第91話 ハンバーガー一つ選ぶのも真剣らしい
芽維たんと「サトコのパイ屋」へ向かって歩きながら、気が付いた。
お昼ごはんに近い時間だと。
というわけで、お茶はやめて、ランチを一緒に食べて、「サトコのパイ屋」でイートインはやめることにした。
「何を食べる?って、私、あんまりお店知らないんだよねぇ……引っ越してきたばかりで」
うふ。
じゃぁ、私の方が詳しいかもね。みっきゅんと何箇所か行ったもん。
居酒屋のふなんて、お酒に会う美味しい料理がいっぱいあるけど……。居酒屋は駄目だな。
あとお勧めといえば……。かわいい雑貨屋あるんだよね。シャルパンティーの雑貨屋。って、雑貨も関係ないや。
せっかくだから、ジャンクフード、ジャンクフード。
みっきゅんの家の近くのジャンクフードといえば……。
「ハンバーガーでいい?……璃々亜さんの口には合わないかもしれないけど……」
そう、ロッテリアン!
「構いませんわ!」
むしろ、ばっちこーい!
よくぞ、提案してくれた!
流石に私から、ハンバーガーが食べたいとか、ロッテリアンがあるからそこ行こうとか言えないもんねぇ。
うふふ。うふふ。ロッテリアン。あ、こっちの世界だとちょこっと名前違う。
おお、新作バーガーがある!
「えっとね、これがハンバーガーでね、セットで頼むと少しお得になるの」
うんうん。知ってるよ。
最近はポテトとジュースのセットだけじゃないよね。いろんなパターンでセットできるよね!
心の中でちゃんと返事してるよ!
何にしようかなぁ。
しばらく食べられないかもしれないから、ここはめいっぱい堪能しなくちゃなの!
ああ、これもいい。あれもいい。
「私のお勧めはね、エビバーガー。おいしいよぉ。さくさくで熱々でぷりぷりなの」
うんうん。知ってる。私も好き!
あと、しゃきしゃきだよね!一緒に挟んであるキャベツの千切りが!
と、ちゃんと返事してるからね!
やぁん。目移りしちゃう~。
よし、ポテトは捨てよう。
ポテトも食べたいけど、ポテトなら夕食とかでハンバーグに添えてもらうとかなんか食べられそうだし。
てなわけで、エビバーガーとチーズバーガーとコーラを注文しました。
いつも通りに食べてたら「ふふふ。食べ方上手ですね」って芽維たんに褒められた!
あ、しまった。本当にいつも通り食べちゃった。お嬢様っぽく「手でたべるのですか?」とか「こんな大きな口はあけられませんわ」とかやったほうがよかったかな?
だが言おう。
そんな余裕があると思われて?
目の前に、念願のジャンクフード。
よだれを垂らさなかっただけ褒めてもらいたい!
芽維たんも、迷ってたけど、結局テリヤキバーガーセットにした。
ふふ。ポテトを3本もらいました。
芽維たんに感謝!
色々お話してたら、2時間経ってた。うふっ。友達っぽいよね!
で、芽維たんも時間があるということなので、二人でぶらぶらとすることになったよ。
「前から気になってたんですけど、一人では入りづらくて……」
と、芽維たんが言う店は、シャルパンティーの雑貨屋だった。
まぁ、そうだね。お店の名前が、雑貨屋なのか下着屋なのか分かりにくいもん。まぁ、下着も売ってる雑貨屋が正解なんだけどね!
雑貨屋で1時間。そのあとサトコのパイ屋で1時間。気づけばすっかり夕方。
「ああ、そうだわ!蜂川さんっ……。4時に約束していたんだったわ……」
時計は4時を少し過ぎている。うわー、心配しているかなぁ。
「蜂川さん?」
「ええ。運転手さんなの。**駅に迎えを4時に頼んでいたのを忘れていましたわ」
慌ててスマホを取り出し、蜂川さんにメール。
『友達と話が弾んでしまい、連絡が遅くなってごめんなさい。もう少し遅くなりそうですので、タクシーを使って帰ります』
「ごめんねぇ。つい楽しくて長話しちゃったね……」
と、芽維たんが眉尻を下げる。
「いいえ、私のほうこそ、とても楽しゅうございましたわ。また、ぜひご一緒させてください」
「うん。そうだ、今度は皐月さんも誘おう!」
「ええ、そうですわね!」
話をしながら歩いて、芽維たんの家の前までくる。
みっきゅんを思い出して少し胸がきゅっとなる。
「駅まで送っていこうか?」
という芽維たんの申し出を断って、家の前で別れる。
芽維たんの家から少し行った公園の四つ角を曲がって駅に向かう。
「白川ー、今帰りか?」
ん?
首にかけたタオルで顔の汗を拭きながら田中くんが、公園から出てきた。
「ええ。田中くんは何を?」
「ああ、素振り」
田中くんが、右手のバットを持ち上げて見せた。
「練習熱心ですのね」
「と、ちょっと2分くらい待っててくれる?」
?
「え、ええ」
2分待つ?
田中くんは、ダッシュで公園から芽維たんの家とは違う方向へとかけていった。
早!
足速いなぁ。流石運動部!
2分待つとどうなるんだろう?カップラーメンが出来上がるには少し早いな。2分。
2分っていえば……思いつかないなぁ。
などと考えている間に、田中くんが戻ってきた。
「お待たせ。バット家に置いてきた」
?
「素振りの途中だったのでは?」
「終わったから大丈夫。送るよ」
え?送る?
送りバントでもする気?
ありがとうございます。
またまた田中くんターンでーす。
芽維たんターンはかなりはしょっちゃいました。




