第47話 7階には宝の山があるらしい
3階。
婦人服売り場。
うん、色々見て回ったけど。色々進められたけど。
変装っぽくならない。
だって、いつもとおんなじような服着たって変装じゃないもんね。だめだ。いっそ、男装とか、別の学校の制服とか、それくらいしないと駄目かもしれない。
……。男装……。髪の毛がネックだよ!短髪ウィッグもかぶれないんだからさ!
別の学校の制服か……。どこで売ってるんだろう?
勝手に別の学校の制服着ても大丈夫だっけ?学歴詐称とか、何か問題になったりしないかな?
よもや、攻略対象が別の高校の学生で、その人と出会って何らかのフラグが立つなんて、そんな思いもよらないことになったりしないよね?
……。
や、やめとこう。
……架空の高校の制服ならいいかな?
売ってたよね。
「バスケの王子様」に出てくる高校の制服。
……って、男子校だっつの!
……。買って、お兄様と嘉久に来てもらう?いや、声はそっくりだけど、容姿は別だしなぁ。
容姿が似てるといえば、剣崎徹だ。剣崎徹の制服姿を思い浮かべる。
東君!バスケの王子様の東君の完璧なコスプレができあがる!ひゃほーい!
早速、制服買ってくる!
……って、この世界に「バスケの王子様」があるかどうかもわかんないのに、そのコスプレグッズの制服を買いに行こうとした私が馬鹿でした。
そもそも、コスプレがどこで売っているのかも知らない。
4階。
婦人服売り場、パート2!和服もあるよ!
5階。
紳士服売り場。
エレベーターのボタンを案内係は押さずに、そのままスルー。
まぁ、確かに、プレゼントでも買わない限り、私には関係ないと思うよねぇ。
6階。
宝石売り場。
変装には関係ないのでスルー。
店の前には、店員さんがずらっと横一列に並んでいてお迎え状態でしたので、前を通らないように道をそれた。
私を待っているわけじゃないよね?
寝具売り場。
家具売り場。
インテリア売り場。
雑貨売り場。
ペット用品売り場。
続いて7階。
眼鏡売り場。
変装といえば眼鏡だよね!
って、剣崎徹には見破られたけど。もう少し、イメージの変わる眼鏡があれば……。
はうっ!
あ、あれは、まさか……。
次の瞬間、私はめがねのことなどすっかり忘れて、楽園へと吸い込まれるように足を進めた。
本……。
本屋だ!
アイラブ本屋!
きゃほーいっ!
入り口から入り、奥に見えるコミック売り場まで足早に足を進める。
来たー!漫画、漫画、漫画、漫画、漫画。
私のかわいい漫画ちゃんたち!待たせたわね!
うふふっ。あははっ。
「本日はどのような本をお探しですか?」
コミックコーナーまであと2メートルという場所で、掛けられた声に正気を取り戻した。
案内係が付いてたよ。
いや、たとえ案内係が付いていなくても、どうやら私の個人情報はこの百貨店にはだだもれだ。
「あの白川のお嬢様が、漫画を見ていらっしゃったわ」
「監視カメラに移っている白川様がBL漫画を手にとっていたのよ!嘘じゃないわ!」
「私も見たわ。縦ロールじゃなかったけれど、あれは確かに白川様でした。BL小説を一抱え買って帰っていったのです」
……。
だめだ。買うどころか、手にとって見ることすら危険だ。
ぐあああっ!
宝の山を目の前に、むざむざと撤退せざるを得ないというのか!
ぐああああっ。
ひょ、表紙だけ見てもいいかな?通路だけ通ってもいい?
ああ、だめだ。私、心の声が駄々漏れしちゃうもん。
あんなのやそんなの見ちゃったら何かとんでもないこと言い出しそうだ。我慢、我慢。
ぐぐっ。せめて、漫画の匂いだけ堪能させて!くんか、くんか。
うん、雑誌にはない漫画の匂い。
目の前に料理の本が並んでいたので、これを目当てでここに来たといわんばかりに、色々見ました。
もちろん、意識は本にはなく、わずかスーメートル先のコミックコーナーに飛んでいましたけど。
流石に、散々本を物色して買わないのもなんなので、初心者向けの料理本を買いました。
「塩を一つまみ」とは、親指と人差し指と中指でつまむ。小さじ四分の一程度の量。
「塩を少々」とは、親指と人差し指でつまむ。小さじ八分の一程度の量。
と、初心者に優しい写真付きの丁寧な解説がしてあります。「ひたひた」「かぶるくらい」も分かりやすいです。
知っているようで実ははっきり違いが分からなかった部分を確認したあとは、皐月たんにあげようと思います。料理したそうだったので。
いつもありがとうございます。
いつまで、欲望を璃々亜が抑えられるのか!
次回、あの男が久しぶりに登場!




