24 桜前線
高校1年の春休み、3年生が卒業して自分たちの学年もひとつ繰り上がるという準備期間。
卒業生とは違い在校生である2年と1年は春休みの期間が短く、課題も課される。学校側はあまり遊んでいる暇は与えてくれない。
本来のアタシならいろんな友達からお誘いの声が掛かり、それに釣られてホイホイと出掛けていく。課題なんてそっちのけだから当然成績も落ちていく一方。
「そこでふと考えるわけだ、勉強と人とのコミュニケーション。果たして社会に出るうえで有用性があるのはどっちなのかと」
アタシの苦言に、机を挟んで向かいあっている男がノートを執りながら応える。
「巡瑠はどっち?」
「どっちも」
即答だった。
なんとも面白くない答えにアタシは机に頬杖をつく。分かりやすいその様子に巡瑠は少しだけ眉間にシワを寄せる。
「だってそうだろ? コミュニケーションを必要としない仕事も世の中にはあるし、勉強だって記憶力や理解力を鍛える必要な手段だ」
「でもさー、数字なんて今の時代コンピュータの方が優秀で速いし歴史や地理もスマホとかで調べれば出てくるじゃん」
どっか旅行とかするならば地理はまだ必要な知識かもしれないけど日本史や世界史なんてどこでなんの役に立つというのか、アタシにはさっぱり。
「考え方を変えりゃいいんだ。歴史ってのは記憶術だ、確かにその全てを頑張って覚えたところで活用しなければ後からボヤっとしか思い出せなくなるだろうな」
「ほら、どうせ忘れるなら意味無いじゃん」
口と鼻の間にシャーペンを挟みウネウネ動かす。勉強をしている自分がなんだか馬鹿らしく思えてくるけれど、もしそれを口にしようものなら目の前の座るこの男が黙っちゃいない。
「でも誰かが本とかに記し残すから歴史というものが出来たんだ。明羽が子どもの頃のアルバムとか、親が作ってくれたから振り返られるんだぞ?」
「はーん」
なるほど、言われてみればそれも歴史ってことになるのかな? まさにアルバムはアタシの伝記だ。
「ま、物は考えようって感じ」
「それを言われたらもう何も言えねぇ」
アタシから視線を外し課題のプリントを仕上げにかかる巡瑠、対するアタシはまだ半分くらい残っている。どうして同じ時間にスタートしたのにこれほどまでに差が開くのか、不思議。
悔しいからこのへんでちょっと意地悪してやろうかな。
「アタシと課題、どっちが大事なの?」
交際関係にある男女間で言われたくない言葉のひとつ。ド定番中の定番、これを言われて気を悪くしない男なんていないという伝説の言葉にコイツはどう返すつもりなのか、楽しみなところでもあったりする。
「夫婦間が冷めた頃にまた言え」
覇気のない顔でこっちを見た巡瑠は呆れるように言い放った。
「いや別に結婚してな……」
言いかけてピタッと止まった。
あ、そっか。もう先を見てるんだ。
いや、ちょっと早くね?
「ん、なに? そのつもりはないの?」
まっすぐアタシを見つめる巡瑠は僅かに首を傾げる。
いや別にないってことはないんだけど……、でも面と向かってある、とかは言いづらいし。
「あー! この話終わり!」
アタシは顔を横にブンブン振ってプリントに視線を落とす。
そうだ今日は課題をしに来たんだ。
「やっ!」
チラっと目線を上げると巡瑠は盛大にガッツポーズを決めていた。
くっ、計算だったか。まんまとしてやられた。
なんだか余計に恥ずかしくなった。このまま沈黙になるのも気まずくなりそう。
あー、なんか話題話題。あ、そういえば。
「ね、課題終わらせたら久々にどっか遠出しようよ」
せっかくの連休なのだから満喫したい…………、っていうかしなきゃ勿体無い!
「ユニバーサルなとこは春休み人が多いんだぞーん?」
「そりゃそうだ」
思い付きで行くにはちょっと無計画過ぎるスポットかな。卒業生とか多いだろうしちょっとアウェー感あるかも。だからアタシはデートプランニングに最適と思われる旅行雑誌を鞄から取り出し机の上に置く。課題を下敷きに。付箋を貼っていたページを開き巡瑠に見せる。
「じゃあさ、こことかどう?」
「なるほど、日帰りで確かに行きやすいか」
雑誌特集に掲載されていた桜が有名な鹿公園。
春らしいと言えば春らしく、今年は例年よりも開花が早いらしく春休み期間でも充分に花見が出来るとのこと。
「でも課題が終わらなきゃ、この計画もパーになるからな〜」
「ちょっと! 計画立ててる時くらい課題のことは言わないでよ」
「おー、本来の目的を忘れてらっしゃる……」
この公園なら朝早くの電車で行けば夜には家に帰りつけるから……いや、でもさすがに泊まりとかになるとまた色々と準備がなぁ。
まぁ、そんなこんなで巡瑠のスパルタに耐えながらもなんとか春休みの課題は終わらせることが出来たアタシたち(主にアタシ)は数日後、計画を実行に移したんだけど。
思えばそれが、悪魔との出会いだったのかもしれない。
***
「しっかし慣れないもんだ」
券売機に並ぶ手間が省けることには感嘆としていたくせに、改札口を抜けるときに多少もたついた巡瑠はそれから電車に乗っても現在進行形でソワソワしていた。
「切符持ってないから変な気分」
運よく席も空いていたので苦労することなく座ることができた。しかし隣で不安の声を漏らす巡瑠はらしくないというか、普段の偉そうな顔が若干シュンとした感じに仕上がっていた。
アタシも慣れない最初のうちはそんな感情もあったのかなぁとか考えつつも、もう慣れたというかこっちのほうが当たり前になってしまっていたのでその気持ちはわからない。
こんなアタシだけど、小さい頃はよく人の気持ちに同調しやすかったらしく、誰かが喜べば自分も喜び、困ったときは一緒に考えたり、悲しめば悲しむ性格だったらしい。
らしいというのは両親から聞いただけの話であってアタシにはそういった記憶もそんなつもりもなかった。
今のアタシからは、とてもかけ離れすぎていてまるで他人の子どもの話を聞いているような、自分が褒められているのにも拘わらずそのことに素直に喜べなかった。まるでアタシの知らないアタシと天秤にかけているようで。
自分が思うにそもそも感情に余裕がなかっただけでしょ? 今は心のほうに余裕がないだけで昔と何も変わらないはず。誰かのことを考えるゆとりがない。
それなのにゆとり世代とか大人にバカにされてちゃ八方塞がりもいいところじゃない。
「最低でも財布とスマホさえあればどうにかなるっしょ」
「なんて短絡的かしら」
失礼なことを言うので膝を軽くはたいてやった。
「いたいっ」
叩いたほうの膝がビクンと跳ね、アタシから距離をとりながら労いたわるようにさすっている。
「どうせアタシはがさつですよ」
「そこまでは言ってないけどな」
「言ってるようなもんなの」
なんとも納得のいかない表情でアタシからひと席分の距離を置き、座り直す。負けじとアタシもひと席分移動しくっ付く。
「暴力はナシだからな」
公衆の面前でイチャつくカップルはかなり多い、どこまでがセーフでどこからがアウトなラインなのかは分からない。
けどアタシらの場合、人前でカップルだと周知させる為のギリギリのラインでこうした距離感になる。
その時の気分なのかもしれないけど、基本手を繋いで歩くのは好きじゃない。どうしてかと言うと、単純に歩きづらいから。だからこうして座っているときにアタシは手を繋ぐ。
巡瑠の左に座るのがアタシは好きだ。理由は無い、ただなんとなく。気分の問題。
そんな束の間の時間もあっという間に過ぎて、そろそろ目的の駅に着く。
アタシたちは駅の改札を出てから近場の停留所へと向かう。昔ながらのバス停という味のある看板を目印に列へと並ぶ。
電車の到着時間と並行させているのか、程なくしてバスがやってくる。車体に桜のデコレーションを施しているので向かう先が嫌でもわかってしまう。この近辺ではシンボル的存在なのかもしれない。
バスに乗り込み、発車してからおよそ20分で目的の停留所に到着。
入口で入園料を支払ってから園内を練り歩く。
「もうすっかり春だな」
「高校生活の一年って忙しかったよね」
慣れない環境でほとんど知り合いもおらず、適応していくのにいったいどれほどの精神を摩耗したことか。人付き合いの幅も一気に広がり、時には危険な目にも遭いそうになったり、心身ともにいろんな意味で成長したんじゃないかとアタシは思う。それこそ本当にあっという間、やっと慣れた高校生活も早い人はもう就職のことを考えて準備を始めている。
本当はアタシも少しくらい焦ったほうがいいのかもしれないけど、自分のやりたいことなんて特にない。事務的なスキルを身に着けておけば仕事なんてどうにでもなるとしか考えていない。
安直で、社会をなめきっている自覚はある。だけどアタシはまだマシなほう、本当に将来のことを軽視している奴は周りにたくさんいる。問題なのはアタシもそういう考えのグループに居るということ。そのままどっぷり浸かっていれば成績のこととか就職活動を気に掛けることなんてなかったのかもしれない。この考え方は巡瑠に卒倒しそうなほど怒られたので今はアタシなりに考え方を改めている。
「ずっと勉強は確かにつまらなかったかもしれないけど、それが終わってこうして出掛けると気分いいだろ」
「んーっ、確かにこれくらいの褒美がなきゃやってらんないかも」
伸びをして息を吐くアタシは春の陽気に充てられていた眠気を飛ばした。本当にヤバイ。朝早く起きたときは肌寒かったものの、昼になるにつれてのこの暖かさは誰だって眠気を誘われる。
するとアタシのお尻にツンツンと感触があたった。
「ちょっ、こんなところで何!?」
慌てて巡瑠のほうを振り返ると、なんとシカに囲まれていた。
「わぁー♡」
どうやらその中からはぐれた子がアタシにぶつかってきたらしい。憂い憂い。
「わーっじゃない! 俺のこと今疑っただろ?」
巡瑠が何か言っているけどそれは放っておいてアタシは近寄ってきたシカのつぶらな瞳に釘付け状態になった。
「おーしおしおし、おまいはどこの子だ?」
「聞いちゃいないわ、口調も変だし」
もっちゃもちゃと服をしゃぶられている巡瑠は財布だけは取られまいと尻ポケットを抑えながら前進する。
「んじゃ、せっかくだから鹿せんべい買ってくるわ」
すぐ近くに小屋があり、そこで名物の鹿グッズをいろいろと販売している。通りかかったときに店内をちらっと伺った限りではあまり売れ行きはよろしくなさそうだった。記念のストラップよりも消費されるせんべいのほうが売れ筋がいいのか、店頭にずらりと並んでいた記憶がある。
「てきとうによろしくー」
ひらひら手を振るとシカたちが一斉にアタシのほうへ駆け寄ってくる。
「まだ餌持ってないってー」
観光客の癖を見抜くシカたちの習性というべきか。あたりを見回すと見知らぬ人にも人懐っこく向かうシカや店から出てくる客を待ち伏せするシカ、アタシみたいに餌を撒くような動作に釣られてやってくるシカと徹底している。しかも競争率がやたら激しい。ちゃんと毎日ご飯食べてんの? と聞きたくなるくらい飢えている。
「写真でもとっとこ」
とりあえず記念に一枚。あとは巡瑠が帰ってきてから二人で撮れたらなーと。セルカ棒も持ってきてることだし。
角度を考えつつ、動くシカたちを巻き込みながらなんとかカメラ目線になった瞬間を狙いすましてみるけれど、なかなかどうして難しい。
「あー、顔動いてるし。落ち着けどうどう」
しばらくシカと格闘を続けていると巡瑠がビニール袋を片手に戻ってきた。
「おーモテモテじゃん」
「めっちゃ嬉しい」
後ろからぞろぞろとシカたちが匂いを嗅ぎながらついてきていた。まるでドラクエ、いやピクミンだ。
「メグルー、せんべいで上手いこと引き付けて」
「オリマーみたいなイントネーションで言うなや」
そう言いつつもピピーと笛を吹く真似をしながら袋をわしゃわしゃ鳴らして寄せ集める。
「はい笑ってー」
「はい卍」
カシャカシャと連写機能を使い何枚もストレージに保存されていく。バースト状態である。
「卍とかさむっ」
「え、もう流行ってないの?」
わけのわからない流行語なんてすぐに廃れるし、みんなだいたい雰囲気で言っててすぐ飽きちゃうからこんなもんよね。なんでか巡瑠はとても残念そうだったけど。
「せっかく覚えたのにな」
「今更っ!?」
流行というビッグウェーブに乗るどころかサーフボードにワックスさえ塗っていないレベルだこれ。
「アタシが言うのも変だけどさ、脳みその無駄遣いじゃない?」
シカにせんべいを食べさせながら口をへの字に曲げる巡瑠が面白くて思わず写真を撮る。
「いや、まあいいよ。確かに俺らしくはないよな」
「シュンとしたりむくれたり忙しないったらありゃしない」
なんだか、どことなく無理をしているようにも受け取れる。やせ我慢をしているのではないか、もしかして今日のことはあまり乗り気じゃなかったのだろうか。
だけど、そんなアタシにとっての一抹の不安は巡瑠の言葉で掻き消えた。
「今までなんだかんだ俺のペースでやってきただろ? だから少しくらいお前がやりたいことに付き合うっていうかさ、近寄れればなと思ったんだけど…………やっぱ無理あるな」
「なんだそのイケメンみたいな思考回路」
惚れてまうやろ。さらに。
「巡瑠は何も変わんなくていいのいいの。アタシが好きであんたと居るんだから気にすんなって。もともとそういう条件の下だったでしょ?」
「随分と悲しいこと言うよな」
鹿せんべいが空になるとシカたちは次の獲物を求めて再び彷徨い始める。解散するときもまた勢いが凄まじく本当に毎日ご飯食べてるのか、割と本気で心配になりそう。
「いいんじゃないか? そんなに深く考えなくても」
「え」
「俺たちってもう恋人以上じゃねぇの? 少なくとも俺は明羽のおかげでだいぶ楽に毎日を過ごせてるよ。これっていいことじゃないか」
巡瑠は恥ずかし気もなく真っ直ぐな瞳をこちらへ向けていた。シカのつぶらな瞳とは違って鋭く、そして少しだけ濁った色をしている。
トラピッチェ・エメラルドに似たその瞳は少し怖く、だけど惹かれてしまう。その眼はずるい。
ゾクッ。
風は吹いていないのに、一瞬だけ寒気がした。
「なんか、なんか違和感ある」
「違和感?」
巡瑠は訝しんだ表情のまま立ち止まった。
この寒気は巡瑠の顔を見てから来たものだけど、けど原因は巡瑠じゃない。
「違和感ってどんな?」
この様子だとどうやら巡瑠は気付いていないみたい。それなら私の取り越し苦労?
「わかんないけど、見られてるような気持ち悪い感じ」
「そっか」
巡瑠はアタシの肩を抱き寄せ、歩き始める。
「ちょっと、アタシの話聞いてる?」
隣を少し見上げ巡瑠の顔を覗き込む。ほんの僅かだけれど彼の視線は定まっていなかった。何かに動揺しているような、落ち着きのない感じ。
「言われて気付くもんだな、確かに後を尾行されてる」
「え、まじ?」
「振り向くなよ」
首を回そうとしたアタシはとっさに肩が痛いふりをして誤魔化す。さすがに女の子でこの誤魔化し方はないかなぁ、と我ながら後になって気付く。
「良かったな。モテモテで」
「アタシだと決まったわけじゃないんですけど?」
「うそぉ、俺なわけないじゃん」
この男は自身の密かな人気にまだ気付いていないのかよ。
でもまぁ、世の中イケメンなんてたくさんいるし、巡瑠に関しては元がいいだけで流行りの髪型とかファッションをしないからダイヤの原石状態なんだよね。勿体ない。
あと性格もわりとひねくれてたりする。ご都合主義みたいな面もあるし、アレの日だったらたまにイラつくときもある。
それでもやっぱり頼ってしまう。
巡瑠に対してあの時抱いた気持ちが果たして恋心だったのか、その答えは恐らく違ったものだったと今なら思える。
言ってしまえば同情していただけ。アタシより深い闇の底に沈んでいるあいつに興味を持って近付きたかっただけ。
あの時は。
今ならちゃんと断言できる。アタシは立川巡瑠が好きだと。
付き合っているうちに好きになるという、いかにもありふれた恋ではないか。相手のことを好きになった後に付き合うとなんか思ってたのと違った、というパターンはそんなに珍しくもない。そしてまた逆も然り。
と、まあ普段なら振り返ることのない気持ちを思い返してしまったせいで顔が熱い。桜もまだ咲いていないというのに、調子が狂う。もう顔も見れやしない。
「なんで離れようとするんだ?」
「いや、なんとなく」
気恥ずかしいとか、本当のことなんて言えるはずがない。
「そうなのか、それにしてもこんな昼間から怪しいやつなんているもんだな…………ん?」
「ん?」
ちらっと後ろを見た巡瑠が今一度後ろを振り返り、立ち止まる。アタシも釣られて立ち止まり、後ろを振り返るとそこに一人の女性がいた。セミロングのゆるパーマにブラウン色、白を基調とした服装にレザージャケットとまるで読モみたい。
「悪い、たぶん俺だ」
巡瑠が一言、アタシに謝ったことで思考回路がショートしかけた。
え、ていうか目の前の女なに? ちょー可愛いんだけど、え? 知り合い?
アタシが口をあんぐり開けてポカーンとしていると女が口を開いた。
「さっきはありがと。まだお礼言ってなかったよね」
女性の柔らかな物腰、見惚れてしまいそうになる笑顔にアタシはたまらず嫉妬した。たぶん今のアタシは穏やかな表情とは程遠い顔をしているハズだ。自覚がある。
「いえ、偶然なんで大丈夫ですよ」
話の内容からするとさっき鹿せんべいを買いに行ったときに何かあったみたいだ。
「ふふ、完璧な彼氏さんですね」
「へ? あ、はい」
まさかアタシのほうに振られると思ってなかったし、オマケに彼氏のことを言われるとどうにも気恥ずかしくなって顔が熱い。
はいとか言っちゃったし、今更撤回するのもなんかなぁ。
「ほんと、今日は素敵な日ね」
ん?
なんだろう。
お世辞なのかと思ったけど、この女性の笑顔の種類が何だか変わった……?
「では、私はこれで。また会えるといいですね」
「こちらこそわざわざどうも」
巡瑠はとくに表情を変えることなく、淡々と相手取る。軽い会釈をしてアタシの方を見て首を傾げる。
「ああ、さっきあの人が彼氏さんと揉めてるところ見てな。酷くなりそうだったから止めに入ったんだ」
「そう、なんだ」
あの人がアタシを見た時の目、怖かったな。




