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ポラリスの多世界  作者: 一
特異全宙域大都市構造連続帯編
168/362

#166 不革命の夜


「ポラリス!なのか。承認する!」


なんだこれは?!膨大とは言葉が小さく感じる程の力の塊がこの空間に迫ってくる。誰が来るかは分かっている。ポラリス・ステラマリスだ。巨大?きっとその言葉で収まり切れない力の塊が『回廊』というポラリス・ステラマリスが唯一持つ力の繋がりを感じることが出来た。


これほどの力、僕の力を超えている?!ばかな、僕みたいな特異界の核であれば話は別だが、ポラリス・ステラマリスは個人だ。僕とは出自が違う。だが、これほどの巨大な力を感じることが出来たことは僥倖だ。


僕は神だと言われることもある。世界の代行者と呼ばれたこともある。特異界を統べる存在だと比喩されることも珍しくない。だが、僕自身が、ポラリスの力の流れを感じることが出来てから奢りは消えた気がした。


少なくとも僕に奢りがあったわけではない。僕は僕だからだ。比べようにも比べる相手がいない。特異界は本来は全ての宇宙の均衡を統べる核なのだから。僕らは核としての役目を終えなければならない。


そう、僕には使命がある。この特異界を守ること。そして、その守るべき特異界を犠牲にして敵を倒すこと。この判断には後悔はしていない。これしか方法が無いのだ。敵は十二トルとは、歪みの者と並ぶ危険な組織であり、その力は特異界の核に匹敵するという。


信じられる話ではないが、その使徒が入ってからというもの特異界が狂ってきたことは僕の力で把握していたが、僕にはこの位置から動けないためどうすることも出来なかった。


ズゥズゥゥゥン...


ズズゥズゥゥゥン...


決して揺れる筈の無い超異空間が振動している。これは僕でも出来ない。メミアルも察したのか、攻撃の手を止めこちらと空間全体を観察している。だが、察しはついているだろう。


ポラリスたちがここに来てもソラの回廊で現在、繋がっている状態なので、先程のような『改変』に襲われることは無いだろう。リノは耐性が無かったせいか、僕が知る中で一番、侵食を受けていたがために自爆してしまった。


回廊経由でもポラリスに伝わったのかも知れない。回廊という目には見えない繋がりから怒りを感じることが出来た。ポラリスが怒っている。その感情に呼応するかのように、感じる力が更に増大していく。


「ロイ、何が一体来るというのです?」


「さぁね、自分の胸に聞いてみたら?」


メミアルも警戒しているのは目に見えてわかった。


「ポラリス・ステラマリス」


メミアルはそう呟いた。どこか震えているように聞こえたのは気のせいだろうか。正直、僕も肌でビリビリ痺れるような感覚が来るのを感じている。この僕がだぞ?メミアルもそうだろう。


「メミアル、君は怒らせてはいけない人を怒らせたみたいだよ」


「そんな程度、私の力で侵食してしまいましょう。ふふふ」


ズズゥズゥゥゥン...


ズズズズゥズゥゥゥン


《観測掌握完了》


脳内に先程の見知らぬ女性の声が響いた。ポラリスが来る。何を掌握したのだろうか。


割れる筈の無い超異空間が割れた。この空間が経験したことが無い衝撃が空間全体を隅々に襲いかかる。


「お前がリノをやったのか?」


漆黒の髪に星の煌めきを湛えた少女が空から舞い降りてきた。まるで、神の使徒だ。いや、この感覚は特異界の核に近い何かを感じるが違う。なんだ、この感覚は?


僕も初めての感覚だ。怒りと神々しさが両立している。


「おお、嘆かわしい。自己紹介もせずに相見えるなんて、私はメミ...」


少女は間髪いれずに敵に拳を振るった。その衝撃で空間が崩れた。なんて威力だ。それに、僕の力をソラ経由で共有しているとはいえ、メミアルの『絶対侵食』の影響を受けずに実体を殴れたことに衝撃を覚えた。


一体なんなんだ。この少女は。ポラリス・ステラマリスは?!


「貴方が本物のロイ・ジークね、初めまして、私はパルム・エノカよ。パルムでいいわよ。先程は私たちを守ってくれてありがとう。とても感謝しているわ。この戦闘はポラリスに任せるわ。私たちは次の特異界へ行く準備をしましょう。まずはリノの状態を診せて」


「あ、ああ、僕はそう、ロイ・ジークだ、よろしく。パルム」


これが魔力か。僕の特異界の三分の一を吹き飛ばしただけのことはある。凄まじい魔力量だ。僕が知る限りだと、これほどの魔法使いにはお会いしたことが無い。魔力量でこれだ。本気を出せば僕の想像を超えて、僕と並ぶ存在なのだろう。


「ポラリス!後は頼みます」


「うん、わかってる。ありがとう、パルム」


「ポラリス!僕はロイ!!敵はメミアル、万物事象を変質して操作してしまう能力だから気をつけて!!」


「初めまして、ロイ。ありがとう。でももう大丈夫」


少女は静かに怒りを込めて言った。その怒りは敵に向けたものだろう。だが、少女の放ったその言葉だけで普通の者など耐えられず消し飛んでしまうのだろう。それぐらいの力の塊が言葉からも感じることが出来る。


僕が倒せなかった敵。十二トルを司る1人、メミアル。



「ソラ」


《はい、マスター、存じております。既に準備は完了しております》


「ありがとう、さぁ、行くよ!」


《放流率42%開始》



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