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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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閑話 それぞれの貨幣価値

「相原さん、高校生活にはもう慣れました?」

「ええ、相良さん。……最初はとても不安でしたが、彼女のおかげで」

 相良さんの言葉に、思わず顔が笑ってします。

 私もそうだから。

「私もです。白川様のおかげで、学校が毎日楽しいんです」

「分かります。不安が解消されただけではないんですよね。楽しいんです」

「2000円でお出かけ案を考えてみるというのもとても新鮮でした」

「そうですわね。私達のレベルでは、とてもお小遣いが少なくてと思っていましたが……」

「ええ、ええ。まさにそうですわね。皆さま20万はお小遣いをもらっていらっしゃいますもの。中には200万という方も。ですから、月2万しかお小遣いがないというと、皆様に驚かれましたわね」

「それでは、洋服も買えませんわと言われたこともありましたわ」

「確かにありました」

 中学何年生のときだったか……。

 なんでお小遣い2万円しかくれないの?と、親にそれとなく言ってみたこともあった。

 ……2万円じゃぁ、友達と一緒に出掛けてられないと涙が出たこともあった。

 でも、白川様が2000円で出かけることを考えてみようと言ってからは、2万円はとても大金だということに気が付いた。

 2万円もあったら、本当に色々なことができる。

 お茶も飲めるし、洋服も買える。映画も見られるし、本も買える。それから……。

「ねぇ、この間一緒に食べにいった1000円のパスタランチおいしかったですわね」

「ふふ、私も、今それを考えていたところですわ。中学の時に食べた5000円のパスタランチよりもずっとおいしかったです」

 そうなのだ。

 おいしいものも食べられる。

 中学のころは、食事と言えば、「皆さま、こちら有名な〇〇様がおすすめになっているお店ですのよ。予約が取れないのですが、私が特別にとっていただきましたの」

 だの、「ミシュラソで☆を取った店で修業を積んだシェフが新しく出したお店ですわよ」

 だの……。誰か名の有る人のお墨付きがある店ばかり。確かに、どの店もまずくはなかったけれど、それでも中学生の口にはちょっと合わない店もあった。

 お酒に合う料理が売りの店なんて、ちょっと料理の味付けが濃くて食べにくかった。

「ねぇ、相原さん、今度この店に行ってみませんか?」

 相良さんが、スマホの画面をこちらに向ける。

 今は、雑誌に紹介されたとか、芸能人誰々がお忍びで通うとか、そんなことで店を選ぶことはなくなった。

「あら、口コミで評判がずいぶん高いですね。それなのに、ランチは800円ですか!グラタンおいしそうですわ」

 ネットにつなげば、たくさんのグルメサイトがある。

 場所と食べ物のジャンルや予算などから、たくさんの店を探すことができる。

 お店には、名もない普通の人がたくさんレビューを書いている。今はそれを見てお店を決めている。

 大人の店じゃなくて、高校生の私たちがおいしいと思える店。両親からいただいた大切なおこずかい。

 2万円だって、実は平均的な中高生のお小遣いでは多い方だと知った。

 それでも少なく感じたのは、使い方が悪かったから。

 ケチるんじゃないんです。

 お金の使い方を考えて大切に使うことは、お金を活かすことなんですと、白川様はおっしゃいました。

 ただ、一つ分からないのは……。

 1000円すぐに好きなように使い道を考えなさいと言われたら、白川様はどうなさいますか?と尋ねたとき

「ビーエ……」

 とおっしゃったこと。

 何を言おうとしていらっしゃったのかしら?

 その後、すぐにハッとした表情をして、「本を買いますわ」と言っていました。

 本……。

 もしかして「ビーエ……」なんとかという有名な作家さんがいらっしゃって、「ビーエなんとかさんの本」と言おうとしたのかしら?

 言葉を途中でとめてしまったのは、そのビーエなんとかさんを私が知らないと思って、私に恥をかかせないための心遣い?

 私も本が好き。読書好きで、文芸部にまで所属しているのに知らなかったらと……。

 なんて、白川様は心が優しくて気遣いのできる方なのでしょう!


いつもありがとうございます。

2万は大金だよー。でも今の子たちは、スマホ代込みとかにしちゃうと1万じゃ足りないのかしらね……。


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