第63話 嘉久はお茶会部に入るらしい
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません
時々入れておく必要があるようでございます。
「お茶会部に入ろうかと思う」
は?
夕食の席につくと、嘉久が驚くようなことを言い出した。
「確か、誘われているけど、入る気がないようなことをおっしゃっていませんでしたか?」
嘉久は、確かにそうだがと言って、スマホを取り出した。何やら操作したあと、差し出す。
うっ、これは……。
皐月たんの書いた記事を引用した、どこかのまとめサイト。うわー、この記事、すでに拡散してるんだ……。
「お茶を飲んで雑談するだけの部だと誤解していた。これだけ活動理念がしっかりしているなら、入る価値があると思い直したのだ」
「活動、理念、ですか?」
そんなの、あったのかな?お茶会部に……。
渡されたスマホの皐月たんの記事を読み返しても……、早朝清掃始めるよってあるだけ。その活動は半ば無理やり押し付けただけだし。
おっと、押し付けたなんて言葉が悪い。えーっと、活動を提案して、受け入れてもらった。そう、そう。受け入れて……。
受け?
入れる?
はうっ。こんな普通の単語にすら、BL妄想発動しそうになった。
璃々亜、恐ろしい子!
……いえ、私です。恐ろしいのは。
「We Serve!」
突然、嘉久が英語を叫んで拳を突き上げた。
何?
「ははは、昔から嘉久はライオンズクラゲにあこがれてたもんなぁ」
ふえ?そうなの?
「We Serve!我々は奉仕する!」
再び嘉久が拳を突き上げる。
熱いな。
「社会に出たら、すぐにでも入会する!今は学生だから耐えている」
そうか。ライオンズクラゲにあこがれる同士を見つけた喜びの表現か。あの拳を突き上げてるのは。
あれ?でも……。
確か、芽維さんは……。
「子供でも、ライオンズクラゲ入会できますよね?友達が家族会員だと……」
「何?璃々亜の友達が、ライオンズクラゲの会員だって?本当か!」
目が輝いています!
嘉久のヒロインラブフラグが立ったのか?
うおおおーーーー、しまった。いや、別にいいんだけど、めんどくさい。
だって、芽維たん、兄に興味があるみたいなのに、嘉久がアプローチし始めるとか、三角関係なわけでしょ?
それに巻き込まれるのって……。めんどくさいの五文字しかないじゃないか!
……あ、6文字だ。
「嘉久様も、家族会員にしてもらえばよろしいのではなくて?」
そうそう、さっさと望みをかなえて満足すりゃいいじゃないか。
「うちは、代々ローリタークラブの会員なんだ……」
ん?ライオンズクラゲとローリタークラブって、似たようなもんでしょ?正直違いなんて知らないよ。
「ローリタークラブの活動理念は、I Serve……」
嘉久が肩を落としている。
I Serve?
嘉久があこがれるのは We Serve……。
なるほど。「I(私)」はボッチだ。「We(私たち)」は一人じゃない。
ボッチの皇帝らしい憧れだ。
そうだよね。社会人になって、奉仕活動する団体でもボッチなんてやってらんないよねぇ。
ちょっと涙が……。
「ライオンズクラゲを理想としているとは、なんとすばらしい部なのだろうか」
嘉久が、運ばれてきた夕食を食べながらも話続ける。
「そうだ。例会と呼ばれる、食事を取りながらの会が、お茶会部のあの、お茶を飲む時間に当たるわけだな。雑談ではなく、あれは異業種間(親)の情報交換や、活動内容の相談だったわけだ」
あー、そうなのかな?
……。
「早朝清掃の他には、どんな活動があるのだろう!1年から色々と提案しても大丈夫だろうか」
「よかったな、嘉久。本物のライオンズクラゲに入会前に、高校の部活で似たような活動ができて」
兄が笑っている。
「だけど、敦也兄も、そんなすばらしい部があるなんて知っていたら教えてくれてもよかったのにっ。ずっとライオンズクラゲに憧れてたの、知ってただろう?」
うわー、うわー、京様ボイスで拗ねてらっしゃる。
兄は、それを聞いて微笑。
「1年だからと遠慮することはない。剣崎に何でも相談すればいい」
えー、都キャプテンってば、東くんに塩を送るような発言しっちゃってるわ!いったいどういうこと?
おっと、違う違う。現実に戻れ、私!
「そうか。だったら、まずは大規模清掃会の企画と、献血促進運動だな!」
兄はにやりと笑う。
「璃々亜は入部資格がなくてよかったな。あの調子じゃぁ、非常に大変な部になりそうだ」
そうですね。寝る間も惜しんで株をするほどの集中力がある男ですから……。
「ところで、嘉久、部活動内容の報告や許可申請など、生徒会につながりがあったほうが活動に有利だと思うぞ」
兄が、黒い笑みを浮かべてる。
「今は剣崎が繋ぎ役だが、6月の選挙後はどうなるか分からない。今のうちに、生徒会の仕事を手伝って、6月の選挙で生徒会に入った方がいいんじゃないか?」
兄の言葉に、嘉久はご飯の最後の一口を飲み込み、考えるように目を閉じた。
「学校の外へ出て活動するなら必ず生徒会への報告と許可が必要となる。また、他の生徒へ働きかける活動もだ。部活の予算はすでに決まっているが、生徒会には追加予算枠があり、部活からの要請で追加予算を動かす権利もあるぞ?」
嘉久が目を開く。
「敦也兄、生徒会の仕事を手伝うよ!」
「じゅぁ、明日からよろしく」
うお、嘉久……、それ、兄に踊らされてますよ?
兄も、食事を終えると、お茶を口にしながら嬉しそうに微笑んだ。
「これで、部活をする時間が取れそうだ♪」
おや?そんなに映像部の活動がしたかったのですね。
そうですよね。あんなにフランス映画好きなんですから……。後輩が撮影しているのがうらやましかったんですよね?
生徒会長も大変だなぁ。嘉久、頑張ってお兄様の部活の時間を作ってあげてくださいね。
それから、お茶会部でバンバン社会奉仕活動して、KHTでキングの座を得るためにポイント稼ぎもお願いします。私の破滅フラグ回避のために!
「で、璃々亜は、何部に決めたんだ?」
兄がにこにこ顔で、続ける。
「今日はバスケ部のマネージャーに決めたのか?それとも、他の運動部のマネージャーか?」
ご覧いただきありがとうございます!
まさかの、嘉久お茶会部へ・・・・。
どうなるお茶会部!
がんばれお茶会部!




