を強大な敵が来ます!私は最後の仕事をするわ。後は頼みます!....ッツ]
[リリベア!!??]
魔神王直轄の魔閻のスターシャはリリベアからの交信魔法を受け、地下大迷宮の魔神王が鎮座している広間に急いで向かった。




