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第6話

 ペドロとニコラスが村に滞在し始めて、2日がたった。

 俺は聞きたい事が山程合ったため、毎日二人に付いていった。

 最初、外国人を見た事がない京子は人見知りしていたが、俺が二人になついているのを見て馴れたのか、俺と一緒に二人へ質問責めしている。

 まず二人がこの村に来た理由からだが、ある魔物を探しているらしい。


「一角兎の変異種を探しに来たんだ」


「変異種?」


 ニコラスが俺にそう教えてくれた。

 余談だが、ニコラスは俺と同じくらいの弟が田舎にいるらしく、俺の面倒をよく見てくれる。


「変異種と言っても、デカイとか強いとかじゃなくてな、外の兎と尻尾の色が違う兎なんだ」


 この村付近で出没する一角兎は、全身白の兎と白黒のぶちの兎の2種類である。


「私今まで見たことないなぁー、何色なの?」


 京子が言ったように、よく狩りに行く小高い山にも一角兎がいて、捕まえて帰る事はよくあった。


「黄色だよ。それに見た事ないのは仕方ないかもな」


 竹を使った、大きめの罠を作っているペドロが答えてくれた。


「「どうして?」」


 俺と京子がそろって聞いた。


「俺達だって見た事ないからさ」


「「えっ!?」」


 どういう事?、と二人して首を傾げていたところ、


「それだけ見つけにくいって言うことさ。俺達の知っている情報だと、外の仲間に守られていて、巣からあまり出ることがないらしい」


 とニコラスが言い、


「巣に必ずいると言うことでもなくて、1つの巣に4、5羽くらいいて、20羽位で1つの集団を形成していて、ここら辺は5つ位の集団らしいな」


 とペドロが補足するという、良いコンビである。

 初めて会った時の口喧嘩が嘘のようだ。


「どうやって捕まえるの?」


 京子が、素直な疑問を口にした。


「根気よく1つずつ巣の全羽捕まえて潰していくのが一番だね」


 このように、ニコラスが説明してくれた。

 それを聞いて、俺が疑問に思った事を聞く。


「それで捕まえられる確率はどれくらいあるの?」


「まぁ、3割位かな?」


 とニコラスが言うと、


「えっ!? たったそれだけ?」


 と思わず言ってしまった。


「いや、それでもかなり高い確率だぞ。その兎の価値を知っている大陸だと1割位の確率だからな。この村の人達はその事を知らないから、特別狙って捕まえたりしないだろ?、いる確率はかなり高いと思うぞ。」


 俺の言葉を聞いたペドロは、その根拠を説明してくれた。


「尻尾の色が違うだけの兎に、何でそんなに頑張るの?」


 と俺が聞くと、


「大陸ではその一角兎の事を別名、“幸運の兎”と言われているんだよ」


 とニコラスが言い、


「「幸運の兎?」」


 と京子と一緒に聞くと、


「その兎は捕まえて売るだけでも、一般の冒険者は4、5年安定して暮らせる金額が手に入るからな」


 ニヤリと笑いつつ、ペドロは言った。


「何でそんなに高いの?」


 京子が笑顔で聞くと、


「その兎は冒険者にとって高い身分の品物である“魔法の袋”の材料なんだよ」


 ニコラスが優しく答えた。


「魔法の袋?」


 俺は首を傾げつつ尋ねた。

 

「魔法の袋って言うのは、簡単に言うと小さい袋なのにその大きさ以上の物をたくさん入れられる袋の事さ」


 ペドロが手振りをしつつ、教えてくれた。

 ファンタジーの王道とも言うべき、マジックアイテムの事だと分かり、その時俺は、感動に似た感覚を受けた。

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