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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第385話 恥じるらしい

「じゃぁ、そろそろ行こうか」

 まさかの、断食日なのかと打ち振るえていたら、兄がダイニングに現れた。

 行く?

 もしかして、食べ物のにおいがしなかったのって、今日は、外食日?

 なんだ、そうならそうと、言っておいてくれればいいのに。

 外食。外食。今日のメニューはなんだろうな?

 玄関を出ます。

 ん?車がないよ?蜂川さんの車がないということは、徒歩で行ける店? 

 ……店じゃなくて、嘉久の家でした。

 そういえば、白川家のシェフがお休みとかそういうときは嘉久の家で食べることもあるんだったっけ?

「いらっしゃいませ、白川様。どうぞ、お上がりください」

 と、お手伝いさんに居間に通される。

 居間には、3人~5人の大きな掛けソファがコの字に置かれている。調度品はどれも立派そうだ。

 アンティークっぽい。が、そこにひときわ目を引く新しい物が。

 テーブルの上に乗っていた、ぴかぴか輝いている、いや、輝いて見えるそれを、思わず無意識に手のとる。

 間違いない、これは、新しい。

「ああ、敦也兄、璃々亜、はやかった……あっ!」

 あ?

 嘉久が姿を現したかと思うと、私の手から漫画を奪い取った。

 ちょっ!

 何で、そんなに必死に奪い取るのだっ!

 あ、もしかして、このまま私が無意識に漫画を読み始めて、いらぬ妄想を口にだして兄に不審がられないように、かばってくれた?

 なわけあるかーーーーい!

 嘉久が私のオタクなこと把握してるわけないじゃん。弟じゃあるまいし。

「どうしたんだ嘉久?」

 兄が、まるで日記を見つかった乙女か、エロ本が見つかった中学生かっていう焦りようの嘉久を不審がって尋ねる。

「いや、ほ、ほら、チケットの有用性を調べたときの、その、漫画が出しっぱなしになってたから」

 ……。

 う、そ、を、つ、け!

 私は見たんだ。

 おまえの手にある「まっくろのおと」は、チケットの件を調べている時には発売されていなかった再新刊だろう!

 尺八演奏する高校生たちの物語だ。あのチケット調べのとき、私は読んだんだぞ。

 主人公の純真なキャラに、腹黒い天才といわれる先駆者。友達がほしいけど素直になれないライバルなど、なんていうか……。

 ちょっと、二次創作にいいんじゃないの?そもそも、題材が尺八とか、なんていうか、ストレートすぎる同人誌が量産されそうだけど、でも、腐妄想がはかどるようなキャラクター陣。

 きっと、だれかが作ってるよね?

 何で、私はいままでこの作品知らなかったんだろうって思って、おくづけチェックしたんだよね。そうしたら、1巻が出て間もなかった。ああ、これから

ちょこちょこ薄い本が出るタイミングなんだ。そうかと思ったんだよ。 

 つまりな、嘉久、お前がいま手にしているその2巻は、間違いなく、すんごく最近出たやつだろう?5月1日とかそのあたりに出たやつだろう?

 チケットのことについて調べてるのが終わってから買った品だろう?

 なぁ、それって、どういうことだ?

 続きが気になったから買ったと、そういうことでいいんだろ?

 そこまではいい。

 続きが気になる漫画を買う、しかも健全な少年漫画、ふつうのことだ。

 めっちゃふつうのことだ。

 保存用不況用と々本を何冊も買わなければふつうだ。

 だが、それなのに、なんで、焦って隠そうとする?

 そこがわからない。 

 ……はっ!

 ま、まさか……。

 2巻には、胸デカヒロインのぱんちらお色気シーンとか、ラッキースケベシーンとかそういうのが含まれているのか?!

 ……いや、もしそうだったとしても、しょせんは少年漫画のレベルなんだし、高校生が読んだって別に平気だろう?

 え?

 まさか、平気じゃないの?

 漫画に免疫がないから、少年漫画のその程度のやつでも「うわ、やっべ、やっべ」みたいな?

 ……、……、さ、さすがに、そこまで、純情高校生とかじゃ、ない、よね?

 だとすると、あんなに焦って言い訳めいたこと言ったのは、理由は一つじゃない?

 漫画を読んでいることを知られたくない。

 ……。

 漫画を読んでいることを知られたくないのはなぜ?

 恥ずかしいから?

 なんで恥ずかしいの?

 漫画なんて子供が読むものだって思っているから?

 それはないよね?だって、最近は少年漫画に加えて青年誌も増えてるし。もちろんエロいやつじゃくって、大人が読むやつ。

 ほら、自信のないピッチャーが主人公の「大きく振りしゃぶって」とか。

 あ、違う、違う、それ、同人誌のタイトルだよっ、えーっと、待って、あんまり私の琴線に触れなかった作品だから、タイトルなんだったかな。

 と、とにかく、青年誌って、大人が読む漫画とかもいっぱいあるし。今時「漫画は子供の物」高校生になっても読むなんて恥ずかしいなんて概念なんてないと思うんだけど。

 だとすると、何が恥ずかしいの?

 漫画は低俗な物だと思っているとか?

 高尚な文学のみが文化財だとでも?

 ……ラノベなんて小説じゃない、漫画読む人間は馬鹿ばかりだって……そう思ってるの?

 だから、つい、漫画を読んでしまった自分は恥ずかしいことで、隠したいってこと?

 だとしたら、嘉久……。

 漫画大好きな人間と敵対するということでよろしいか?

 それは、私を……敵に回すということだよ?

 幼馴染でも容赦しない。

 ボッチが可愛そうって同情もなしだ。

 漫画を愛する人間として、漫画を馬鹿にする人間を許すわけにはいかない!


いつもありがとうございます。

うっひゃー、嘉久が、嘉久が、敵認定されちゃったよ( ゜Д゜)

どどど、どうなる、どうなる……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] えー、きっと、嘉久の家は広いから、漫画部屋ができていると思うな。私の友人がそうだった。広めのマンションだけど、一部屋まるまるだからね。 璃々亜にとっては、天国に見えると思うけど。
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