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最優先する青  作者: 青木りよこ
29/35

ふわふわ

ふわふわしている。

足元がおぼつかない。

階段が上がれているのが不思議なくらい。

改札を出るとようこそ彦根へと書かれたお城の写真とご当地キャラクターの白い猫の着ぐるみのパネルが見え、無事に帰ってきたことを教えてくれた。


まだ頭が追いつかない。

誘ってもらえるなんて思ってもいなかった。

本当に私でいいのかな。

青柳さんチケット二枚譲って貰えることになったって言ってたけど、本当は別に人と行こうと思ってたんじゃないのかな。

女の人というより、趣味の合う友達と。


駅の階段を降りると白い髪のパトロールAIが近づいて来た。

思わずもたれかかりたくなる衝動を何とか抑えて、歩き出す。

家はすぐそこなのに、永久にたどり着けない気がした。

日曜日までに何をしたらいいか考える。

着ていく服もそうだけど、どうしよう、これはデートになるのかな?

付き合ってないんだからデートなわけないか。

でも二人っきりで出かけるわけで。

私は青柳さんに好意は持っているわけで。


いっそ言ってみようかな。

付き合えませんかって。

でも拒絶されたらどうしよう。

現状で断られる可能性は十分ある。

私は好かれるようなことは何もしていないし、青柳さんが好きだと言う青野椿さんとは似ても似つかないし、あんな声とてもじゃないが出せない。

好きなアイドルと実際付き合う人は違うかもしれないけど、それも自分が人を好きになったことがないからわからない。

そう、それに尽きる。

私は青柳さんのことが好きか本当のところわからない。

自分のことなのに可笑しいけど、どういう状態になれば好きなのかわからない。

単純にいい人だなってのと付き合うのはまた違うだろうし。

青柳さんのことかっこいいかと思うかと言われてもよくわからないと答えるだろう。

見た目を好ましく思っているわけではない。

あ、でも、食べている青柳さんはかっこいいと思う。

淡々としていて落ち着いていて、何にも動じていない。

美味しくても私の様に大騒ぎしないし、ありのままを受け入れている。

そこが好き。


青柳さんはどうして一緒に食事に行ったりしてくれるんだろう。

出かけた時お土産を買ってきてくれたんだろう。

食事は私がしつこいからかなあ。

でも迷惑じゃないって言ってくれた。

社交辞令かな。

お土産は私が食べ物の話ばかりするからだよね。

もうちょっと面白い話が出来たらいいのに、でも自信もって話せるの食べ物くらいなんだよね。

興味ないこと話してもどうせボロが出るだろうし。

本当はアニメの話が出来たら一番いいんだろうけど、あんまり面白いと思えないし。


見上げた夜空に一際輝く星を見つけると、綺麗ですねと声に出してみたくなって隣を歩く美少女が青柳さんじゃないのが無性に物足りなく感じた。

それでもまだこの気持ちが何なのか答えは出せそうもなく暫く空を眺めていた。








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