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ポラリスの多世界  作者: 一
主特異界編
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#17 統制と報告


統制省中央特務機関セラス所属の特級主席官ヴァイオリンは十煌神のエリアス消失の情報を受け、統制省として動き始めていた。


ジグラット内は巨星にも引けを取らない程の巨大な塔にも関わらず、政治やあらゆる情報の中枢であることから、十煌神の一角が消失したことは緘口令を布く前に瞬く間に軍内や警備関係者へ周知の事実となった。

軍では歪みの者の襲来は一部の軍上層部で知られることになり、対応に追われることになった。


現段階では大神都の住民へは周知されておらず、ジグラット内だけで緘口令かんこうれいが布かれていた。情報統制は出遅れしたが徹底をした。


3年後予想される大戦についてもその事実を知っている者も限られている。一部の者だけと、軍だけで行動を動かしている。

世間では混乱を避けるべく、段階を経て情報を統制しながら広めていくことになっている。全ては余計な混乱と被害を出さないためだ。

誰もが強い心を持っているわけではない。もし中央政府が悪い知らせを流せば少なくとも悪い影響が出て早まった行動に出る輩も必ず出てくるのは歴史上から見ても明らかだ。


しかも、十煌神の一角が敵によって負けたという事実を伝えた場合の影響力と破壊力と混乱は天文学的な数値が出ることは必至だ。


しかも、歪みの者による未来観測所シェルム消滅事件などもある。おかげで、未来観測は現時点では復旧の目途は立っていない。


だが、未来観測所シェルムからの最後の報告では、3年後以降の未来は観測不可能という算出結果が最終報告で上がってきている。


ただ、報告書の中に転生転移者という存在が明記されていることから、我々はポラリス・ステラマリスの存在が今後の我々の未来を決める要になることを確定している。

報告書にはポラリス・ステラマリスの行動未来確定が記載されている。だが、これは預言ではないのだ。神煌核の意志からの世界の言葉でもあるのだ。

勿論、全ての住民が知るわけではない。十煌神含む、一部の軍上層部と統制省を中心とした関係ある部署へのみこの未来観測確定報告されている。


ポラリスとはどんな存在なのか。報告書では全てが記載されていないため、不確定要素も多い。


現在は検閲省のリノ・ノノ主席官が同行し保護している報告を受けているが、ポラリスという存在は今後の我々命運を握っていることは間違いないだろう。


統制省としても、未来が確定観測できなくても、不確定要素が多くても、計画実行には支障はない。経験、蓄積されたデータ、歴史からも未来観測所という存在がなくても手間はかかるが予測や想定やシュミレーションは科学サイドと魔法サイドで観測と予測と想定が可能だ。だが、絶対ではない。


主席官のヴァイオリンは思う。あくまで個人的な意見だが、3年後の未来観測不可、先日の未来観測所シェルム消失事件を踏まえると、既に大戦に向かって事は動き始めているのではないのだろうか。


十煌神エリアス様の消失というこの重大事件を未来観測所シェルムですら未来観測確定すら報告があがってきていなかった。


未来観測確定において、ミスはあり得ない。神煌核を意志を回廊として利用しているだけだからだ。


つまり、もはや3年後ではなく、現時点いや、随分前から未来観測確定に歪みが介入していたというべきではないだろうか。


未来、本来は観測したり、確定するものではない。

この特異界という無限を超えて増殖し続けている分岐する世界線を中心から観測する位置にいるからこそ、可能になっていたのだ。


だからこそ、この世界はIFが存在しないのだ。世界線が存在しない世界こそが特異界という世界であり宇宙であるのだ。


それが、今ではどうだ。無限を超え増殖し続けて分岐している世界線が今や何かしらの要因で歪みが生じ、その者たちがこの特異界に狙いを定め、うねりを上げて脅威が迫ってきている。


統制省としても十煌神消失報告を受けて攻勢防壁レベルを最大限に上げなければいけないだろう。

軍、各省庁と十煌神だけで対処できないところまで状況は迫ってきているのかも知れない。


それが彼女ポラリス次第だ。


主席官ヴァイオリンは様々な気持ちが湧き上がってきたが、報告書をまとめると、上層部へ現状の全てを報告をした。

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