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その9

そして、ある女官が

「それより、王妃様、この者はコルセットもパニエも身に着けておりません」と注進した。

王妃は少し顔を曇らせた。フランス王宮に入る女性は皆パニエを身に着けていなければならない。これは決りであった(※事実です)。七海はこれを破ったことになる。

けれど、王妃はすぐに笑顔に変わり

「まあ、よいではないですか。ここは王宮と言っても、プチ・トリアノン宮なのですから」

と言った。

「ぷち・とりあのん?」七海の頭に浮かんだのは、家の近所にある同じ名前のベーカリーだった。

プチ・トリアノン宮の事は、世界史の授業中に、参考に、と言って安田先生は説明していたのに…………。

「ええ、ここはプチ・トリアノン宮。私がルイ15世からいただいた宮殿。私がここの主人なの。だからここに来ると私たちもくつろいで、コルセットを外すのです。そして、ベルタン夫人のデザインした、このシュミーズドレスに着替えるの」

そしてさらに優しい笑顔で言った。

「マダム・ベルタンもあまりここに来なくなってしまって。今日はあなたの珍しいデザインのドレスを、皆で拝見できて、本当に楽しかったわ」

そして、七海も、突っ立っている間に、いつの間にか女官たちの手でシュミーズドレスに着替えさせられていた。女官たちも着替えをすませていた。

そこへ部屋の外から声が響いてきた。

「国王陛下がおいでになりました!!」


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