閑話 前世の親友 みっきゅん視点
親友を亡くした人は、どれだけいるのだろう。
少女漫画や刑事ドラマ、よく「恋人」や「婚約者」が事件に巻き込まれたり、事故で亡くなったりしてるけど……。
親友を亡くしたものもあるけど……。
BL愛好仲間である親友を亡くした物語なんて見たことがない。
だから、私……。
これからどうしたらいいのか分からないよ。
大好きだったBL同人誌……。
はるる(璃々亜の前世、戸川芭琉の呼び方)がいなくなってからは、押し入れの奥に入れた。
入りきらなかったものには、タオルケットをかぶせた。
見たくない。
見ると、はるるのことを思い出して……涙しか出てこなくて……。
「私が死んだら、やばいもの全部引き取って処分してね!」
なんて笑いながら話をしていた。
まさか、そんな時が来るなんて思いもしなかったから「もちろんだよ!全部もらってあげるよ!かなりかぶってるけどねぇ」
って笑って言い合っていた。
約束というほど、しっかりしたものじゃなかったけど……。
だけど、守ったよ?
はるるの部屋に行って、やばそうなものは全部持ってきたよ……。
ねぇ、はるる……。
まさか、はるるはこうなることを感じていたの?
家族に「何かあったら荷物の整理はみっきゅんに頼んでおくから」って伝えてあったなんて……。「借りているものが多いから、勝手に処分しないでね!」って言ってあったなんて……。
「はるるぅ……」
一緒に、イベントへ行った帰りに、事故で無くなるなんて……。
お誕生日おめでとうって……。
何歳まで一緒にイベント行くんだろうねぇって話をしてたじゃない。
あああ……。
はるるのパソコンのデータ……。家族にパソコンを渡す前にちゃんと、やばいフォルダおブックマークも壁紙も消しておいたよ……。
消す前に、メモリースティックに入れたから……。
私が、はるるのデータっていう記憶……持っていてもいいよね?
はるるが……私にも内緒にして小説書いてたなんて知らなかったよ。
読んじゃった。
ねぇ、途中になっているこの小説……、私が続き書いてもいいかな?
最初で最後の合作……。
はるる……。
私たち、読み専で、同人誌を作ったことはなかったよね。
でもいつか一度くらいは趣味全開の同人誌作れたらいいねって話をしてたね。
売るんじゃなくて、無料配布で、同じ趣味の人にもらってもらえたらいいねって。おすすめカップリングランキングとか、漫画でも小説でもなくて、ひたすらBLについて語る同人誌でもいいよねって……。
はるる、いつになるかわからないけど、作るよ。
はるると私の合同誌。
はるるのBL愛をいっぱい詰め込んだ合同誌を作るから。
……。だけど、今は、ただただ悲しくて。
ごめんね。
寂しいよ。
BLが見れないよ。
アニメを見ても、今日の作画神だ!ってはるると話ができないんだよ……。
ゲームも、オンライン一人で上がらないとだめなんだよ?
そんなの……どうしても、できない。
ああ、はるる。
私、次にイベントへ行くのがいつになるのかもわからないよ。
新しくイベント友達作るなんて……無理だから……。
だって、高1で出会って、人生の半分はずっとはるると一緒だったんだよ……。
ああ、もう、心がぐちゃぐちゃ。何言ってるんだろう。
辛いよ。
悲しいよ。
寂しいよ。
漫画でも小説でもドラマでも映画でも、なんでもいいよ。
一緒に同人してた親友を亡くしたら、その後、どうやってオタク活動したらいいの?
何を見ても辛いんだ。
……。
はるるの残したパソコンデータの一つを開く。
小説じゃない、これは、ベストカップルランキングだ……。
はるるの心……。
はるるの記憶……。
作ろう。
同人誌を。
はるるの記憶が風化しないうちに。
はるるを本にして残そう。はるるが好きなカップリング、なぜ好きなのか、死ぬほど聞かされたから覚えてる。萌えるシチュエーションも、覚えてるよ。それを、書き留めて……。
はるるの小説の続きも完成させて……。
そして、同人誌ができたら……。
イベントに参加してみよう。今度はサークルとして。
サークル名は「はるみっきゅん」
はるると、みっきゅんで、「はるみっきゅん」……。




