第5話
魔物を退治して、簡単な自己紹介をした後、二人とともに魔物から魔石等の素材を採取して、ゾンビ化しないように魔物の死骸を焼却してから、二人に色々聞いてみた。
「お二人はこの森で何をしていたんですか?」
「「…………」」
俺の質問に何故か無言の二人。
「……?」
その様子に首を傾げていると、二人の空気が悪くなってきた。
「「こいつのせいで道に迷ってた」」
二人そろって同じ事を言ってきた。
「あぁ!?」
「何だコラ!?」
遠くから見ていた時と同じく、また言い争いを始めた。
「あのー、どこに向かっていたんですか?」
長引きそうな雰囲気を感じ、俺は二人の会話に割って入った。
「えーと、カ・ン・リ・ン村ってところに向かっていたんだ」
「そしたら、こいつが道間違えてよー」
「あぁ!?」
「てめえのせいだろうが!」
また言い争う二人。
「官林村なら僕の村だよ。案内してあげようか?」
すぐに言い争うので、見た目より子供なのかと少し呆れつつ、俊輔は二人を村に連れて行って、色々大陸の事を聞こうと考えていた。
「おお! 何から何まで助かったよ坊主!」
二人を村に案内している途中数匹魔物が現れたが、俺が瞬殺したのでたいした時間も経たない内に村に着いた。
「あっ! そうだ」
「ん?」
「何だ?」
俺は二人に一つ言って置かないといけない事に気づいた。
「僕が森に入った事を黙っててくれる?」
「ああ、別に構わないけど、何でだ?」
ペドロが俺の言った事に質問を返してきた。
「危険だから両親から勝手に森に入るなって、きつく言われてるんだけど……」
「大分前から無視して入ってるようだね。」
ニコラスは、ある程度俺の言いたい事に気づいたようだ。
「うん、バレたら父ちゃんに何を言われるか……」
「なるほど、俺はさっきも言ったように別に構わないぜ」
「俺も構わないよ」
「ありがとう。ちょっと待っててね村長呼んで来るから」
そう言って二人を村の入り口で待ってもらって、俺は村長の家に向かった。
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それから村長と父ちゃんと龍兄・虎兄が、ペドロ達と話合い、ペドロ達はしばらく村に滞在する事になった。
父ちゃんと兄二人が一緒に来たのは、実は父ちゃんはこの村で一番の剣術の使い手で、兄二人も時間がある時は父ちゃんに指導を受けているため、数少ないとはいえ、村の若手の中ではかなりの実力で知られているので、念のため村長の護衛に連れて来られたようだ。
村長の家にペドロ達を招く事になり、六人と村長の家に向かって歩いていると、父ちゃんが俺に呟いた。
「俊輔……」
「ん?」
“ゴン!!”
「フギャ!」
俺が返事を返すと、いきなり頭に拳骨が落とされた。
「朝の農作業逃げた罰だ!」
脳筋のくせに覚えていやがったみたいだ。