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第7話

 今俺は二人と一緒に、一角兎がよく巣を作っている小高い山に向かっている。

 魔法の袋の作り方を教えて欲しいと頼み込んで手伝いをさせてもらっている。


「あっ! ゴブリンだ」


 少し離れた場所でゴブリンが一匹いるのを見つけた。


「本当だ」


 ペドロがロングソードを構えた。


「何か鳥みたいのに襲われているみたいだね?」


 ゴブリンが2羽の鳥に攻撃されている。

 少しの間攻撃を受けていたがゴブリンが片方の鳥を払い落とし、踏みつけるともう1羽を捕まえて握り潰した。


「こっちに気付いたみたいだな」


 ゴブリンが俺達に気付き向かって来た。


「ハッ!」


 ペドロがロングソードであっさりとゴブリンを縦に真っ二つに切り殺した。


「何の鳥だったのかな?」


 ここら辺ではあまり見ない鳥だったので死骸を見に行った。


「Cuervo ronda」


「えっ?」


「あぁー、この国の言葉だと“丸烏”だね」


 ペドロが呟いた言葉に反応すると、ニコラスが教えてくれた。


「丸烏……、そのまんまだね」


 言葉の通り、丸い烏が2羽転がっていた。


「大陸ではそこら中の森にいるけど、この国には西の方に少しいる位かな?」


「繁殖期に近づかなければ攻撃してこない魔物だし、スライム位弱いからあまり気にしなくても大丈夫だ」


「じゃあこの辺りに巣があるのかな?」


 ニコラスとペドロの話からそう思って辺りを見渡した。


「あっ、あった」


 木が重なり、隠れるように木の上の方に巣があったので、俺は木に登り巣の中を覗き込んだ。

 

「あっ、卵が1個ある」


 巣の中には鶏の卵より一回り小さい卵が1個入っていた。


「これって食べられるの?」


“ピキッ……”


 卵が食べられるか鑑定しようとしたら、卵にヒビが入った。


「ん?」


“ピキッピキピキ……”“パカッ”


「あっ!?」


 そして少ししたら、卵が割れて雛が出てきた。


「……ピー、……ピー」


 生まれたてで弱々しくではあるが鳴き始めた。


「どうしよう? ほっといても可哀想だし、とりあえず連れて行った方がいいかな?」


 いきなりの雛遭遇にどうしていいか分からず、オロオロしながらも、ここに置いて行くのは可哀想に思い、とりあえず連れて行くことにした。


「ほら、おいで……」


 そう言いつつ片手で優しく掴んで、頭の上に乗せてゆっくり木から降りた。


「ピー♪」


 どうやら頭の上が気に入ったらしく、さっきより元気になって来た。


「「…………」」


 ペドロ達は雛を頭に乗せた俺に、何を言っていいか分からないといった顔をしていた。


「……兎探しに行きますか?」


「ピー♪」


 空気を変える為発言した俺に、真っ先に雛が返事した。


「……そうだね」


「……あぁ」


 空気は変わらず、何か微妙な空気が流れる中、元々の目的である兎を探しに向かった。

 ちなみにその後雛は、烏の色そのまんまの黒を大陸語にして“ネグロ”と名付けた。


 

 

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