第422話 君の字名はらしい
「ん?璃々亜、今、何か言ったか?」
ぐおっ。言ってもうた。やばいですよ。……えっと、えっと、
「あ、あ、アニメで、最近、その、話題の……」
あああ。兄め!発言をごまかそうとして、うっかりアニメとか言ってしまうとか、何たる失態。
こういう小さな物事の積み重ねで、オタクバレしちゃうんだよっ!
や、ば、い、で、す……。
とかなんとか思ったら。
「ああ、もしかして、君の字名は?って映画のことかい?」
ぐお!
兄がアニメの話に乗ってきた。
っていうか、君の字名は?ってアニメって、確か、興行収入がいっぱいな一般受けもしてる映画だっけ?
むしろ、なんていうか、わたくしにとっては、あんまり興味をひかれない映画だったりする。
……男女のまっとうな恋愛だろう?
……いや、想像の余地がないじゃないか。
「フランスでも評価が高いと聞いたよ」
あ、そうですか。
兄にとって、映像作品といえば、フランス基準なんですね。
ぶれない。
ぶれないが、言わせてもらおう。
それは、映画としての純粋な評価ではないと。
フランスには、私のなっかーまがいっぱいいてな。
つまりはオタク人口が多くてな。
だから、アニメ映画なので、フランスでの評価がな、アニメファンによって押し上げられているっていう……。
……。とは、思っても口にしない。
「そうなんですわね」
「今度一緒に見に行くか?」
ほふ?
兄と一緒に映画?
アニメ映画?
……うーん、どうしようかな。アニメはアニメでも、前世の私ならスルーしてた種類だよなぁ。でも、今の私はアニメに飢えてるわけだし。
スルー案件も見に行くチャンスがあるなら言った方がいいんじゃないかな。
ほら、推しキャラと同じ声優さんが声を当ててたりするかもしれないし。声だけでも十分妄想のはかどるのが璃々亜たる私のアイデンティティですし。……って、意味わからん。
「ええ、ぜひ」
にこっとな。
っていうことがあったのだよ。
で、なんの話だっけ?
そうそう、テレビとゲームと漫画と小説となんかそういうのがないと、人は健康的な生活が送れる。
……だが、健康よりも欲望だ。
もちろん健康も大事だが、心の健康も大事なんだよっ!心に栄養必要!心が病むと体もやむんだぜ!
気が付けば、教室には次々とクラスメートが登校してきた。
「ゴールデンウィークはいかが過ごされましたか?」
っていう話題がばんばん飛んでいる。
「お土産ですわ」
と、いろいろなものががんがん行き来している。
ま、メインは海外旅行でもってして、海外土産だったりするあたり、鳳凰学園らしいといえばらしい。
私はどこどこへ行ったのですわって、海外のどこへ行ったのか自慢する人もいっぱいいるけど、金持ちがほとんどのこの学校では、それほど鼻につかないのね。だって、そこは素晴らしかったですわ。私ももう一度行きたいと思っていますわって、自慢が自慢じゃなくて、単なる話のネタふりになってたりするからね。
はたで聞いていると面白いよ。
えーっと。
でもって、学校が始まれば、日常が戻るかというと、そうじゃなかったりするんだよね……。
今日は……。
「では、はじめ!」
先生の合図で、紙をめくる音が教室に響く。
いや、響くほどの大きな音じゃないけど、響くようにカサカサって聞こえるんだよ。
そうです。
模試があったのです。
全国模試……。
……。
なんか、兄とか嘉久とかも必死に勉強しているところを見ないものだから、うっかりと、忘れちゃいよね。
……私?忘れませんよ。ちゃんと毎朝勉強を……って、朝だけかい!って突っ込みを入れねばならぬか。
だって仕方ないじゃない。GWは、いろいろとありすぎたんだもん。
……。
てな言い訳を頭の中でしながら問題を解いていく。
あー、やっぱりだ。
現役の高校生のころに比べて、国語がめっちゃわかる。
歴史もめっちゃわかる。地理だって、そこそこ旅行行ったり行った人の話聞いたり、アニメや漫画の聖地を調べたりとかして、知識増えてるおかげでわかる。
政治だって、大人になると選挙だとかなんだとか多少は身近になるからね。
……って、前世の世界と同じかどうかわからないから、こっち世界もあっちと同じだろうって前提ですが……。
でもって、この時期の高校の模試は、1年だと中学範囲。
そんで、璃々亜になったばかりのころに比べて、なんだかんだと1カ月毎日早朝勉強していたおかげなのかなんなのか。
空欄なく試験が終えられるとか!
時間が余って見直す時間があるとか!
ご覧いただきありがとうございます。
模試の予定って、GW明けであってましたっけ?←!




