第72話 会社経営の話になったらしい
「嘉久様、今度1年生歓迎会でネズニーランドへ行くことは覚えておいでですか?」
「何?ネズニーランドで紹介してくれるのか?わかった。どこで落ち合う?」
芽維たんは紹介しませんっ。
「いえ、ネズニーランドの清掃スタッフの優秀さは有名ですよ?せっかくの機会なんですから、お茶会部員でその清掃技術をよく見て学んではいかがかと……」
まぁ、ネズニーの清掃方法を真似して清掃活動とか、ちょっと異質だけどねぇ。
「ああ、なるほど。すべては学びだな。璃々亜の考えることは奥が深い」
え?深くもなんともないですよ?お兄様。
「璃々亜、本は持ってないのか?そのネズニーの掃除の仕方みたいな。予習をしていったほうがいいと思うんだ!」
……。アホの子ですか。
あ、すいません。勉強熱心ですね……。
私、人生で掃除の本なんて一回も見たことないわ。前世も含めて。
「学園も清掃員がいらっしゃるのですから、その方々にお話を伺ってはいかがですか?」
っていうか、学校の掃除くらいしろ!小学生だってするぞ!
そんでもって、宿題忘れたりするとトイレ掃除とかさせられるんだぞ。
うん、忘れなくても順番に回ってくるけどね。
「トイレ掃除」
おっと、食事中にトイレとか、失礼いたしました。
「すごいな、璃々亜」
兄が、褒めてくれた。えええ、食事中にトイレ発言のどこに褒める要素が!
「松下幸之助氏の有名な話があるじゃないか、嘉久。企業の業績の良し悪しを知るには、トイレを見れば分かると」
何、それ?
「ああ、そうか!凡事徹底の精神ってやつだな!」
ぼんじてってい?はい?
「掃除を極めれば、経営も上手くいく。将来経営者となりうる人間には清掃活動はうってつけの修行だ」
あ、社会奉仕が修行って言葉になってる。
なんか、違う。
「よし、早速研修プログラムを立てなければ」
「嘉久、私も協力しよう。凡事徹底、松下幸之助氏や鍵山秀三郎氏など偉大な経営者の精神を学ぶことは我々にとってとても有意義なことだ」
経営?
はて?
どうしてそうなった?
なんだか知らないが、意気投合した二人は、食事を終えると兄の部屋へと二人で入っていった。
え?
京様ボイスと都キャプテンボイスの持ち主が、部屋で二人きり?
ちょ、やだ、どんな会話するの?
思わずドアに、コップをくっつけて聞き耳立てたくなったけど、メイドさんの目があるので抑える。
あー、メイドさんさえいなければ……。
食後、私はのんびりお茶をいただいてから、部屋に戻った。
心を落ち着かせないといけないからね。
で、宿題やって、風呂も入って。兄の部屋の前を通ると、まだぼそぼそと話し声が聞こえる。コップ、コップを私に!
……。あ、うん。我慢。
「そうだ!」
今なら兄は嘉久とここにいるわけでしょ?ってことは……。
「シアタールームへ行こう!」
やった。アニメ、アニメ、アニメ、アニメ、アニメ!
はふはふはふはふ。
興奮して今にでもシアタールームに突撃したい気持ちをぐっと抑える。
湯冷めするといけないので、部屋に戻って髪の毛を乾かして、ガウンみたいなの羽織って、いざ行かん!我が聖地、シアタールームへ!
シアタールームは地下にある。人感センサーがあるのか、スイッチを押さなくても明かりがともるのはありがたい。
でもって、チャンネルは、大きな画面の前にあるソファテーブルの上にきちんとそろえられてた。
ん?どれが、どのチャンネル?
えーっと、エアコン、テレビ、DVD、HDレコーダー、簡易DVDリモコンまではなんとなく。それから、初めて見る、衛星放送用のリモコンに、ケーブルテレビ用のリモコン。どれも、ボタン多いなぁ。
まぁいい。とりあえず、テレビ、テレビ。
ぽちっとな。
時計の針は、9時ちょっと前。何かのバラエティが終わったところで、CMタイムだ。
CMに出てくる企業名は、聞いたことがある前世のものとどこも微妙に違う。
『モンスタ、モンスターズスターライト』
うおおお、ゲーム、ゲーム、ゲームのCMだ!
モンスタかぁ。懐かしい。ああ、もちろん、前世では違う名前だったけど、CMに映っているゲーム画面見ると、私が知っている前世のゲームと同じようなゲームなんだよね?色がかなりポップになってるけど。それは大人の事情だよね。うんうん。
ううっ。
思わず、涙が流れた。
よかった。こっちの世界にも、ゲームあるんだ。同じようなゲームが……。私の好きなBLゲームだって、きっと同じようにあるよね?今はまだ近づくことができないけど……。
一人暮らしをするようになったら、きっと、必ず会いに行くからね!待っててね、私のBLゲーム!
それから、前世との違いを知るために、CMを見続けた。
特に、前世には無かったような不思議なCMは無い。よし、まぁ、一般常識的なことは、何とかなりそう?
微妙に名前が違う部分はいい間違えたとかなんとかでごまかしつつ……。有名どころだけは抑えておかなくちゃね。
CMに出ている芸能人の顔は、知らない顔ばかりだった。まぁ、大人の事情で言えば、全員に肖像権みたいなのあるからそりゃ使えないよねぇ。
特にジャニーグのタレントなんて、ネットで写真すら使えないんだもん。たとえ主演ドラマの公式サイトですら……。そりゃぁ、ゲーム内で勝手に使ったら大変なことになるもんなぁ。
芸能界は全部人が違うと。じゃぁ、前世と同じ人間はこの世界にはいないってことでいいのかなぁ?
……。
私みたいに、前世の記憶持ちとかはどうなんだろう?いるのかな?
おっと、考え込むのは今じゃない。
テレビ、テレビ、テレビ、
9時から何がやるんだろう?
番組表に画面を切り替える。
番組タイトルのいくつかは、前世で知っている番組名と似たものだった。
「この番組好きだったんだよね」
と、チャンネルを切り替える。
って、違う違う、アニメだよ、アニメ!バラエティー番組も見たいけど、それよりも、BLネタ元、エネルギー補給!
流石に夜9時に、地上波ではアニメの放送はない。
番組表、番組用。ケーブルテレビの番組表というか、番組表の本を手に取る。
えーっと、どうやってみるの?
目次、目次、あった。
チャンネル一覧。ほうほう、ドラマチャンネル、時代劇チャンネル、あー、色々ある。アニメは?あった。
番組表、番組表。
ぱらぱらとページをめくり、アニメチャンネルの番組表を開く。
「ポケノン、プリチュア、ガンダメカンタービレ」
ん?ポケノンはあれだよね?プリチュアはあれでしょ?ガンダメカンタービレって何?あっち?それともそっち?
「ああ、璃々亜、ここにいたのか」
はうっ!
慌てて番組表を閉じる。
「お、お兄様……」
タイムアウト。涙。
いつもありがとうございます。
璃々亜、一歩前進で、ゲームやアニメとニアミスです!もうすぐきっと出会えるよ?BL関係とはまだ先だけどね!
璃々亜の脳内駄々漏れがまた思わぬ方向へ。




