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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第70話 兄と嘉久はケーキが食べたいらしい

 箸を入れると、すっと崩れることなく、綺麗に切れる大根。絶妙な柔らかさだ。

 そこに、少し甘い特製の肉味噌をつけて口に運ぶ。

 はじめは、肉味噌の甘辛い味が舌を刺激し、その後に噛んだ大根から昆布の風味の汁がじゅわっと広がる。

「で、結局璃々亜は、何部に入るんだ?」

 肉味噌と昆布の味が口の中で混ざり合い柔らかな大根を包み込む。おいしい。

 次の一口、これは慌ててはいけない。なんせ、熱々の大根だ。慌てて食べるとはふはふしても口の中が大変なことになる。

 慌てずゆっくりと、次の大根を一口大にして、肉味噌を絡める。

 ふーふーとしたいところだが、マナーとしてしてよいのか分からないので我慢。


 そういえば……。京様と、都キャプテンが練習帰りにたこ焼き買って帰るシーンがあったなぁ。はふはふ言いながら京様がたこ焼き食べるんだけど、同人誌では、京様「あつっ」って、一度口に入れたたこ焼きを出しちゃって。「ばかだな。気をつけないと」って、都キャプテンが京様の持っている爪楊枝の先に刺さったたこ焼きに顔を近づけて、ふーふーってしてあげるんだ。ふふふ。腐。

 おっと、そろそろ、大根大丈夫ですよね。

 ぱくん。ふはー、おいしい。

「まさか、まだ部活を決めてないのか?なんなら、その、お茶会部に入ってもいいんだぞ?」

 次は、少しさめるまで別の料理を楽しみましょう。

 何にしようかな。

「璃々亜、聞いてる?」

 もうっ、相変わらずゆっくり食べさそうって気はないのか、嘉久め!

「お茶がどうかいたしましたか?」

 まだ大根二口しか食べてないから、お茶はいらないけど?

「お茶じゃない。お茶会部!璃々亜が入る部が決まってないなら」

「ああ、部活でしたら、今日、入部届けを出してきましたわ」

 お友達と一緒にね!

 私、ボッチじゃないから!


「何部に入ったんだ?まだ、報告がない。どこの部が報告を怠っているんだ」

 兄がイラだちを見せる。

 え?入部届けが出されたら、生徒会にいちいち報告がいるの?締め切り後にまとめて報告じゃ駄目なんだ。めんどくさいルールだね。

 もしかして、まだ部活を決めていない生徒を勧誘するとかなんか裏事情でもあるのかな?

「お菓子部に入りましたわ」

「「お菓子部?」」

 嘉久と兄が同時に声を上げる。

「お茶会部と部室が隣同士だな!」

 嬉しそうな顔をする嘉久。

 いや、隣でも、ずっと他人のふりだからな?声を掛けるなよ!

「東か……」

 兄が、苦々しい口調でつぶやく。

 

 ふええええっ!

 兄がぁ!

 都キャプテンボイスで、東くんを呼び捨てた。しかも、忌々しそうに。

 や、やだぁ!京様に手を出す東を憎憎しく思ってるんでしょう!あああ、なんて素敵な出来事!

「よりによって東のいるお菓子部か……」

 うんうん。

 都キャプテン、京様が東くんと近づくのがいやなのね?そうなの。

 ぐふふふっ。脳内録音。「東か」「よりによって東か」おっと、脳内編集もしちゃいました。


「敦也兄、東副会長と仲悪いのか?」

 こらー、京様、天然か!

 お前をめぐって、都キャプテンは東くんを敵対視してるんだぞ!ああ、でも、この天然発言もいい!脳内録音完了!腐。

「仲が悪いってんじゃないけど、あいつは狸だからな。弱みを握られると厄介だ」

「弱み?敦也兄の弱みって何?」

 そんなもん、京様に決まってるじゃないですか!何を聞いてるんですか!しかも、答えられるわけないじゃないですか!腐。

 兄が、私に視線を向けた。

 ん?もしや、璃々亜は兄の弱みを知っている?

 だが、あいにくと、記憶がない。ちぇっ。

「まぁとにかく、嘉久も東には弱みを握られないように気をつけることだな。それさえなければ、有能な頼れる副会長だから、安心しろ」

 兄は自分お弱みには一切触れず、話を締めくくった。

「璃々亜も、部活で何か困ったことがあれば、東に相談すればいい。信用はできるからな」

 兄が信用できると言うなんて、かなり優秀なんですねぇ。


「だが、どうしてお菓子部を選んだんだ?」

 そりゃ、ケーキ食べ放題!お土産付き!

 ……あ、いや。そんなこと言えるわけもなく……。

「お菓子を作ってみたかったのですわ」

 兄と嘉久の目がギランと光る。

「作って、どうするのだ?」

 嘉久よ、作って食べるに決まってるじゃないか!

「作ったら、一人では食べきれないよね?」

 兄、それは暗に食べ過ぎて太るなといっておるのか!

 その問題はすでに解決済みなんですよ。

 田中くんに差し入れるからさ。

「食べきれない分は引き取っていただけるので、大丈夫ですわ」

「は?誰だ、誰にあげるつもりなんだ?」

 兄の顔が青ざめる。

「まさか、か、か、か、かれ、かれ、彼氏とかじゃ……」

 嘉久が酷く動揺している。

 まぁそうだろうな。同じボッチ出身で、私だけ、友達作ったうえに彼氏まで作っちゃったら、焦るだろうよ。悔しいだろうよ。

「いいえ、彼氏ではございませんわ。運動部の方が、練習後おなかが空くから食べてくださるのですわ」

「う、運動部……。敦也兄、やっぱり生徒会は手伝えないかもしれない!まだ間に合うから、明日運動部にも入部届け出すことにする!

「いや、むしろ、すぐにでも生徒会長の座をゆずってやろう。遠慮するな、運動部は私に任せなさい」

 

 兄も嘉久も、ケーキがそんなに食べたかったとは……。知らなかった……。

 他の女性徒からいっぱいもらえるだろうと思っていたけど、そうでもないのかな?

 副会長の章子様は、作ったお菓子をどうしてるんだろう?生徒会に差し入れたりしないのかな?

「お兄様と嘉久様の分はちゃんと持って帰ってきますね」

 上手く出来たときは、自慢してみよう。うん、そうしよう。


お読みいただきありがとうございます。

料理名が出てきませんが、ふろふきだいこんです。

なんで、味のしみただいこんってあんなにおいしいんでしょうね!

それにしても、田中くんはいつか刺されると思うの。

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