rensyu2
お腹へった。ご飯の動画を見てたらお腹減ってきた。男の子がお母さんとご飯を食べてる動画で、顔は見えないけど、蜜柑食べるって聞いてる。何を言ってるかわからないってお母さんは適当に流してるけど、多分特撮モノと現実の入り混じったような会話をしていて、それは区別がつかないわけではなく区別をつけるための語彙とか言葉の使い方がまだ出来上がってないというかそういう感じなんだろうなと思う。
夜に予定があってそれまでの時間をどうするかってなっているのだが、男の子は辛いものを食べようとしていてお母さんはそれめっちゃ辛いよって言っている。おいしかったらしい。高音の鼻にかかるみたいな音を出して楽しさなのか喜びなのか上手く言ったみたいな達成感なの満足感なのか、いやこれただ口を閉じたまま、おいしいっ! って言ってるだけみたいだ、口にものがはいってるから、おいしいっ! って言葉がただの楽しげな音に聞こえるだけなんだ。別に楽しいってわけではないんだろうただテンション高めの発音をすることがそれ自体遊びみたいになっていて、楽しくないからつまらないわけでもないけどお母さんだってそんなに楽しげにしてくれるわけではないから楽しい気分というか楽しい音を自分で作り出してそれを遊びみたいにしてるってことなんだろうか。
昔は音フェチってタグがついてて、今はASMRって言われてるけど、今見てる動画の人はそれを挙げてた人の中でも特に好きだった人で、一時期活動を休止していて元々上げていた動画とかもほとんど消してしまっていて、でもそれでも別の人の動画とか見てるとよく聞いてた音フェチ? ASMR? の動画は? って質問によく名前が上る人ではあって、その人が最近新しく動画をアップし始めて、その動画がお子さんととご飯を食べるだけの動画で、この人はもともとロールプレイ動画を新しく切り開いた人つていうか全く新しく始めたのがこの人だったのかどうかは分からないけど、多分違うけど、ロールプレイ動画っていうのは、音フェチ動画初期は実際にある環境音、川の音だったり雨の音だったり虫の声や散髪屋の音、あるいは包装された箱を開封してその時に出る音を聞かせるみたいな動画が主だったのだけど、そこにごっこ遊びというかおままごと的な要素を取り入れたというか。つまり、散髪だったり病院の診察だったりメイクアップのしごとをしている人だったりになりきって、その一連の仕事の作業を、お客さん対応を動画にするといったもので、それが本当にめちゃくちゃ上手かった人で、こういう動画を見る時、音自体がきれいに録れているかは本当はそこまで関係ないのではないか良さにつながっているわけではないのかもと思うときがあって、本当はその雰囲気というか一連の動作、作業が想像できることのほうが大事で、一音一音がどれだけ魅力的に録音されていてもどんなに映像の画面が凝っていても、その音がうまれることに、音を鳴らすこと自体が目的なのではなく、音はその仕事や作業や一連の動作、その場の雰囲気から必然的に生まれてしまうものである必要があって、だからこそその静かな場所で仕事や作業や動作や雰囲気や時間や空間に必然的な音が流れているということが安心するし心地よい、落ち着きながらずっと聴いていたいようなそういう音が生まれているのかもと、だからそれには小さい子どもとご飯を食べてるときの音なのだと、すごく自然に何も引っかかりがないまま流せてしまうような必然性の中で、今その動画を五周ぐらいしてる。