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ポラリスの多世界  作者: 一
主特異界編
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#01 ようこそ!ラビットステーションへ!


駅までまだ結構な距離があるので、のんびり歩きながら僕の持ち物や身体の状態を改めて確認しながら歩くことにした。


服はしっかりと着用している。というか、白いワンピースみたいなローブな服になっている。これが幽霊のデフォルトなのかな。


裸じゃなくてよかったよ。


幽霊になっても裸で草原歩いて、万が一にも誰かに見られていたら恥ずかしくて死してなお黒歴史を刻むことになるかも知れないからだ。


手足はあるようだ。ぐっぱぐっぱしてみる。


感覚もしっかりある。感覚は生前と変わらないようだ。ただ、歩いてみて疲れや息切れのっような感覚は感じない。


幽霊になっても服を着て手足の感覚があるんだなって、歩きながら感動したような不思議な気持ちになった。


なんとなく生きていた頃と比べると身体が小さくというか、手足が細くなったような気がした。


幽霊になったら身体が細くなるのだろうか。


持物は特にもってないようだ。

手ぶらでのんびり歩いた。天気は相変わらず良い。白いクロワッサンのような雲がもこもこしながらぷかぷか浮かんでいる。


ほんとによい散歩日和だ。


少しこの身体を実験的に試すことにした。急ぐ必要はないのだが、疲れを感じないので、走った場合はどんな具合になるのかと。


結果、全く疲れない。死んだ今となっては体力や息切れのような心配ななさそうだ。


そのまま駆け足で、うさぎ駅まで走ってみることにした。

やはり疲れない。この身体?はとても軽いので、生前のときよりも早く走れた気がした。

実際、早く走れているのだろう。時計があるわけではないから実際のところはわからないのだが。


体感で1時間ほど走ってみたら、うさぎ駅(ラビットステーション)らしき建物が見えてきた。

どうやら、ここがあの世への入り口?にしてはファンシーな建物だけど、ゴールが見えてきたので安心感湧いてきた。


ファンシーなうさぎ駅(ラビットステーション)に到着した。

とりあえず、中に入ってみることにした。

中は広く天井がとても高くアーチ型の天井がとても印象的だった。

見える範囲だと、線路と奥にいくつか部屋らしき建物が見える。事務室なのかも知れない。改札口はなさそうだ。切符とかどうやって購入すればいいのだろうか。お金とか持ってないけど。内心でそんなことを思いながら、とりあえず駅員さんを探さなければ。


「こんにちはー、どなたかいますかー」


「はーい、少々お待ちをー」


明るい声が聞こえた。

奥の部屋からうさぎの駅員さんが出てきて、こちらにポムポムと足音を立てながらこちらへ駆け寄ってきた。


駅員服に、にんじんのショルダーポーチが印象的だった。

うさぎさんの大きさは1mもないだろうか。とてもかわいい。ふかふかしてそうな上品な毛並みだ。


「お客様、大変お待たせいたしました。当駅を任されております、駅長のロットと申します。どうぞ、よろしくお願いします」


あの世ではうさぎがしゃべって動くのか、なんだかファンシーな世界に感動してしまった。


「ロットさん、こちらこそよろしくお願い致します。どうやら死んだみたいで、どうやったら天国に行けるのですか?」


「死?天国?ですか。私がみる限りだとお客さまはお元気そうですが。。当駅では天国という行先は私の記憶の限りでは聞いたことがないですね。当駅をご利用されるのは初めてですね?」


おや?話が噛み合わないぞ??!!


天国という名称ではないのか???


それはそうか、天国って人間が付けた名称なのかも知れない。死んだというのもこちらの世界では死んだとは言わないのかもな。


「はい、初めて利用します。どんな感じに利用すればよろしいのでしょうか」


「かしこまりました。当駅ではお客様次第で行き先が異なりますので、まずは、奥の部屋で行先を確認してみましょう。こちらへ、どうぞー」


僕次第で行き先がことなる??

説明を受けてもよく理解が追いつかなかったのでとりあえず駅長さんの指示に従うことにした。


奥の部屋に入ると、透明な大きな板が部屋の中央に浮かんでいた。

なんだか、ステータスの確認といい、なんだか魔法の世界にいるようだ。


「それでは、お客様、両手を中央にあるリスタに触れてください。リスタに触れましたら、お客様のお名前をイメージしてください。ニックネームでもあなたが思い描く名前でも可能ですよ。無事に入力がお済みになりましたら、リスタにお客様の行き先が表示されます」


「わかりました。ロットさん、ありがとうございます」


へぇ、この大きな板はリスタというのか覚えておこう。

名前か、せっかくなら最後に見た綺麗な北極星にちなんで.....

両手がリスタに触れた瞬間に、僕の情報が浮かび上がった。


ーーーー


氏名:ポラリス

状態:不完全

行き先:大神都ハルム・ナスディアル行き


※他ステータスは到着地のポスタマーにてご確認をしてください


ーーーー


「無事に登録が終わりましたね、確認させていただきます。おお!、ポラリス様は特殊な出自だったのですね。大神都行きとはとても希な幸運の持ち主だ!」


なにやら、当駅で初めての大神都行きらしい。ロットさんは大興奮していた。


「大神都って、そんなに珍しいところなのですか?、特殊な出自とは?どういう意味なのでしょうか、、質問ばかりですみません」


「謝らないでください。混乱しておられるようなので、一つずつお話しますね。大神都ですが、この”世界”の要の大都市なのです。私もまだ一度しか行ったことはないですが、とても美しく巨大な街でしたよ。神々が住む街と呼ばれております。おそらく行き先が大神都ですので、神々から呼ばれているのかも知れません」


なるほど、大神都行きということは神様と会える機会があるのかもしれない。

ただ、あのとき僕は死んだはずではなかったのか?


「続いて、特殊な出自という件ですが、ポラリス様は転生または転移のどちらかまたは両方の可能性がございます。希に転生者や転移者の方々が当駅に来駅される方はいらっしゃいますが、大神都行きは当駅歴史上ありませんでした。この度、ポラリス様は大神都行きということですので、大神都へ到着しましたらポスタマーへ行ってステータスを確認し、指示に従ってください」


どうやら僕は転生または転移してきたらしい。しかも過去には僕と似た境遇の方々もこの駅を立ち寄ったみたいなのだ。この世界で、僕がいた同郷の人がいるのであれば会って話しをしてみたいものだ。


という感じで、死んで転生か転移したという今を現実呼べばいいのだろうか。僕はただ、目の前にあるその現実を受け止めることしかできなかった。


「つまり、僕は生きているということなのか。」


「そうです。ポラリス様は生きていらっしゃいます。死んでなどいませんよ。先ほどは混乱されていたのですね。ご安心ください。状態が生まれたばかりということもあり、心身ともに不完全ですので、大神都のポスタマーに、必ず寄ってください。ポラリス様のように世界を渡った方にはとても必要な場所ですから」


「ロットさん、ご丁寧にありがとうございます。」


ということは異世界ということなのか? 詳しいことはその大神都というところにいってポスタマーという役所のようなところで手続きをしなくてはいけないらしい。


はてさて、ロットさんが言うには、もう少ししたら、乗り物が駅に到着するらしい。


不安と期待とかいろんな感情がごちゃごちゃになっているけれど、生きてて嬉しいという感情に感謝することが、一番自分に素直で正直な気持ちが強かったことは、どの感情よりも間違いないことだけはよく理解した。


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