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34/34

その34

 七海は涙をぬぐい、クーを見つめ、もう一度膝に乗せると、

「明日から、学校だ!頑張らないと!」と言った。


 気持ちを切り替えることができたようだ。


 そのとき、クーがおずおずと

 ―――――あのね、にゃにゃみちゃん、その事なんだけど、

「?」

クーは、七海の手をすり抜け、膝から降りると、そろうりそろうりとドアの方へ向かいながら、言った。

 ―――――クーね、推薦入試の面接、代わりに行ったんだけど失敗しちゃって…………。面接会場にちょうちょが入ってきて…………我慢できなくて………追っかけちゃったにゃ……。だから、お受験は一からやり直しってことになったにゃ…………。


クーは、そう言うと、ドアの隙間から大急ぎで逃げ出した。


「え~~~~~!!」





(ここで余計なお世話のプチ解説ラスト。


 作中に、王女マリー・テレーズと入れ替わって生涯をすごしたと登場させました女性、ヴェルサイユ宮殿の小間使いの産んだ娘、マリー・フィリピーヌ・ド・ランブリケには、ルイ16世の隠し子、と言う説もあります。この実在する人物は、実母が死去した際、ルイ16世の養女となっており、その際にアントワネットからエルネスティーヌという名を与えられ改名しています。エルネスティーヌの法的文書には母・フィリピーヌ・ド・ランブリケの名前のみで、父親の名が記載されておらず、そのことからもルイ16世の嫡外子ではないかとうわさされたもようです。

 マリー・テレーズが替え玉だったという説は実際にあり、すり替わったのはこの作中の時期より後の、タンブル塔に幽閉されていた時だと言われています。また、その頃に、マリー・テレーズが女児を出産している、いう説もまことしやかに伝えられています。


 ヴァレンヌ逃亡事件は、国王一家が国外に逃げようとした行動であると一般に思われてきましたが、実際は軟禁状態だったパリを抜け出して国境近くで王党派たちと集まり巻き返しを図ろうとしたものである、と言われています。国王一家は最初から亡命する気はなかったのです。


 また、実際にこの逃亡が失敗した原因はいくつもあるとされています。作中にも登場した、『裏切り者の侍女』の目を欺くため、計画の実行を、直前にずらしてしまったこと、御者役を務めたフェルゼンが慣れぬパリで道を間違え、時間をロスしたという説(これは追跡を逃れるためだったという説もあります)、アントワネットの旅行気分の旅支度の重さで馬車のスピードが出なかったこと、そして、ルイ16世がこの逃亡の途中で、フェルゼンの同行を拒否し、帰してしまったことなどです。ルイ16世は外国人であるフェルゼンの身を案じた、とも言われていますが、作中にも述べたように、妻とフェルゼンの関係が疎ましかったから、という説が多くの支持を集めています。


 また、この事件のあと、パリ市民は国王がいなくても、いつも通り朝日が昇ったことに驚き、「国王なんていなくても大丈夫なんだ、いなくても、ちゃんと明日がやってくるんだ」、と目覚めたことが、王室が完全に力を失うことにつながった、と言われています。やはり、王権神授説、戦前戦中の日本に近い考え方を国民にもたらしていたと思いませんか?


 最後まで薀蓄うんちく語ってすみません。語りたいのですよ~、ご了承~♡)






参考文献:河野健二『フランス革命小史』1959 岩波新書

     マリー・アントワネットの娘 栄光の記憶 中島 実穂 (著)

     その他ウィキペディアフランス革命史年表など


今回で完結となります。お付き合いいただき、ありがとうございました。


またいつか、別の時代でお会いできますように♡ (*^^*)

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