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第105話

明けましておめでとうございます。今年最初の投稿です。今年も読んで頂けたらありがたいです。

「ふぅ~、一通り倒し終えたかな?」


 向かって来た様々な姿をしたキメラ達を殲滅した俊輔は、向かってくるキメラが居なくなった事に一息ついた。


「そ、そのようだね……」


 軽く30体近いキメラ達を息を上げる事なく倒した俊輔に、アマンドは驚きからか少し吃りつつで俊輔に答えた。


「それにしても、結構な数のキメラがいたんだな……」


 叩き殺したキメラ達の亡骸の山を眺め、俊輔はその数の多さに一言呟いた。


「これ持って帰るの?」


 その亡骸達を指さして、京子はグレミオで素材として引き取って貰うのか尋ねた。


「中には素材として使えそうなのもあるし、ここにキメラがいた証明にも持って帰った方がいいだろう」


 現れたキメラ達は強さとしてはAランク位だったが、アマンドが見た限り素材としてはそれほどの価値があるように思えなかった。

 しかし、前回冒険者達が来た時この地下を発見出来なかったので、地下発見を説明する時の為に証拠の品としてキメラ達の死骸を持ち帰る事を提案した。


「じゃあ、持ち帰りますか」


“スッ!”


 キメラを持ち帰る事にした俊輔は、死骸の山を全部魔法の袋に収納した。


「………………あれ程の量を収納出来る魔法の袋をもう持っているんだね?」


 俊輔の実力から魔法の袋を持っている事は分かっていたが、かなりの量のキメラを収納したのを見て相当良い魔法の袋を持っている事に気付いた。

 魔法の袋は高価だが、ある程度のランクの冒険者になると手に入れる事はそれ程難しい物ではない。

 しかし、それは内包出来る量が少ない低ランクの袋であった場合の話である。

 高ランクの魔法の袋をレベルの低い冒険者が持っている事を知られていると、場合によってはその袋を盗もうとする輩まで出て来る可能性がある。

 魔法の袋は購入した時に所有者しか使えないように設定するので、盗んだとしても中に入っている物を第3者が取り出す事は不可能だが、袋自体の所有者の上書き変更は可能である。

 その場合、前任者の入っていた物は誰にも取り出す事は不可能になるし、購入した時の容量の状態にリセットされる。

 つまり盗んだ側は、購入時の料金を支払う事無く高ランクの魔法の袋を手に入れ使用する事が可能になるのである。


「まぁ、これだけの実力があれば平気なのも頷けるけどね」


 高ランクの魔法の袋を所有している冒険者は、盗難防止の観点からそれ相応の実力を必要とされる。

 俊輔達は今はまだAランク冒険者なのでもしもの場合狙われる可能性があるが、このランクアップの審査に同行してからの俊輔達の実力を見る限り、盗難に対する実力は十分にある思えたのでアマンドは納得したのだった。


「先に行きましょう」


 キメラを収納した俊輔達は、先に進む事にした。






「…………何だここは!?」


「どうやらここが最終地点の様ですね?」


 地下の通路を進んで行くとひらけた場所に辿り着いた。

 その場所の光景を見てアマンドは驚きの声を上げ、俊輔は驚きつつも冷静に述べた。


「もしかしたらと言う思いはあったけれど、まさか想像通りだったなんて……」


 俊輔は先程のキメラ達を見た時からある程度は予想していた。

 それを証明するような状況がこの地下室に広がっていた。


「まさか魔族がここに居たのはこれが目的だったのか……?」


 そこには檻のような物が幾つもあり、沢山の魔物だったような生物の死骸がそこかしこに異臭を放ちながら散乱していた。

 檻の中には恐らくキメラにする為の魔物や実験途中の魔物が収容されていたのだろう、見た事もないような姿をした生物の死骸も転がっていた。

 恐らく俊輔に襲い掛かって来たキメラ達が脱出したらしい破壊された檻が幾つもあり、死骸はそのキメラ達が食したのだろう。


「……ねえ、これ見て!」


 地下施設の中の一角に書類のような物が幾つも乗った机がある事を発見した京子が、魔物の死骸を調べている俊輔達を呼び寄せた。


「…………魔族はこれを作りたかったのか?」


 キメラ達がやったのか分からないが、書類は机の下に散らばっていた。

 しかし、机の上に残っている紙に目を向けると、汚れてはいるが何かの生き物を作ろうとしていたのが読み取れた。


「これは…………龍なのか?」


 その書類には、巨大なドラゴンを作ろうとしているような図や文字が書かれていた。

 その姿は西洋的な竜と言うよりも、東洋的な龍の姿が描かれているようだった。


「こんなのが作られたら国の一つや二つあっという間に消し飛ぶぞ」


 所々汚れて読めなくなっているが、書かれている内容を読み解いたアマンドは若干顔を青ざめた。


「……でも結局失敗したみたいですよ。ここを捨てたのもそのせいじゃないですかね?」


 机の下に落ちていた書類に目を通した俊輔は、失敗の文字が書かれた大量の書類を集めてアマンドに提示した。


「…………そのようだね。これを見てひとまず安心したよ」


 俊輔が集めた大量の失敗の書類を読んだアマンドは、こわばっていた表情を和らげたのだった。


「ここにある書類も持ち帰ろう。もしかしたら魔族の目的が探れるかもしれない」


「分かりました。…………あれ? これは……」


“ズガンッ!!”

 

 アマンドに言われ、机の上の書類を魔法の袋に入れようとして手に取った時、その中の一枚を見て違和感を覚えた俊輔がアマンドに見せようとした時、部屋の最奥の場所から巨大な物音が鳴り響いたのだった。

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