表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/320

第109話

アマンドの過去の話です。2回に分けて書きたいと思います。

 今から3年前の39歳の時、その時がアマンドにとって一番幸せな時だった。

 妻も子も、そして弟子のような者も存在していて、とうとう冒険者の最高ランクのSSSランクにまで昇格出来た。

 今も拠点にしているピトゴルペスの町に家を構え、家族と共に過ごしていた。


「ただいま!」


「おかえりなさい。あなた」


「おかえり。パパ」


 今日も魔物の討伐の依頼をこなし、自宅に帰って来たアマンドを妻のルスと娘のパロマが出迎えた。

 どこにでもいる幸せな家族の光景が広がっている。

 アマンドも家族もこの幸せがずっと続くようにその時は思っていた。


「師匠! 今日はもっと深い階層に行きましょうよ!」


「お前はいつもそうやって無茶をするからな……、お前はその落ち着きが無い所を直さないと俺を追い越す事など出来ないぞ! ダビド!」


 ある日、いつものように魔物の討伐を行う事にしたアマンドは、弟子のダビドと共にピトゴルペスの南東の町のギーリンに向かった。

 この町の近くの森に、つい先日新しくダンジョンが発見された為だ。

 その噂を聞いたアマンドは、ダビドを連れてダンジョン踏破に向かった。

 そしてここ数日、SSSランクの実力通りどこのパーティーよりも深い階層に進んでいた。

 アマンドとダビドの、近接戦闘が得意なだけの2人がダンジョンに向かうなど無謀も良い所である。

 しかし、そんな状況であるにも関わらず2人は今日も確実に先に進んで行ったのだった。

 

「師匠! どうやらここの奥がエリアボスの部屋みたいですね?」


「あぁ、結構深い階層まで出来たダンジョンだな? ここでもう30層くらいになるだろう?」


 アマンドの言う通り、新しいダンジョンの割には深い階層まで出来たダンジョンだ。

 ダンジョンは階層が深い程強力な魔物が蔓延るもので、このダンジョンもAランクの魔物が出現する危険なダンジョンだった。

 通常ここまでのダンジョンに成長するには、出来てから数年の月日がかかる。

 それだけの月日発見されずにいた場合ならこのランクの魔物もあり得るのだが、出来たと予想される期間から発見されるまでおよそ2ヶ月程度しか経っていないにも関わらず、ここまで深い階層にまで成長している事にアマンドは疑問を覚えたのだった。


「今日はここまで結構な時間が掛かったからな……、今日はボスの攻略は回避しよう」


「え~? 折角だからこのまま行っちゃいましょうよ!」


 その日は昨日までの27層からのマップを作成しながら進んできて、恐らく体感だが時間的には夕方に差し掛かった位の時間だろう。

 転移の魔法が使える人間など皆無のこの世界では、毎日出入り出来る訳ではない。

 比較的安全そう場所で、魔物を警戒しつつ休憩を取り、進んで行くしかない。

 しかも恐らく次はボス部屋になっている。

 休憩を取って万全の態勢で挑むべきである。


「うだうだ言わずに結界石を設置しろ!」


「う~す……!」


 若さからか気が逸りがちなダビドを一喝し、魔物除けの結界石を設置して交代で休息を取った。




「オラッ!!」


“ドゴンッ!!”


「ガアアァァーー……!!」


“ドスンッ!!”


「ハァ、ハァ……」


「ゼェ、ゼェ……」


 休憩を取った翌日、2人はボス部屋に突入し何とか倒す事に成功したのだった。

 ボスはSランク相当の地竜だった。

 魔物のランクは冒険者の4人パーティーを基本としてランク付けされている。

 Sランクの魔物なら、Sランクの4人がパーティーを組んで倒せるレベルの魔物という基準になっている。

 アマンドはSSSランクの冒険者だが、弟子のダビドはこの時Sランク、ランク的には2人共クリアしているが2人で挑むのはやはり無謀の相手だった。

 しかし、地竜が遠距離からブレス攻撃をしてくるのを躱し、ヒットアンドアウェーで少しずつダメージを与え、最後にはアマンドの強力な右ストレートが地竜の顎を打ち砕き、地竜は仰向けにひっくり返って動かなくなった。


「ハァ、ハァ、どうやらここが最下層のようだな?」


「ゼェ、ゼェ、そう、みたい、っすね?」


 2人共息を切らしているが、やはりダビドの方が消耗が激しく、途切れ途切れに返事を返した。

 アマンドが言ったように地竜が絶命をした後に扉が出現し、そこを開くとダンジョンの核となる球体が怪しい輝きを放っていた。


「さてと、さっさと帰ってルスとパロマに会いたいぜ」 


「そんな簡単に行きませんよ、師匠。ギーリンのグレミオに報告しないといけないんですから……」


 ダンジョン核を魔法の袋に収納して一言呟くアマンドに対して、ダビドは最もなことを告げたのだった。

 ダンジョンの核を取り除いたダンジョンは、魔物が出現する事が無くなり、ただの遺跡のような状態になる。

 核はグレミオに証拠として提出し、ダンジョン攻略の報酬を得る事が出来る。

 残った遺跡状態のダンジョンは、グレミオの依頼によって後ほど崩落させる事になるだろう。

 核はしばらく放置するとそこで新しくダンジョンを作成しようとするので、証拠の確認が取れた後に消滅させる事になっている。


「久々に外に出れたな? そんじゃあ、ぼちぼちギーリンに戻るか?」


「そうっすね!」


 アマンドたちはダンジョンから外に出るまでに攻略に来ていた他の冒険者に攻略を伝え、悔しがる冒険者を尻目にようやく外に出た。

 期間として2ヶ月の間ダンジョンに籠っていた為、久々の外の空気に少し浸った後、2人はギーリンに向かって歩き出した。 







「………………」


 町へと帰るアマンド達の背中を一人の男が無言で眺めていた。

 しかし、アマンド達はその視線に気付くことは無かった。

何となくまたダビドが出てきましたが、あまり深い意味はありません。

ダビドに気付いた人も、そうでない人もあまり気にしなくて構いません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【転生したので旅行ついでに異世界救っていいですか?】
ダッシュエックス文庫にて発売中です。
お買い求め頂けるとありがたいです。
よろしくお願いします!

小説家になろう 勝手にランキング

cont_access.php?citi_cont_id=167178503&s

ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ