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その30

「え、なにを?」


 クーは七海の問いかけに、もったいぶるように膝から降りると七海と目の高さが同じになる机の上にのった。


 ―――――にゃにゃみちゃんが、世界史の教科書の中をさまよっているのを。にゃにゃみちゃんが机の上に広げたままにしていた山○の教科書の○○○ページの差しフォトの中ににゃにゃみちゃんの姿が見えた。宮殿の中で、ローブ・アラ・フランセーズを着て歩いていた。この写真はもともと近い時代のもののはずなのに、みんなが昔のドレスを着ていたから、あのころに行ってしまったのがわかったにゃ。


「教科書に……」


 そして、七海はついでに思い出していた。そういえば、あの日、世界史の授業に教科書を忘れて、隣のクラスの子に借りたことを。借りっぱなしではないか!


 ―――――私が返しておいたから大丈夫だにゃ。


「クーちゃんが?」


 クーはこくん、とうなずいた。


 ―――――にゃにゃみちゃんはしばらく帰ってこにゃいだろうと思ったにゃ。それで私のスピリットをにゃにゃみちゃんの体に送り込んでにゃにゃみちゃんの代わりに学校へ行ったのにゃ。


「そんなことしたら、クーは?クーの体はどうなったの?」


 クーは少し困り顔になった。そして言いにくそうに、


 ―――――私の方は自分で動くことができなくなったから、学校へ行っている間はおじいちゃんに頼んで、世話をしてもらった。おじいちゃんはずっとクーのことをさすってくれてた。「七海と入れ替わりにクーが動けなくなって、クーが七海の代わりになってくれたみたいだな」って言いながら。学校から帰ったら自分でさすったり、ご飯を口へ入れたり、世話をしたよ。…………まあ、自分の体だからね。


 と言った。クーが案じたとおり七海は涙目になって、


「そんなこと…………。私のせいで。」と言って絶句してしまった。


 クーはそんな七海を見ながら、


 ―――――でも逆はできないでしょ。私が猫のままで、にゃにゃみちゃんのお世話をするなんて。だから結局、これがベストチョイス。


 と言った。


 ―――――それで、しゃべり方とか普通にしなければならなかったし、いろいろ能力交換をしたっていうわけにゃ。わかった?


 七海は納得した。だが、お読み下さっている方の中には納得されてない方もいるだろう。七海がヴェルサイユ宮殿に行ったのは、物語が少し進んでからだ、七海は最初からにゃ~にゃ~いっていたではないか、と。


 そこはそれ、タイムリープ、タイムトラベルなどというものには時間軸と空間軸の中に二次元や三次元では説明のつかないひずみが生じる。複雑な計算式をもってしても、いまだに説明のつかない事象に出会うことも、また、ありうる。その計算方法とは、光の速度の100倍で進む物質の質量をXとした場合、そのXを二乗、そしてさらに三乗、そしてさらに、サインコサインタンジェント、うんたらかんたら…………。という具合で、些細な時間が前後した程度の誤作動は不具合の内にすら入らないということは、何をもってしてもほぼ間違いない!…………………………………………ご、ご了承~♡



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