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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第83話 部活ではお菓子作りの基本から練習するらしい

 初めての部活。

 制服の上から割烹着を着て、頭には三角巾を巻く。あ、これ、新入部員へのお祝いで、プレゼントされました。

 薄桃色で、布端にレースがあしらわれていて、さらに三角の頂点の場所に、布より濃い目のピンクの糸で名前が刺繍されている。

 何を作るのかなぁ?

 やっぱり、初心者のお菓子作りと言えば……クッキーかな?

 前世で作っていたクッキーは、バターの変わりにマーガリンを使っていた。きっと、ここでは本物のバターだよね。


「はい、では一年生の皆さんには、お菓子作りの基本である、」

 指導の先生は、40代の女性だった。しゅっと細身。なんとかの大会で金賞も受賞したことがある、有名なパティシエということだ。

 ごめん、大会の名前を聞いても、それがどの当たりですごいのか全然わかんないや。

 で、先生は、調理台の前に並ぶ新入部員を前に、泡だて器を手にした。

「メレンゲ作りを練習しよう」

 ん?

 メレンゲ作りの練習?


 大きなボウルに卵を割りいれて。

 私たちの他の新入部員は6人。私たちを入れて8人。

 8人のうち、白身と卵黄をすっと分けてボールに入れたのは、芽維たんともう一人。

 卵を割るのは上手に出来たけれど、白身と卵黄を分けるのに、少しだけ時間がかかったのが、私ともう一人。

 あとの4人は、卵が上手く割れず、黄身がつぶれたり、ぐしゃりとからごとつぶしたりと……。


 カシャカシャカチャカシャ。

 4人は卵を割る練習から始めるようです。

 私たちは、先にあわ立てる練習。

 カシャカシャカシャカシャ。

 ……。腕が辛い。

「角度はこうです、スナップをきかせて、こう動かします」

 はひ。

 10分ほどで一人の生徒があわ立て終了。

「優秀ですね。できも素晴らしい」

「ありがとうございます。うちは洋菓子店を経営しているので、将来のために小さなころからお菓子を作っていますから。今日は憧れの椎名先生に指導していただけるということで、楽しみで昨日は眠れませんでした」

 うお、サラブレッドがいた。


 うわーん、腕が痛い。あわ立たないよぉ。

「ボウルをさかさまにしてもメレンゲが落ちてこないのが出来上がりの目安です」

 全然だめだ。

 電動のハンドミキサーじゃだめなの?

 前世はいつもそれだったよ?ういーん、ぐいーん、はいできあがり!って便利だったよ?


 先生いわく、熟練の者は、ハンドミキサーよりきめが細かいメレンゲができるそうだ。焼き上がりのしっとり感が違うらしい。そして、手であわ立てて出来上がりの感覚を身につけておけば、ハンドミキサーで泡立てすぎてり離水を起こさなくなるらしい。

 また、メレンゲではなく生クリームにおいても、慣れれば手であわ立てたときとハンドミキサーを使ったときと時間も1分変わるか変わらないかになる。手であわ立てたときの生クリームの方がふんわり仕上がるそうだ。


 ……。熟練の者って……。

 あの、先生、部活でお菓子を作るのに、熟練は必要ですか?


「はい、では家でも練習してくださいね」


 ノォーーーーーッ!


 部活初日が終わりました。

 とぼとぼと、芽維たんと並んで、昇降口まで行く。

「どうだった、初日は?」

 田中くんが、大きなバッグを背負って立っていた。

「あの、おいしくないかもしれないけど……」

 紙袋を一つ手渡す。

「うわー、おいしそうな匂い。本当にもらってもいいの?ありがとう」

 にかっと嬉しそうに笑う田中。

「食べていい?」

 と、言いながら紙袋を開く。

 中身は、私があわ立てたシフォンケーキだ。

 ……。私が、あわ立てたのです。作ったのは、先生です。

「うまい!」

 大きな口で、がぶっと食べる田中くん。

 えへへっ。

 正直、シフォンケーキとしては、あわ立て部足でふくらみが足りなくてとても成功したとはいえないんだけど……。

「ありがとう」

 あんまりおいしそうに食べてくれるものだから、今度は、もっとちゃんと膨らんだシフォンケーキを食べてもらいたいなぁ。

 あわ立ての練習、家でも頑張ろう。

 うん、がんばろう。

「これは立花ちゃんの分だからね!田中くん、食べちゃだめだよ!」

 念押しをしながら、芽維たんも田中くんに紙袋を渡している。

 並んで歩く二人の背中を見ていたら、なんだかきゅーっと、心が締め付けられた。


 仲良く帰る姿がうらやましいのかな……。

 だって、二人は家が同じ方向なんだし……。私は別の方向……。

 寂しくないよ……。

 ううん、寂しいな。


 嘉久に学校では他人って言ったけど……。学校で幼馴染で友達だって公表したら、一緒に帰ったりできて寂しくなくなるのかな?


 ……。

 スマホを取り出し、兄にメール。

「部活終わりました。車で待っています。璃々亜」


 そうそう、私には兄がいました。一緒に帰るんだから、寂しくなんかないもん。


あけましておめでとうございます。

旧年中は、この作品を読んでくださりありがとうございました。

今年も頑張りますので、応援よろしくお願いいたします。


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