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その13

「何事ぞ」


「陛下、至急ベルサイユへお戻りを。パリから女たちがパンを求めてヴェルサイユをめざし行進しているとの知らせでございます」


「パン?パンですか?」王妃は意味が分からず首をかしげていた。


(実際には王妃はプチ・トリアノンの丘の上にある洞窟のベンチに座っていた時にこの知らせを受けた、とされています。ぐぁ、ご了承~♡)


……………何かで聞いたことがあるにゃ~。確か、確か………。


「パンがないならお菓子を食べればいいんじゃないですか?」


「え?お菓子?」


王妃は怪訝な顔で七海を見ていた。


七海は、やはり、きちんと世界史の授業を聞いておくべきだったのだ。


通説ではマリーアントワネットがパンを求めて女たちが押し掛けた時、「パンがなければお菓子ブリオッシュを食べればいいじゃない」と言ったということになっているが、このような言葉をアントワネットが口にしたという記録は一切ない。ルソー(フランス革命以前の1778年に没)が書いたもののなかに、さる上流夫人の言葉として紹介した一文がいつの間にかアントワネットの言葉として知られるようになった、またはフランス王家の別の女性の発言であるなど、いくつかの説がある。平清盛が「平氏にあらずんば人にあらず」と言ったように一般に思われていたことと似たような誤解から生まれた話である(※事実です)。


とにかく安田先生は世界史の授業中に、解説小話としてそのこともきちんと話していたのに、だ。


困惑気味の七海をよそに、周囲はあわただしく動き始めた。


「すぐにヴェルサイユへ戻りましょう!」


その王妃の声を機に、あっという間に男性陣は部屋から出され、王妃やそばにいた女官、そして七海もシュミーズドレスを脱がされ、苦しいコルセットをはめられパニエを身につけさせられ、その上にあのロココ調のドレス、ローブ・ア・ラ・フランセーズを着せられたのであった。






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