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第40話

―――――同竜城内―――――


「美代様!」


 戦姫隊の副総長の美代のもとに、戦況が伝えられていた。


「どうした!? 桜」


「敵軍……、第2陣がもうすぐ到着する模様です」


 一瞬言葉をつまらせた後、桜は戦況の報告を行った。


「!!? 何だって……」


 桜の報告を聞いて美代は言葉を失ってしまった。

 総長である篤に、西への逃走の先導を任された美代だったが、今の状況ではとても逃げられる訳がない。


「これでは逃走どころではありませんね?」


 美代が頭のなかで、これから戦姫隊が取るべき行動を考えていた所、京子が話かけてきた。


「京子……!?」


「美代様、逃げる事は不可能です。ならばいっその事、篤様の(めい)に背いても打って出るべきではないでしょうか?」


「それはそうだが、しかし……」


 確かに京子の言う通り、篤の指示による最初の作戦は潰れたも同然、敵の第1陣は味方の八坂の軍がどうにか押さえている。

 敵の第2陣が来たら八坂の軍は数に飲み込まれる。


「私達が敵の第2陣を潰すしかありません。美代様、ご決断を!」


「…………」


 京子の言葉を聞いて、美代は思考をフル回転させる。

 美代は元々篤が見込んだ女性、戦闘能力もさることながら、最も得意なのは先を読む力である。

 今この状況で取れる最善の手を、全力で考える。


「よし! 決めた!!」


 美代はある考えが思いついた。


「京子! 桜! 皇太子様の護衛を最小限にして、戦姫隊を修練所に全員集めろ!」


「「はい!!」」






――――――――――――――――――――


 修練所に集合した戦姫隊の前に立った美代の瞳は、迷いは吹き飛び闘志に満ちた瞳に変わっていた。


「諸君! 敵の第2陣がもうすぐ到着するとの報告があった。最初の作戦はもはや潰れたと言ってもいい」


「そんな……」


「どうして……」


 美代の現在の戦況を聞いて慌てたり、うつむいたり隊員達はなった。


「狼狽えるな!! 戦場では作戦通りに行かない事だってある!!」


「しかし……」


「美代様……」


 隊員達を落ち着かせるために、美代は叱責する。


「我々がこのまま城に残っていても負けは確定だ! だから我々は打って出る!」


「「「…………」」」


美代の発言に、今までざわついていた隊員達は黙り、美代の次の言葉を待った。


「皇太子様の護衛は新人が担当、他の全隊員はこれから私と敵の第2陣を叩き潰す!」


「「「「「はいっ!」」」」」


 美代の熱気に当てられたのか、他の隊員達も今では闘志に満ち溢れた瞳に変わっていた。


「行くぞ!!」


「「「「「おうっ!」」」」」






――――――――――――――――――――


 戦闘準備を整えた美代と戦姫隊が、戦場へ向かって行動を開始しようとしたとき、皇太子の条遼(じょうりょう)が声をかけた。


「美代、行くのか?」


 皇太子の前で、片膝をついた戦姫隊の臨時総長の美代は、申し訳なさそうに発言した。


「はいっ! 敵の第2陣がすぐ到着するとなっては、我々がここにいても仕方がありません。勝手な行動をお許しください」


 美代は条遼に向かって深々と頭を下げた。


「この状況では仕方あるまい。気にするな……」


「我々が第2陣を押さえます。新人達は、皇太子様の護衛を任せます」


「朕の事は気にせず全力を尽くせ」


「寛大なお言葉ありがとうございます! 戦姫隊行くぞ!」


 皇太子に頭を下げた後、美代は戦姫隊に向かって声をあげた。


「「「「「おうっ!!」」」」」


 戦姫隊は敵の第2陣を迎え撃つ為、西門から打って出て行った。


ようやく久々京子が登場、しかしチョイ役です。

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