#09 宇宙を吹き飛ばす者
エリアスさんとの話から翌一日経過した。寝るような体質ではなかったが、昨夜やしっかりと心身ともに環境や情報に慣れてきている。
観測さんの補助もあってのこともあるのだが、リノも上司と面会後、気持ちに寄り添ってくれた。心強い仲間である。心からそう思った。
今いる場所は、今いるあの天体が周回していた、大きな建物の名前はジグラットという名前みたいだった。
観測さんの観測結果だと、ジグラット中層下部区域らしく迎賓館やホテルのような施設が密集しているエリアらしい。人通りや車のような乗り物の往来もとても多く感じた。
想像はしていたが、この建物は一つの星というか、物量と情報量は大都市以上のような空気を肌で感じた。
エリアスさんの配慮でジグラット建物内にて指示があるまで、迎賓用のホテルで保護されることになった。
コンコンッ!
ドアを叩く音がした。
「どうぞ」
とは言っても僕のところへ来るのは、リノしかいないのだ。知り合いもいないし。3年じゃ友達も出来なさそうだ。
「お姉さま!早速行きましょう!リノとの模擬戦会場へ!」
昨日、話が終わった後に気分転換とポラリスの能力把握の為にも仲間として一度実践形式で確認したほうが良いという判断になったのだ。
時間がないなかで、行動が早いことはしょうがないとは思うのだが、少しはゆっくりしたいというのが本音のところだ。
宿命とやらは、それすらも許してくれないのだろうか。
流れに身を任せるとこの都市に来た時から覚悟はしていたが、展開がどんどん前に進んでいくと迷いというよりは、慣れるまで少し時間がかかるだろう、とポジティブに解釈した。
生まれ変わる前もこうして生きていいる僕も、自分の意志と基本は崩さない。基本はポジティブ思考なのだ。
リノは相変わらず楽しそうだ。今日はリノと僕が仲間として模擬戦するのだが、お決まりの転送陣で会場へ転送される。
見た目からは想像できないが、リノ自身は数々の戦線で戦果を挙げ、現状の地位と役割を任されているのだ。
一応、お姉さまと僕は呼ばれているが、はるかに経験値や転生転移された可能性があるとしてリノは軍部から認識されているらしいが、僕よりも遥かに先輩だ。
お姉さまと呼ばれているのは、むず痒く恥ずかしいが、悪い気はしなくなっていた。
体の変化もようやく心に対応してきたのだろうか。
今日の模擬戦で何か、自分の能力の一旦がわかるのかも知れないしな。
《主、初の模擬戦、私も全力でサポートさせていただきます!》
観測さんもとても張り切っているようだ。
僕も負けてられない。自分を知るためにも、これから何を支持されるかわからないが、リノとの模擬戦はきっと今後の方向性として悪い方向へには行かない筈だと確信していた。
「お姉さま、会場へ到着しました。えへへ」
真っ白な広い空間だ。戦闘用の空間とは聞いていたが、どんな場所なのだろうか。
《この空間は戦闘用に特化した領域であり、どんな戦闘でも対応できるような造りになっているようです。思いっきり行きましょう!》
観測さんはやる気満々だ。
さて、もともと僕は戦闘を経験したことの無い世界で生きてきたが、心と体も馴染んできている、戦闘も慣れてみせる!
「お姉さま、私の胸を借りてドンっと向かってきてください!」
とても頼もしいが、戦闘初心者としてはなんだか恐いというのが正直な感想だが、考えてもしょうがない。実践あるのみ!
「おう!、リノ頼む!」
《通常の自動観測モードを解除。戦闘観測へ移行し分析を開始します》
リノはアンドロイド、超体力があっても肉弾戦では地力で差があるのは明白だろう。この考えが甘すぎた。かなり甘すぎた。
《リノの周辺の物理法則が書き換えられています。来ます!》
リノが初動無しで一瞬で僕の背後へ回り蹴りを入れてきたが、観測結果を元に紙一重で避けつつ、間を開けず肉弾戦で拳と蹴りの嵐だ。
全て観測した結果のおかげだ。これ「超体力」のスキル無かったら、避けるだけで体ボロボロだろうな。
通常の肉体なら崩壊まっしぐらだ。
「お姉さま、やりますね!これならどうですか?分析させる暇を与えませんよー!」
リノも段々と本気になってきている。まさか、殺しにかかってきているわけではないと思うが、鬼気迫る覇気を感じる。
瞬間、リノの右手が変形している?!
「お姉さま!行きますよ!」
《緊急!スキル「純粋原子」による核撃攻撃です!回避不可のため、ダメージ、衝撃波と熱の遮断を試みます。完了》
その瞬間、真っ白で広大だった空間に核撃攻撃の連打で起きた衝撃と爆風が吹き荒れた。
火と爆風が空間を熱しているが、どうやら僕は無事のようだ。観測さん、様様だ。
《観測掌握完了。次回、核撃攻撃を受けたため分析掌握し、核撃変動熱無効を獲得しました。今後、熱全てを無効化できます》
さらっと言ってるが、観測さんの能力って認識確認するだけの分析専用ってわけではないのか?!!
もっと、戦闘を続ける必要があるな。
「リノ!僕は大丈夫!もっと本気で来てくれ!!」
「お姉さま!流石です!!それでは、リノの最大権限行使により戦闘空間を拡張強化します。次行きます!!」
《リノの権限行使により、戦闘空間がより強化されました。同時に、リノを中心として物理法則が書き換えられています。思考主演算による真核を観測!複数の天体級規模の高エネルギーを複数観測!!》
リノはデタラメだ。
というか、思考主演算ってなんだ?
真核まで確認って?!観測さん、相手の個人情報丸裸にできる能力というわけなのか??!!いや、模擬戦で進化しているんだ。経験値や体験で成長するって言ってたし!!!
にしても、なんていうエネルギー量だ。観測さんからの観測結果が網膜と頭に直接流れ込んでくるが。。
本当に空間が壊れたりしないだろうな。
複数の天体級規模のエネルギーって、リノの本気をとても感じるが下手すると、この大神都が消し飛ぶぐらいじゃ済まないようなエネルギーをこの空間で攻撃にしようしてこようとしてくるのだから。
というか、あのリノの顔まだまだ余力があるって感じだぞ。
来る!?
《主来ます!!観測分析開始!!!算出完了!!!!》
《思考主演算により、0000000.1秒以下で756天体の恒星現出を観測確認!!太陽以上の質量と規模と数です!!!同時に756恒星の超新星爆発攻撃が空間内で発生します!!!!!!》
――――――――
刹那
リノは想像を絶するアンドロイドだ。多分、3年後の未曾有の災厄もリノ一人で解決できんじゃね??と確信を持てるぐらいだ。
僕は耐えられるのだろうか。この空間は耐えられるのだろうか。
僕の人生はここまでじゃないかと、思えるぐらいだ。
だが、不思議と負ける気がしないのは何故なのだろうか?
《主は負けません。負けさせません!》
「おう!全力を尽くそうぜ”相棒”!!」
――――――――
756天体の恒星が圧縮され、ポラリスに向かって超新星爆発攻撃で空間は光に包まれた。
《観測掌握完了》
光とは呼べない白しかない膨大なエネルギーが一瞬で何事もなかったかのように元の空間に戻った。
《主報告します。恒星756全てを観測分析し掌握に成功し、同時に星の子の進化の発芽を確認。吸収したエネルギーを全て進化へ還元します》
さらっと、結果の報告をしてくる観測さん。
進化とは?本当に戦闘中に進化している。
おそらく、リノも僕の変化に気づいている。あの思考主演算とかいう真核が異常だ。
続いて、さっきよりも強大なエネルギーが飛んでくるのは間違いない。リノは今さっき放った攻撃は本気ではないし、かなり余力を残して手加減して戦闘していることは、素人目にもよくわかるし、観測さんも同意見だ。
次来る!!!!!!
「お姉さま!!!ほんとに素敵です!!!!!リノの本気を受け取ってください!!!!!!」
《特異点を観測!!剥き出しです!!超新星爆発の比でなく、ビックバンが始まります!!!!》
ビックバンだ、、と、、!?!?!?
3年後じゃなくて、リノが元凶じゃないのか???!!!!って思えるぐらいのエネルギーという言葉では収まらないエネルギーの奔流!!
今いる星が10兆㎞だろうが、簡単に消し飛ぶぐらいじゃ治まらない規模のエネルギーだ。何これ?
《観測から進化を確認。完全観測へ進化移行完了。合わせて、リノのスキルから耐性まで観測完了。続いて、リノの進化を確認。思考主演算から神速思考主演算への進化と並列してスキル・耐性の進化を獲得。完全観測確認完了》
え?リノが進化??!!
思考主演算から神速思考主演算へ進化と保有するスキルと耐性も進化??!!
刹那、真っ白な空間が真っ暗になった。光の線の束が見える。
《リノの進化により、特異点の複数の剥き出しを顕現に成功》
やり過ぎだ。宇宙を吹き飛ばす者か、とんでもないアンドロイドに好かれたものだ。
僕も負けるわけにはいかない!!!!
《現状の状況から真核完全観測では主の消滅予測が出たため、進化を開始。失敗。失敗..........完了しました。観測から全天に進化し獲得完了しました。同時に、潜在能力のOの発芽によりUniverseを獲得しました。真核は潜在能力に統合されUniverseとして観測分析掌握を精度を高めました。完了。リノが顕現させた、10000000の特異点をこれより観測分析し吸収し進化へ統合を開始します》
何を言っているかはわからないが、進化の影響か、何を言っているのがわからない瞬間からわかるようになっていた。
え?模擬戦というか宇宙存在規模の戦闘してね???!!!!
と、考えられる余裕があった原因はこれだな、と確信した。
「Universe!」
進化したばかりの能力が開始された。
1億の剥き出しの特異点爆発した瞬間にUniverseの能力で一瞬で収束していく。
今までの出来事がまるで、何事もなかったかのようにだ。
リノはこの模擬戦で1億倍の性能をあげた。
そして、持てる全ての力をぶつけてきた。
下手すれば世界が終わっていた可能性が高いことは否めないが、この戦闘空間様様と、僕自身もこの戦闘で大きく進化してしまった。僕自身もリノ以上の相当な化け物だ。
「お お姉さ ま、さすがです。リノの完敗です。もう力が出ません」
リノにダメージは今回与えていないので、一方的にエネルギーを吸収した結果になってしまった。
リノがその場に倒れた。オーバーヒートして少しだけ動けないだけのようだ。大事にはなっていない。よかった。
「もう、リノ本気出し過ぎだぞ」
「お姉さま、ごめんなさい。久しぶりに本気だせて、リノも嬉しかったです。またお手合わせお願いします」
リノは相変わらず眩しい満面の笑みだった。
リノも僕も1回の模擬戦で相当な進化をしてしまった。これも宿命なのか、3年後に向けて歯車が早く動いているのか、なんだか、手のひらで踊らされている感覚も否めないが、この世界はIFが無い世界。
今は、この模擬戦で得られた経験や体験に感謝し、今後の方向性に活かそうと思った。
それにしても、大丈夫と言われた、戦闘空間がかなりボロボロである。
ほんと、あの戦闘で僕が失敗していたら世界が終わっていたかもと一瞬過ったが、余計なことは考えないことにした。




