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そのさん

七海に手を貸していた背の高い美貌の青年は、その声にすぐ反応したが、七海を助けて立たせることは優雅にやり遂げた後、「パルドゥン(しつれい)」というと、その声の主の元にはせ参じ、ひざまずいた。


「王妃様に置かれましてはご機嫌麗しく、恐悦至極に存じます」


フェルゼンと呼ばれた青年は王妃の手を取りうやうやしく忠誠の口づけをした。


王妃は満足げにゆっくりと手を収めると、


「そこの者は誰なの?珍しい服装をしているのね」と扇越しに七海の方を見た。


七海はその瞳に照射レーダーの照準を向けられたように一瞬、身の引き締まる思いがした。


それは、その人の威厳に打たれた、というのもあるが、おそらく、その人の恋人が他の女に手を貸しているのを見て燃やしたジェラシーの炎を、七海が敏感に察知したのかもしれない。


七海は反射的に取り繕わなくてはならない、ということを理解した。そういった点では素早く頭が回るのだ。


…………確か、作法はこれで………。


と、バレエ教室でレッスンが終わった時にしているように片足を引いてカーテシーという作法でお辞儀をした。


ほう、と周囲の人々やフェルゼン、そして王妃からも感嘆のため息が漏れた。


「どこの国の者かはしれぬが、作法を心得ておる」そういうささやきも聞こえてきた。


七海はほっとし、


…………よかったあ、バレエならっておいて。送り迎えしてくれるおじいちゃんに感謝だにゃ~ん。


と思っていた。


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