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第102話

『何なんだ? このメンバーは……』


 先へと進む俊輔達の後ろから付いて行くアマンドは、先程から現れるBランクやAランクの強力な魔物を苦も無く蹴散らして行く姿に内心引いていた。

 ここ数年不穏な動きをし始めた魔族の事を調べる為、アマンドは以前アジトらしき物があった場所へ向かう事にしたのだったが、久々この危険な地に足を踏み入れたら以前よりも強力な魔物が増えていた。

 Sランクへの審査を受けられるようなパーティーなのだから、苦戦しつつも冷静に対処すれば俊輔達だけでも大丈夫だと思っていたが、あまりにもあっさりと倒して行く姿に驚きが隠せないでいた。


『特に彼は…………何なんだ?』


 特に俊輔は、森の中を進み始めてから腰に差した木刀を使うこと無く、体術のみで対処している。

 その動きだけでも相当な実力を持っている事は理解できた。


『どんな修羅場を潜ったら、その若さでそこまでの実力を手に入れられるんだ?』


 俊輔の動きからはかなり余裕が窺える。

 SSSランクの冒険者になるには、1つや2つ修羅場を潜った位ではなれるような物ではない。

 アマンドも何度か死にかける思いをして来た。

 はっきり言って、時々自分が今生きているのが奇跡に思える時もあった。

 そうしてようやくSSSランクにまでのし上がったのだが、その自分よりも若い身で、もしかしたら自分よりも強い戦闘力を有している俊輔を見ていると、何故か背中に嫌な汗が流れて来た。


「…………どうかしました? アマンドさん」


 先ほどから無言になっていたアマンドの事が気になり、俊輔が問いかけた。


「い、いや、何でもないよ。思っていた以上に出て来る魔物が強力な事に不思議に思っていたんだ」


 本心を悟られまいと、アマンドは若干言葉を詰まらせながら答えを返した。


「確かにそうですね。マエストロに聞いていた情報だと、以前魔族を追い払った時はCランクが多くて、時折Bランクが出て来る感じだと言う話だったのですが、さっきからBランクやAランクの魔物ばかり出て来ていますね……」


 俊輔とネグロからしたら同じAランクの魔物でも、無人島で強力になった変異種ばかり相手にしていたので、普通のAランク魔物は今では全く相手にならないが、Aランクの冒険者パーティーが来るにはかなり際どい相手ばかりが出てきている。

 更に、マエストロは変異種が多いと言っていたが、まだ一度も出て来ていない状況である。

 魔物を使役する事を得意とする魔族が居た時と、居なくなってからでは多少変化があるとは思っていた事だが、良くない方向に変化しているように思える。


「…………疑問に思う事はあるけど、もう少しで予定地だ。そこを調べてたら何かしらの情報が得られるかもしれない。その時また考えよう」


「はい」


 アマンドが言ったように、俊輔達の戦闘力が高かった為、予定地までの道のりは残り僅かと言った所である。

 当初の予定よりも早く着く事ができる感じだ。 


“ピタッ!”


「「「「…………」」」」


 予定地まであと少しの所だが、ある事を察知した俊輔、京子、ネグロ、アマンドは、一旦停止した。

 まだ探知の能力の低いダチョウのアスルだけが、良く分からずに止まっている感じである。


「グアァァァーーー!!」


「!? ギガンテス!?」


 Aランクの魔物の中でもSランクに近い種類の魔物、ギガンテスが俊輔達の方に向かって来た。

 しかも十体近い集団で向かって来たので、アマンドは鞘から剣を抜いて身構えた。


「ネグ!」


「ピー!」


“ズヒュン、ズヒュン、ズヒュン…………!!”


 俊輔の頭の上に乗っているネグロが、俊輔の合図を受けた瞬間、向かってくるギガンテスに向かってレーザー光線の魔法を連射した。

 その魔法によって、俊輔たちに向かってきていたギガンテス全てが避ける間もなく心臓や頭に穴を開け、糸が切れた人形のように崩れ落ちて倒れ伏した。


「さぁ、先を進みましょう」


「……………………」


 数が数だけに、場合によっては逃亡も視野に入れていたのだったが、ネグロの魔法によってあっさり仕留める事に成功した俊輔は、当然の事だというように先へと進んで行った。

 あまりにもあっさりとし過ぎて、アマンドは言葉が出ないでいる状態だった。


“ガサッ!”


「おぉ、ようやく着いたみたいだな!?」


 茂みの草をかき分けると、幾つかの小屋が立ち並んだ場所に辿り着いた。

 小屋から少し離れた場所に、一つの屋敷のような建物が立っていた。

 此処こそが俊輔達が探していた魔族のアジトである。


「中を調べてみよう」


「はい!」


 アマンドの指示により、俊輔たちは屋敷の中を探し回った。

 少しの間調べていると、行き止まりになっている廊下の一部がスイッチになっているのを発見し、スイッチを押すと地下へと向かう階段が出現したのだった。

 その階段は結構な大きさで、一番体の大きいアスルも余裕で通れるほどの大きさだ。


「……良く見付けたな。以前冒険者たちがきた時は気付かなかったようだ」


 アマンドは、マエストロのフィトから預かっていたこの屋敷の地図を見るが、そこには地下への階段があるなどとは書いていなかった。

 魔族を追い払う事が優先された為だろうか、それほど細かく調査しなかったのだろう。


「ここからは地図はない。気を付けて進もう!」


「分かりました!」


 地図にない階段を覗き込むと、冒険者の長年の勘なのだろうか、アマンドは嫌な予感がして俊輔たちに注意を促したのだった。

 それを素直に受けた俊輔達は、警戒しつつ階段を降りて行ったのだった。


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