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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第367話 人形はお迎えするものらしい

「いつ渡すつもりだ?」

「お母様の誕生日か……何か記念日にでもと……」

 何日か知らないけどね。

 他の記念日とか何があるかも知らないけどね。

「ああ、そうか。来月は母上の誕生日だったな。しかし、それまで人形はどこに置いておくつもりだい?」

 ……。

 人形だけに、箱に入れるのは閉じ込めているみたいでなんだか気が引けるなぁ。クローゼットの中とかも……。

 やっぱり、飾っておいてあげたいけど……。

 過去の自分っぽい人形と毎日部屋で対面するのも辛い。

 ボッチの女帝といつも一緒みたいなの……。逆に、ボッチ感が増すよなぁ……。

「私は、寂しくはありませんは。だって、璃々ちゃん(人形)がいつもいてくださいますもの」

 とか、人形に語り掛けるとか……。

 うわー、寂しい。ボッチの極みだ!

 やだやだ。部屋に置くのはなんだか、辛い。

「やはり、私の部屋に」

 と兄が言えば、

「いや、高円寺家で責任を持って預かっておこう」

 と嘉久が対抗する。

 はー。どんだけ人形欲しがってるわけ?

 こりゃ早く、嘉久と兄に似た人形を探さないと。

「お、お、お嬢様……、スーパードルミィー……人形を……お迎えしたのですか?」

 上ずった声がかけられる。

 振り返れば、目をキラキラと輝かせている早間さん。

 あー、早間さん、こういうゴスロリ服な人形、好きなんだ……。

 っていうか、スーパーなに?人形の名前?

「私に、似ているでしょう?お母様にプレゼントしようかと思って……でも、お母様の誕生日までどこに置けばよいのか、迷っていたのです」

 困ったわと首を傾げれば、早間さんが張り切って口を開いた。

「お任せくださいませ!私、少しばかり人形の扱いには慣れておりますので……。奥様のお誕生まで、責任を持ってお預かりさせていただきますわ!」

「いや、俺が」

「私が」

 と、嘉久と兄と早間さんの三つ巴になるかと思いきや……。

「失礼ながら、嘉久様、敦也様、人形の扱いはご存知でいらっしゃいますか?とても肌はデリケートで、布の色素が沈着してしまうこともあることはご存知ですか?また、髪の手入れには何が必要か、また、臭いや湿度など、人形のコンディションを保つために必要な」

 いつになく饒舌に口を開く早間さんに、兄と嘉久は両手をあげた。

「降参です。早間さんにお願いします」

「うむ、まだ私は勉強不足のようだ……」

 というわけで、早間さんがお母様に渡すまで預かってくれることになった。そして、渡す日には、ガラスケースに入れ、布をかぶせてリボンをかけて持ってきてくれるそうだ。

 え?

 預かる代わりに、写真を撮ってもいいかって?

 他の服も着せてもいいかって?

 ……ええ、それは構いませんが……。

 そうか、早間さんはかなりの人形好きなんですね……。

 嘉久と兄の人形を探している途中に、早間さんに似た人形があったら、買ってくるからね。いつもお世話になっているお礼としてプレゼントしよう……。

 まぁ、せいぜい人形愛好家たち同志で仲良くしてください。(遠い目)


 朝は簡単な朝食で、昼は、携帯食だけだったから……。

 まともな食事、久しぶりですっ!

 本日のメニューは……。

 ふおっ!

 何でしょうか!

 赤い大きなお盆に、お皿がいっぱい並んでます。

 ざっと見ただけで10個以上。えーっと、漆塗りのお椀に小皿……。な、なんかすごく豪華です!

 高級旅館の夕食みたい!うわー!

 今日は何のお祝いでしょうか!

 ……と、思っていた私の心を、嘉久が打ち砕いた。

「ああ、そうか。今日は精進料理か……」

 え?

 精進料理?

「嘉久、そう不満そうな顔をするな。休みが続くと、外食などで食べすぎるだろうから、少しクールダウンさせようという料理人の心遣いなんだから」

 なんですとぉぉぉぉーーーーっ!

 食べ過ぎてないよっ!

 今日は特に食べ過ぎてないよっ!

 なんで、こんな日に精進料理っ!

 むしろ、休みが続かない方が……、あ、そうだ、お菓子部のある日とかが一番カロリー取るんじゃないかな?

 ……くっそ。

 今日は強制ダイエットに甘んじよう。

 明日は、轟君とがっつり食べ歩く!

 ええ。もう、普段食べられない色々とか、あそこでしか食べられない色々とか、食って食って食いまくってやる!そのための精進料理。

 明日のための、精進料理!

「おお、ふわとろり刺身こんにゃくを取り寄せたのか」

 と、嘉久が寒天のような色に青のりがちりばめられたものを箸でつまんで口に入れた。

 刺身こんにゃく?私の知っているこんにゃくと色とか違うけれど、嘉久が「おお」と言うのだ。

 グルメ番長の言葉を疑いません。はい。

 箸を伸ばすと、つるりんと、軽く逃げられた。おっと。

 それからもう一度慎重に……。

 え?

 ぷるんっとした、こんにゃくのあの弾力がない。柔らかくて、箸でつまんでも足らりと垂れる。

 なんじゃこりゃ。


ごらんいただきありがとうございます。

バレンタイーーーーーンッ!

ですが、バレンタインな話を明日、明日、掲載いたします。

……ええ。書籍特典SS用に書いたけど没になったやつです。

一部書店さんにSS付きありますが、あれ、書き直したやつです。

何故、明日のSSが没で、特典SSがOKだったのか……まぁ、読み比べなくても、明日の読めば分かります……(´・ω・`)

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