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そのはち

「え、ええ-」


気が付くと七海の周りに女官たちが集まり、七海に群がって、着ている制服に手をかけ始めた。


「あのっ、やめて…………」七海の困惑にお構いなしにボタンが外された。あ、っという間に上着を脱がされスカートに手を駆けられた。そしてそこで女官の手が止まった。


「おや、これは…………?」


女官は何かに戸惑っていた。扱いがわからないようだった。


目をやると女官の手はスカートのファスナーのところで止まっていた。


七海がファスナーを下ろすと周りからどよめきが起こった。


「どうしたの?」


王妃までもが七海に近づいてきた。


見ると彼女は先ほどまでの裸体ではなく、何やらゆるい、それでも上等の生地で軽やかに縫い上げられたドレスを身に着けていた(ここで、プチ補足説明。当時フランスでは国王夫妻は寝室まで公開されており一日中誰かの視線にさらされていました。また、アントワネットの出産時には50人ほどの貴族が見物に来ていたと記録があります。日常の着替えも一人ではままならない上流の夫人の衣装の作りなどもあって人前に裸身をさらすことも慣れっこだったと思いますよ♡)。


「王妃様、ここにまるで魔法のごとき仕掛けが………」女官はあまりにも驚きすぎて指先を細かく震わせていた。


無理もない。この時代にはまだファスナーは発明されていないのだ。通常ファスナーと呼ばれている線ファスナーは1891年にアメリカで発明されたのだ。


結局、七海はスカートを奪われ、その格好でしばらく放置されたまま、皆はファスナーに夢中になって、閉じたり開けたりを繰り返し大変な騒ぎだった。


みんなの間を七海のスカートが回って行き、「この布をたたんで重ねたデザインも面白い」だの「このように脚を出して歩くのは、破廉恥ではないのか」などとファッション談義がはじまっていた。



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