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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第92話 バナナ大福と苺大福はどちらもおいしいらしい

「ここまでは車?迎えの車はどこに来るの?」

「最寄の駅から、電車に乗ってきました。駅からはタクシーを使って帰る予定ですわ」

「じゃぁ、駅まで送るよ」

 はい?送るって、もしかして、私を?

 あ、あ、アレなの?


 京「都キャプテン、家まで送っていきます」

 都「ん?どうしたんだ?」

 京「足、痛めたんですよね?乗ってください」

 都「自転車?どうしたんだ、これ?」

 京「借りました。いいから、乗ってください」


 っていう、アレ?

 ……てか、私、足怪我したりしてないけど?

「大丈夫」

 なんだけど?

「大丈夫?」

 田中くんの声。あ、しまった。また脳内の言葉が口から漏れた。

 え、へへへ。とりあえず笑ってみる。

 田中くんが、ハッとして口を抑える。

「大丈夫だよな……そうだよな。ここまで来たんだから、駅まで迷うわけないよな……」

「もしかして、私は迷子になると思われていたのですか?」

 まぁ、普通は「一般常識テストがぼろぼろ」な学校の生徒が、一人で電車に乗って知る人ぞ知るような洋菓子店に行けるなんて思わないよね……。

 みっきゅんの家に通っていた記憶があるから、迷わずにすんでるけど、確かにこのあたりは似たような家が立ち並ぶ住宅街だから、迷いそうといえば迷いそうだ。

「ごめん。その……、馬鹿にするとか、そんなつもりじゃなくて……」

 焦って頭をかく田中くん。

「妹さんをどこかへ送っていくときの癖がでた出たのですよね?」

 面倒見がいいなぁ。

「あ、ああ、いや、ははは……」

 微妙な顔を浮かべる田中くん。


「じゃぁ、行こうか……駅」

「え?」

 体の向きを変えて、駅のほうへ3歩ほど足を進める田中くん。

「送っていただかなくても、本当に大丈夫ですよ?」

 振り返る田中くんは、にっこり笑った。

「疑ってるわけじゃないよ。駅向こうの饅頭屋へ行こうと思ってさ」

 駅向こうの饅頭屋といえば、蓬莱軒かな?バナナ大福がおいしいんだよねぇ。


 二人で並んで歩き出した。

 田中くんの方が、私より背が15センチくらい高い。当然、歩幅も違うはずなんだけど、私は全然早足になることなく歩くことができる。

 いつも妹さんと一緒に歩いてるからなのかな?ちゃんと合わせてくれるんだよね。

 すごいなぁ。お兄ちゃんなんだなぁ。

 感心して田中くんの顔を見上げる。

「ん?何?」

「えへへ。田中くんは、お兄ちゃんなんだなぁと思いまして」

「うわ、それって、生徒会長と比較されてる?」

 田中くんが、顔をしかめる。

「噂では、白川のお兄さんって、勉強も運動も性格もよくて、家柄も人望もあるすごい人でしょ?」

「お兄様はそんな風に噂されてるのですねぇ」

 うすうす、すごい人なんじゃないかって思ってはいたけど、世間の評判もおおむねその通りなんだ。

 ついでに、都キャプテンそっくりのイケボって事実も付け足しておきましょう。

 あと……。

「シスコン」

 なんだよねぇ。


「シスコン?」

 あっ、しまったぁ!また脳内漏れた。

 兄よ、すまぬ。不名誉な称号をばらしてしまったよ!田中くん、噂を広めないでね!

「シスコンかぁ……そりゃ、ちょっと大変だなぁ」

 そうなんです、大変なんです。

 シアタールームに行こうとしても、ついて来るし!アニメが見たい!一人にしてくれっ!

 あっと。兄の不名誉を加速させちゃだめだよね。

「大変なときもありますが、大切にしてくださって感謝しておりますわ」

 フォロー大事!

「はぁー、たっかい壁だなぁ……」

 はい?

 壁?

 田中くんがため息をつきました。

 まぁ、兄は身長185センチくらいあるから確かに高いですが。


「じゃぁ、気をつけて帰れよ」

 駅でお別れ。

 あれ?

 田中くん、確か駅向こうの饅頭屋に行くって言ってたよね?

 今来た道を戻ろうとする田中くん。何で?

 あ、もしかして……。

 慌てて出てきたから、財布を忘れちゃったとか?

 そうだよ、2分待っててって、言われて、本当に2分で戻ってきたもん。

「田中くんっ!」

 数メートル先の田中くんを呼び止める。

「2分待ってて!」

「え?」

「あ、ごめん。2分じゃ無理だ。えーっと、5~10分くらい待ってて?」

 急げ、急げ。

 運動部田中くんみたいに速く走れないけど、前世の私よりはずいぶん速く走れる。

 だって、アラサーじゃなくて、女子高生だからね!若いって体が軽い!


「お待たせ、いたし、ました」

 はーはー、ぜーぜー。

 どれくらい時間たったかな。頑張ったよ。

「大丈夫か?」

 息が乱れる私を田中くんが心配してくれた。

「ふー。田中くんみたいには、できませんわね」

 えへっと笑って、紙袋を田中くんに差し出す。

「はいどうぞ。お財布忘れたのですよね?取りに帰るのも大変でしょうから」

 田中くんが驚いた顔をして、紙袋と私の顔を往復して見る。

「え、あ、ああ……」

 言葉に詰まる田中くん。

「ふあっ、ご、ごめんなさい。勝手に一番人気のバナナ大福を買ってしまったんですが……。好みもございますよね?もしかして、別の物を買おうとしていらっしゃったとか……。私ったら……」

 つい、田中くんの「2分待ってて」をまねしたかったからって……。

 っていうか、何でまねしたくなったんだろう。

 ……。

 だって、かっこよかったんだもん。なんか、理由も言わずことを済ませるみたいなのが。


「そういや、饅頭屋に用があるって言ったっけ……。ごめんじゃないや、ありがとう。立花もバナナ大福大好物なんだ。えっと、お金は、今度」

「結構ですわ」

 勝手に買ったのに、お金を要求するとか、そこまで鬼畜じゃないよぅ。

 もう少し相手の好みをちゃんと知らないとね。

 田中くんは、和菓子では何が好きなんだろう?ちょっとすっぱい苺大福の方が好きなのかな?

「いや、でも……。じゃぁ、何かお礼を」

 お礼?

 これを恩に着せるつもりはない。

 ないけど……。


 誘惑には勝てない私を許して!

「では、またラーメン食べに連れて行ってください」


いつもありがとうございます。


璃々亜、無自覚で「ほれてまうやろー!」って行動してますねぇ・・・。

田中くんは、もちろん自覚ありで、いろいろ行動してますよ。

ってか、なんだか、まともな恋愛小説みたい。

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