第55話 King High School tournamentというののがあるらしい
「我が校は日本の学校の模範となるべき存在である。それゆえ、一つの提案をしようと思う」
も、模範っ。すごっ。日本の学校の模範とか……。
どんな設定の学校なの?金持ちが集まるっていうだけじゃないの?
ちょー、ゲームの設定資料プリーズ!
「こちらの資料を見て欲しい」
ウィーンと巨大なスクリーンが下りてきて、グラフや表が映し出された。
兄は、挿し棒を使って、説明を始める。
「このように、生ゴミを1トン処理するために、運搬や焼却により、約2トンもの二酸化炭素が排出される」
えー、ゴミの量の倍も?
「次の数字は、我が校から出る生ゴミの量。1日に約500キロ。2日で1トンにもなる」
げー、すごい量だな。トンなんて単位じゃ、さっぱり分からないよ。
「恥ずべきことに、これは日本人の平均的なゴミの量を上回っている。つまり、二酸化炭素の排出量が多いということだ。それは、地球温暖化を招くだけではない。二酸化炭素排出量削減目標を掲げて頑張っている日本の、経済界産業界の努力を踏みにじる行為と言えよう」
そうだなぁ。いくら政府ががんばって二酸化炭素削減しようって頑張ったって、国民が協力しないんじゃ実現は難しいよねぇ。
「つまり、模範となるべき我々は、逆に恥ずべき存在となっていたのだ」
兄の言葉に、講堂は静まり返っている。
「この不名誉な事実を挽回するには、ゴミを削減し、二酸化炭素排出量を減らす必要があると、生徒会は結論付けました」
兄、何かかっこいいな。キリッとしてる。
出来る営業マンみたいだ。
「そこで、一つ目に提案したい改革は、昼食です。食べ残しを減らし、生ゴミの量を減らしたいと思います。具体的には、GW明けを目安に、すべての学食出店店舗に新メニューへの切り替えをお願いします。調査したところ、現在食べきれないほどの量のメニューが半数ちかくありました」
あ、もしかして兄が言ってるのって、あの高級弁当とかのことだよね?
「平均的な高校生が食べる昼食の量で料理を提供してもらうようにお願いします。また、ライスやパンなど、小盛りや大盛りなど臨機応変に量を調整できる工夫も店側にはしてもらおうと思っています」
うん、それがいいよ。運動部の高校生男子なんて、減ったら足りない困る!とか思ってそうだし。せっかく食べ残ししないように改善しても、別のほうからクレームがあって戻しはめになったらどうしようもないもんね。
大盛りの他に、特盛りとか、メガ盛りがあってもいいかもしれない。
「そして、優秀なる生徒諸君にお願いししたいのは、なるべく食べ残さないこと、その一言に尽きる。どうしても残ってしまうものは仕方がない。しかし、明らかに食べきれないであろう量を注文することはしないでほしい。具体的には、注文した品の2割以上を食べ残した場合はペナルティをと考えている」
ペナルティ?そ、そこまでする?
「ペナルティは1週間の食堂の利用禁止になる予定だ。反省が無く繰り返す場合は、卒業まで一切の食堂利用を禁止する」
あー、その程度か。
別にお弁当でもパンでも食べるもの持ってくれば問題ないよね。むしろ、コンビニでおにぎり2つとお茶1本とかなら、ずいぶん節約もできる。
ところが、兄の発言に、講堂内はかならいざわついた。
「嘘だろ……」「食堂が使えなくなったら、昼食はどうしたらいいんだ」「何を食べればいいんですの?」「困るよ、困る」
って、だから、弁当持ってくればいいじゃんっ。
ちゃんと通学通勤時間に合わせて、パン屋さんだって開いてるんだから、美味しい惣菜パン買ってくりゃいいじゃんっ。
コンビニで弁当でも買ってくりゃいいじゃんっ大げさだな!
「ここまで厳しくするには理由がある」
え?厳しい?兄まで、何言ってんの。私のついでにお弁当用意してもらえば済むじゃん。
ふあっ、まさか、私と違って、お弁当を自分でつくらないといけない子が居るってこと?そ、それは大変だ!
私も、毎朝自分でお弁当を作れといわれたら……。
おんや?璃々亜の体内時計で5時半には目が覚めちゃう生活だし、余裕だわ。
まぁでも、そんな子ばかりじゃないよね?夜中までオンラインゲームして、寝るのが1時2時なんて生活してたら5時半起きなんて無理でしょうし。
……。
オンラインゲームをするだけして、早起きができないとか……。爆発すればいいのに!
おっと。黒璃々亜になってしまった。だって、だって、私……。ゲームゥ!朝起きられないくらい夜中までどころか、3日くらい徹夜でゲームしたいよぉ!今なら、若返った今なら3日ぐらい徹夜できると思うの!
あ、よい子はまねしちゃだめだよ!キラッ☆
スクリーンに映し出されていたスライドが切り替わる。
スクリーンには王冠のイラストを背景に「King High School tournament」と書かれている。
「我が校は昨年度までこの10年間、日本一の高校を決めるKing High School tournament、通称KHTにおいて優勝、つまりキングの座を勝ち取ってきた」
うお?日本一の高校?キングハイスクールトーナメント?な、何だそれ、初めて聞いたよ。ゲーム内設定?
「1年生の中には、知らない者もいるかと思うので説明しよう。国内の高校が、すばらしさを競い合う大会だ。昨年までの評価のポイントはここにある通りだ」
スクリーンは次の画面に切り替わっている。
えーっと何々、
知……生徒の平均偏差値により加点
体……運動部を中心とし、大会成績で加点
技……文化部を中心とし、大会成績で加点
美……校則遵守の割合で加点
「我が校の平均偏差値は残念ながら80位とさほど高くは無い」
80位って高くないの?全国の高校が何校くらいあるか知らないけど、確か高校野球って4000校近く出場するんだよね?
野球部の無い高校もあるだろうから、高校の総数で言えば、4000より多いってことで。その中で80位なら、かなり頭のよい学校ってことじゃないの?
「だが、運動部が、全国大会優勝3、全国大会出場12、さらに世界大会優勝1。文化部が、お菓子コンクールで世界大会3位をはじめ、総理大臣賞3、全国優勝6、入賞24など、非常に活躍してくれた」
ぐおおおっ、だてに、部室とかめちゃくちゃ立派なだけはある!
っていうか、どの部も高レベルの活動してるってこと?
も、もしかして、美術部が、実は萌えイラスト隠してるなんてそんな話はないの?
そ、それともその評価対象に「なんとか漫画コンクール優秀賞」とかも含んでもらえるの?
「そして、美に関しては、我が校の生徒は制服着用の乱れもなく、立ち振る舞いが洗練されていると非常に評価は高い」
制服着用の乱れ?
ああ、確かに。タイを緩めてたり、スカートの丈を短くしてみたり、変な靴下はいてることないもんなぁ。
靴のかかとを踏んで、ズボンのすそを引きずってるのも見たことないし、茶髪も居なければ、ピアスとかない。もちろん、茶色っぽい色の髪の人もいるけど、地毛にしかみえない。ハーフ顔だったりするしね。
そっか。美っていうのは、別に顔の醜悪じゃないんだなぁ。きちんとしているというのが美しさの一つの基準になるんだ。
「ただし、毎年女性徒の化粧については賛否がわかれ、減点となっているが、校則で禁止していないため仕方がないと思っている」
あ、髪を染めるのは駄目でも、化粧はおっけなの。
……まぁ、璃々亜も中学のころから化粧ばっちり派みたいだし……。お嬢様の世界は謎に満ちてる。
真面目そうな皐月さんだって、さらっとメイクしてるしね。
私はと言えば、必要があれば化粧するけどさぁ、高校に通うのに化粧って必要?……ってなわけで、段々と手を入れる箇所が少なくなっております。夏休みになるころは、眉書いてリップぬって終わりって感じになりそうです。汗かくのにファンデとかいらない。高校生なんてまだ肌ぴっちぴちなのに!
芽維たんはスッピンだよぉ。ちょっぴり唇にグロスをつけてるくらい。そんでももうかわいいんだ!
「今年度も、先輩方の栄えある功績に続いて、ぜひともキングの座を勝ち取りたいと思う」
兄の主張に、「日本の高校の頂点に!」と誰かが声を上げると「おおー!」と会場が一致団結。盛り上がっている。
「我々がキングだー!」「そうよ!私たちが日本の頂点なのよ!」という声……。
芽維たんぽっかーん。
皐月たんメモメモメモメモ。
この、盛り上がる会場に、兄の水をさす一言があった。
「だが、正直なところキングの座を守るのは容易なことではないと考えている」
しーん。
うん、擬態語のしーんって言葉がよく似合う状態だね。
「KHT運営委員会から通達が届いた。今年度より、新しい評価基準が加わると」
そういって、スクリーンに新しい評価基準が映し出される。
あら、本当。これ、この学校の生徒にゃ加点は難しいわ。
いつもありがとうございます。
突然出てきた
キングハイスクールトーナメントですが……。ダサい名前。でも、でも、この名前考えるのにすんごく時間がかかっちゃったんだよぅ。
かっこいい名前がまったく思いつかなかったんだよぅ。
で、でも、コメディだから、これくらいべたな名前でもいっか!←開き直り
更新時間は、遅くとも16時までに設定してあります。あいかわらず、ばらつきはございますが、16時以降でしたら、更新済みになっておりますです。




