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むかしむかし
むかしむかし、そう言われるほどに昔の話。
この世界は魔族と人間とで住む場所が分かれていた。
互いが干渉しないように、明確に区切られた境界線。それは互いの平和を守る為に、いつの間にか引かれていた線だった。
そんな世界で、1人、傲慢な考えを持つ男が生まれた。
男はこの世界全てを我がものにしようと考え始めたのだ。
その男は、人の住む地を治める王であった。
侵略されかけた魔族の地を治めていた当時の魔王は、民を守る為に立ち上がった。
元々高い戦闘力を有していた魔族は、あっさりと人間たちの侵略を食い止め、元の地へ押し戻した。
しかし、怒りの収まらぬ魔族たちはある意志を宿していた。
やられたら、やり返そうではないか。
我らが魔王様ならば、あの愚王と違い、不可能なことではない。その為に力を惜しまずに差し出そうではないか。
そうして、500年にも続く魔族と人間との戦争が幕を開けた。